第16話:菊一文字と贋作菊一文字(再)
……もうきまぐれ更新すぎて忘れ去られてるでしょうなぁ………
ほんっっっとに久々に書けた感じで、だけど自分の作風とか自分でわかんなくなっちゃってる有様です。
ドレイクを倒し、隔離結界が崩壊すると同時に周りに皆の姿が現われた。
いや、正確には僕と父さんが現れたのだろうけど。
「ジェイク!キクちゃん!!」
「お父さん!お姉ちゃん!!」
それと同時に駆け寄ってくる母さんとカノン、父さんが母さんを、僕がカノンを抱きとめた。
「ジェイクもキクちゃんもドレイクと一緒に急に消えてしまったから心配したのよ?」
「悪い……だがドレイクの野郎はキッチリ倒してきたぜ。」
そう言った父さんは、疲れを感じさせない(と言うよりお札で回復したからか)力強い笑顔だ。
だから僕も父さんに倣い笑顔で答える。
「父さんと一緒だったから何も怖くなかったよ、母さん、カノン。」
「そう…そうよね…ジェイクが一緒だったのですもの…
「おうとも!我ながらキクと2人で戦う事を選択して正解だったぜ!!」
「そうだね、父さんと2人でなら1番被害を抑えられるから……
「お姉ちゃんのばかぁ……お母さん連れてかないと回復手段がないじゃん………
「「……いや普通に回復手段があったからなぁ俺様 (僕)達。」」
そう言って父さんが腕に貼ってある『大治癒功』と『大錬気功』
を見せる。
見た目はただの湿布だけどね。
ついでだから僕も貼っておこうかな。
それに希夜も消耗してるだろうから………
僕と希夜の分も取り出して両腕に貼り付けていたら、希夜が目を覚ましたみたい。
「んぅ……おねぇ…ちゃん………?
「…?希夜??」
あれ、なんか様子がー
「見付けたぞ菊一文字ィィィッ!」
『!?』
今度は何!?
全員が声のした方へ振り向くと、見た目が僕や希夜に…とりわけ希夜と髪型以外は瓜二つな女の子がそこに居た。
ただし、殺気が凄まじい。
流石リーダーと言うか、それを見たお父さんが素早く指示を出した!
「ステラ!ルドルフ!!お前らはキリト達依頼者とキヨを連れて下がってろ!!
ミーシャはステラと一緒に治癒に専念しろ!
エミリーは治療受けたら遊撃!カノンはステラの護衛だ!側を離れんな!!
行くぞキク!狙いはお前だ!!」
「うん…!」
「殺ス…殺スゥゥゥ!!」
(速い!?だけどっ!!)
キィィン…!
フロントステップで詰め、無敵効果発動を意識しながら斬り結ぶ!
前回…初めて会った時の希夜に押し負けたからね、無敵を使わせてもらうよ!
ーだけど。
「無駄無駄無駄ァァァ!!」
「!?」
(無敵貫通!?)
普通に斬り結んだ感覚…!
鍛えてなかった訳じゃないから流石に押し負けたりはしなかったけれど、腕にかかる負荷は無敵をすり抜けてきたらしく重い……!
「最初からトばすぜぇ………?」
「っ…!」
「『刹那燕返乱舞』ッ!」
「『燕返し』ッ!!」
相手は無敵貫通(?)を使ってくるから回避も、回避による無敵も宛にならない…!
せめてもの抵抗で必殺技、燕返しを使うも、燕返しが3連続の瞬速剣なのに対し刹那燕返乱舞は光速の10連撃、当然防ぎきれる訳が無く………
「か…は………
「弱い!弱い弱い弱い!!死ねぇェ!!」
「ー残念。」
「ーェ…?」
ーだったらバカ真面目に相手をする訳無いでしょーが。
コレはゲームじゃないんだ。システムもクソもない。
さっきドレイク戦でも使った『質量モツ分霊』に合わせて
別ゲーのアイテム『背後転移カウンター』を起動。
後ろから心臓…霊核を一突きして破壊した。
この瞬間、僕の心は自分でも驚く程に冷徹だった。
「出直して来い、贋作が。」
「だったら出直してくるぜぇぇ?」
「1人だと思ったかぁ?」
「きゃははははは!!死ね死ね死ねぇェ!!」
「………わぁ。」
何これ面倒臭い
とか思った時点で自分もどっかズレてるって言うか……うん。
それにしても父さんの援護が無いな、と思ったらなるほど、沢山来てたのか………
と言うか父さん、1人でどんだけ相手にしてんの!?
父さん現地人のはずだよね!?
「でやァァァァッ!!」
『ぎゃぁぁぁ!?』
「はっはぁ!!どうしたどうした!!ただの薙ぎ払いだぜぇぇ!!
お前ら程度なら本気出すまでもねぇ!!」
おかしいなぁ………贋作菊一文字ってかなりの強敵だった気がするんだけど……………
父さん、魔法剣すら使わずに大剣を振り回すだけで無双してるんだけど………
というかそれより………
「…にへっ♪」
「…希夜?」
「にへへへへ………お姉ちゃぁん………♡」
「あのー…希夜…?」
「なぁに?お姉ちゃんっ♪」
「…いや、なんか、性格変わってないかな??」
「…はっ。んっんぅ!お姉様?とりあえずあたしが居れば他の贋作は弱体化させれるから、安心してね♡」
「……取り繕うのすら失敗してるよ希夜さん!?」
希夜はどうしたのかなぁ!?
めちゃくちゃ緩んだ顔で僕に抱きついてきたんだけど!?
なんなら性格変わっちゃってないかなぁァァァ!!
「どうしたんだよ希夜!?」
「えー?どうもしてないよお姉さま♡
それより他の贋作達を早く倒しちゃおーね♪
んぅ………『デッキ装填』!」
「ふぁっ!?」
「『わたし』が得意なのは遠距離、次点で近距離。
ならば………『エナジーシュート』!!」
「ふぁっ!?」
「続いて『ドレインシュート』!」
今のって…まさか、僕と同じ………!?
「こ、殺せぇぇぇ!!」
「邪魔をするな失敗作ぅぅぅ!!」
「ふふん♪『カウンター』!」
『ぎゃぁぁぁ!?』
「ざーんねん♪これはゲームじゃないからね!派手に行かせてもらうよ!!『デッキチェンジ』!
『指定転移』!」
「えっ!?」
や、やっぱり……希夜は違うゲームで妹が集めていた【スキルカード】を使ってる………
敵の真っ只中に転移した希夜は、シールドを生成してから近接攻撃を繰り出し、自身の持ち技である指弾を撃ちまくる………!
嘘でしょー…希夜まで父さんみたいな無双しだしたんだけど…………
「さてさてぇ?これでキメるッ!!『刹那燕返乱舞』!!
からの!『八波絶剣』!『駿陣爆破』!
おっわりぃ☆」
「………はっ。あまりの衝撃に思考停止してる内に終わった!?」
「どうどうお姉ちゃんっ!ドヤ顔文字~☆」
「いやホントにキミは誰!?」
「誰って希夜だよ?」
「質問に質問で返すな!?」
いや僕自身何言ってるか分かんないけどさ!!
そんな混乱する僕に対して希夜の姿をしたナニカは耳打ちをしてきた………?
〔…あなたの妹、だよ?利刀お兄ちゃん。〕
「っ…!?」
その…その名前で僕を呼ぶのは………!!
〔もしかして…律…?〕
「ふふっ…せいかーい♪」
「嘘でしょう………?」
だって、律は僕と違って健康そのもので直ぐに死ぬはずが無くて、だけどここに居る律は子供の様に無邪気で、そんな律が死んで転生して来たにしては…あまりにも幼過ぎる…………
「あっ、お兄ちゃん今わたしが死んで転生して来たにしては幼いとか思ってるぅ?」
「え、なんで分かるの!?」
「えっへへぇ~♪わかるよぉ、お兄ちゃんの事だもんっ♡」
今頭に『キモウト』って単語が浮かんだ僕は悪くない。
引き攣る顔を何とかする気力も湧かないまま僕は何とか言葉を発する。
「で、さ、何で律が死に別れた時とあまり変わらない様な精神年齢でここに居るの?」
「そりゃあわたし、あれから1年くらいで死んじゃったからね!」
「…やっぱりか。」
だからあの時のまま、幼いんだ。
でも、それなら。
「死因…何で死んじゃったかは分かる…?」
「………。」
《にこぉ!》
表現するならそんな感じの、粘つく笑みを浮かべた律は、僕に密着して僕の顔に手を這わせながら恍惚とした顔で答えた。
「お兄ちゃんが居なくなって寂しくて死んじゃった♡」
うん、重ねて『ヤンデレキモウト』って単語が浮かんだ僕は悪くない!!
「よし分かったつまりキミは僕が居なくなったショックでご飯も喉が通らず餓死したって事だね!?」
「う〜ん…ざっつらぃ☆」
僕はとりあえず思考を放棄した()
こうして、希夜の中身はキモウトと化してしまった律になったのである。
いや、律ってこんな子じゃなかったよね?多分贋作の意思とか希夜としての感情とか律としての想いとかがタチ悪く暴走してるだけー
「あ、わたしはタチじゃなくてネコだよ♡何時でも襲ってね菊お姉ちゃん♡」
「もう黙って!?;」
ヤンデレキモウトユリシスコンな妹とか勘弁してください。




