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第12話A:菊一文字とギルティーダンジョン

本当に不定期過ぎてごめんなさい…………;

ダンジョン内へ突入した僕達はチーム毎に散開して探索を開始した。

因に僕はカノン、希夜、父さん、母さんと一緒だ。



「見た目より広い屋敷だね。」


「まぁな、こう見えてもここは【ギルティーダンジョン】。

ドレイクの野郎の欲望が造り出した空間だ、気を付けて進めよ…?

特に、今のキクはドレイク好みのイイ女だしな。」


「…父さんにそう言われるのは嬉しいけど、そのドレイクって人の好みなのは嫌だなぁ…

ねぇ、今の僕って、父さんから見ても魅力的なのかな?」


「ん?そらぁな。

血は繋がっちゃぁいねぇが、それでも流石ステラの娘だって言いたくなるぜ!!」


「そっか…なら良いかな。」



…元男、とは言えやはり父親から娘として好かれる事には抵抗がなさそう…?

むしろ、嬉しいかも…?



「あれ?お姉様顔が赤いぜ??」


「へっ!?」


「あらあら、ジェイクがカッコいいからって惚れちゃだめよ~?キクちゃん。」


「かっ母さんまでなに言うのさ!?」


「お姉ちゃん可愛い…♪」


「ああもぅっ!!カノンちゃんまでー!!」




あー…でも、こんな僕を笑って受け入れてくれる皆には感謝してもしきれないなぁ…

…と、改めて思っていたら父さんが僕の頭に手を置き、そのままワシャワシャと撫でてきた…!



「まっ、なんにせよキクは俺様とステラにとって可愛い娘なのは間違いないからな?」


「あっ…うん…ありがとう…///」


「「「にやにや。」」」


「~っ!!///」



って!



「皆っ!!魔m―

「ボルガノン!!」

「ジャッジメント!!」



えーっ………

警告が終わる前には父さんと母さんの手で魔物が瞬殺されてるとかナニコレ…;

と言うか母さん、ミーシャが詠唱して発動していた魔法を詠唱破棄って…;



「「だからそんな可愛い娘達に手を出す魔物(やつら)は許さん!!」」


「わー!二人ともかっこいい!!」


「あは…あはははは…;

負ける気がしねーなお姉様…;」


「あー…うん…;」



まぁ、戦闘力だけじゃなくて、パーティバランスとしてもそれなりに良いとは思うんだ。

一応ゲームっぽく解説すると…

父さん=魔法戦士(前衛物理&魔法アタッカー)

母さん=エレメンタラー/シスター(後衛魔法アタッカー/ヒーラー)

僕=戦術士(遊撃/斥候)

希夜=ガンナー/シスター見習い(後衛物理&魔法アタッカー/サブヒーラー)

カノン=盗賊見習い(中衛アタッカー&罠解除&斥候)

って事になる。





「あ、希夜お姉ちゃん!!そこに罠があるよ!!」


「おっと、ありがとなカノン。」


「ん…敵の気配がす―


「アースエレメント、頼んだわよ?

ふふっ♪あの程度なら精霊で十分よ!」


「母さん仕事早すぎ…;」



そんな感じで順調に進んでいたんだけれど……



「……全員止まれ。」


「…何か居たのね?ジェイク。」


「ああ。

居るかも知れねぇと警戒はしていたんだ。

寧ろ遭遇したのが俺様達で良かったな。」



そう言ったお父さんの視線の先には、ダンジョンとは言え見た目はほとんどお屋敷であるこの場所ににつかない、腕から刃の生えている真っ黒なひょうが居た。


なんだろう…?どこかで見たことがある気がする……


そんな僕の思考も、父さんの次の言葉でかき消された。



「気を付けろよ、アイツは【ストームタイガー】、別名、【災厄の暴風】だな。」




【災厄の暴風】

武具精霊である僕にはその知識はあった。

いや、これは、恐らく“先代”の記憶…?


数多の【菊一文字】を手にした冒険者が散っていった、その原因の内の1つ。


菊一文字は素早さも売りの刀だ。

だけど、コイツはそれ以上の素早さでこちらを翻弄するらしいけど―――




「とにかく!お前等三人は下がれ!!俺様とステラで応戦する!!」


「お断りします。」


「なっ!?クソッ!!」



―だから、どうしたのさ?

ソンナノを相手に父さんと母さんだけで敵うとでも?

僕達を下げようとした父さんを振り切り、僕はストームタイガーへ斬りかかった。

父さんに襲い掛かろうとしていたストームタイガーは、突然割り込んできた僕に反応できず、【煌メキノ剣閃】による突進をモロに食らった。

続いて一歩遅れて父さんの剣撃が入る。

右腕に突き刺した刀を素早く抜いた僕は父さんに首根っこを掴まれてジェットで遠くに離脱した。

刺されたストームタイガーは僕を敵と認識し、威嚇する様に唸り声を上げ始めた。



「血が出るなら倒せるよね?父さん。」


「キクテメェ!ふざけんなよ!?」


「ふざけてない!僕は真面目だっ!!」


「あぁクソッ!!」



言い争いをしている暇はないと分かっているから、父さんは悪態をついてから再びストームタイガーへと斬りかかっていく。

僕もそれに続くと、父さんと僕の身体が薄く輝いた。

どうやら母さんが防護魔法をかけてくれたようだ。

チラリと振り返ると母さんは『あなたは私が守るわ』と目で語っていた。ごめん…父さん、母さん………

だけど僕は退く訳にはいかないんだッ!!



「大切はものは…この手で守りたいから………



そんなのはエゴだ、只の自尊心だとも思う。

けれど、僕は転生者で―――

いや、今は何も考えないッ!!




「ありったけ!!」



僕は一度に全ての苦無くないを撃ち放ちつつ接近し―



「くっ!追刃撃!!っは!」


(!)ブーツの効果により【無敵】が発動!


一閃、反す刃を入れて突進で退避した、がストームタイガーは僕に狙いをつけている。

僕より強い父さんを無視して、だ。


その父さんでも決定的な傷は付けれていない。

それどころか凄まじい回復力で僕が初手で付けた傷も、たった今苦無で付けた傷も治してしまう!!


と言うかコイツ…!本能的に僕を喰らえば強くなれると知っている…!?


先代の菊一文字はストームタイガーに捕食され、ヤツの力の一部となり国の半分を滅ぼした…その時は同胞を喰らわれて怒った【村正】に自害を命じられて、菊一文字を喰らっていたが為に命令に逆らえずに死んだから止まったらしいけど………

村正さん、ほんとに武具精霊以外には容赦ないね…;


それはともかく…!



「【不可視ノ盾】!」



キィン…!



甲高い音と共にヤツの突進を受け止める透明な盾、しかしそれは一撃で粉砕されてしまう、だけどー



「だけど、僕には回避無敵があるから問題ないッ!!」



ー敢えて突撃する!!

すれ違いざまに一閃!

相手の爪は無敵の効果で僕の身体を撫でるだけに終わる。

が、奴は振り向きざまに噛み付いてこようとする!!

でも僕はそれを敢えてギリギリで回避!


(!)ブーツの効果により【無敵】時間延長!


余裕だ………!

お母さんが今の身体にしてくれたお陰かな……?

僕はまだまだいける。


危なげなく《囮役》をしている間に、父さんが確実に攻撃を当てていくも、決定打には欠けている状況だ。

そろそろ父さん達が仕掛けるかな?

そう思っていたらー



『【聖なる盾】!!』



カァァン!!

そんな少し音の違う響きと共にいきなり出現した光の盾がヤツの突進を完全に受け止めた!?


この盾は…?



「焦れったいわね、そろそろ決着をつけましょう?」


「母さん!!」


「ふふっ…【ホーリージャベリン】!!」


「ガァァァッ!!」


「【ファイアーエレメント】!!」


「合わせるぜ!!ッラァッ!!【フレイムタン】!」


「「【ヴァーニングローズ】!!」」




更に母さんが光の槍を投げ、炎の精霊を召喚すると、父さんがそれに合わせて炎の魔法剣を発動、すると巨大な火柱が上がりストームタイガーを呑み込んだ!!

そんな事をしても屋敷が燃えないのは流石ダンジョン、と言った所かな…?



『GUGAAAAAA!!』



しかし、ストームタイガーは正に獣の咆哮を上げて火柱から無傷で飛び出し僕に食らい付こうと迫ってくる…!

が、そんなのはお見通しだ。


(!)ブーツの効果により【無敵】発動!


僕が余裕を持って回避した所にー



「予測済みよ!!【聖なる盾】!」

「予測済みだ!!【獅子炎撃覇(バーニングレオ)】!」


『ヴルァアァアア!?』



――父さんと母さんが見事な連携でストームタイガーを跳ね返した!!

やっぱりこの二人は強いなぁ…敵わないや………でも…!



「【ドレイン・ゲイズ】!」



僕は吸精の魔眼を発動し、追撃をした。

これで少しは動きが鈍るはずだ。


……因に、カノンと希夜は隣の部屋に避難してもらっている。

カノンちゃんは僕より少し強い程度だし、希夜だって武具精霊、ストームタイガーに食われる危険性は充分にあるからね。


そのストームタイガーはまだまだ元気だ。

諦めもせず僕を喰らおうと狙ってくる。

そんな僕の前に父さんが立ちはだかり、母さんが僕を抱き締める様に寄り添う。



「ジェイク。」


「ああ。」



うん…?

流石夫婦…なのかな…?

二人は頷き合うと、父さんがストームタイガーに向かって駆け出した!!

その父さんの身体には駆け出すと同時に光の膜に覆われ―――



「【火炎龍の顎】!喰らいやがれ!【吹キスサブ火炎 《ファイアブレス》】!!」


「僕の技ッ!?」



いや、違う………!?

似ているけど違う!!

燃え盛る父さんの大剣は龍のあぎとを象り、その大剣からは火炎が放たれた!!



「ハッ!熱いか!?

なら冷やしてやる!【アイススラッシュ】!

雷雲注意だ!【サンダーソード】!

まだまだ行くぜ!【ガイアブレイド】!

仕上げだステラ!」


「任せて!【えんしぇんとのばぁ】!」



いや今のは!?;なんか母さんからひらがな表記されそうな可愛い声が出たんだけど!?;

そんな場に似合わない声とは裏腹に四色の光の爆発が起こりストームタイガーを呑み込んだ!!



「ジェイク!」


「おうよ!来いッ!【朱雀】!!」


『グガァァァ!!グ……ギャ……ギャ…



止めとばかりに父さんが焔の翼を纏わせた大剣をストームタイガーの額に深々と突き刺した!!

…そこが弱点だったのか、父さんか母さんが何かしたのかは分からないけれど、ストームタイガーは断末魔を上げると光の粒子になり、父さんの大剣に吸い込まれる様に消えた………

あれだけピンピンしてたストームタイガーを仕留めた今のは、必殺技、みたいなものだったのかな……?



「―っし、討伐完了だな。」


「お疲れ様、ジェイク。」


「ははっ、今回はチッとてこずっちまったがな………


「………やっぱり、父さんは凄いなぁ。」


「当たり前だろ?なんたって俺様は【ブレッドファミリア】のリーダーで、大切な家族が居るんだからな。

キクが囮になってくれたお陰で俺様もステラも技や魔法を練る時間があって助かったぜ。」



………そう言った父さんは、母さんを抱き寄せ、僕の頭をワシャワシャと乱暴に撫でくりまわしてきた…

けど、嫌じゃない。

やっぱり、僕は父さんや母さんには敵わないんだなぁ……



「お父さん!お母さん!お姉ちゃん!」


「今すごい音が聞こえたけど、大丈夫か!?」


「ようカノンに希夜。戦いは終わったぜ。」


「うふふ♪ジェイクの大勝利よ。」


「ほぇ~…やっぱりお父さんは強いね!!」


「当たり前だろ?」



………うん、やっぱり僕は、そんな父さんと母さんが大好きだ。

だから、無茶をしてごめん……

だけど、無茶をさせて………貴方達の娘として。



「さてと、そろそろこのダンジョンも終盤かもな。」


「ふふっ、気合いを入れていかないとね?

隣の部屋、確かセーフティーポイントだったわよね?

そこでパンを食べながら小休止しましょう。」


「おう!腹へったし丁度良いな!」




…………………………

……………………

………………





「―さて、腹も膨れて準備も万端!さっさとドレイクの野郎をブッ飛ばしに行こうぜ!!」


「「「お~っ!!」」」



―だけど、その時の僕達は思いもしなかった。

まさか、あんな事になるだなんて……………
















お察しの方も多いでしょうがこのお話は分岐した別のチームのお話もあったりします。

………次の更新がいつになるかは未定ですがね!!;

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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公さん、最近ほぼ毎回も敗北しているぽいですけど。。。
[一言] 更新お願いします。
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