大嫌い、大好き
「待ってよ!」
じ~さんは一生懸命走りました。
「みーちゃん、ごめん。お願いだから、待って!」
どれくらい走ったことでしょう。
やがてみーちゃんは足をゆるめ、ワンワン泣き出しました。
「じ~さんなんか、嫌い。大っ嫌いなんだから~」
フニャフニャと言い、泣くみーちゃんをじ~さんは抱き寄せます。
「ごめん。ごめんね」
じ~さんは先ほど強く引っ張った皮を何度もなでます。
大っ嫌いと言っていたみーちゃんは、じ~さんにピッタリとくっついて泣いています。
「僕はみーちゃんが好きだよ。大好きだ」
「うそは言わないで」
「本当だよ」
今度は、なでていたところに頬ずりしました。
「みーちゃんが好きだから、本当の姿を見たかったんだもん。狼の姿でも、それがみーちゃんの本当の姿なら」
みーちゃんの手が一瞬強まり、緩みました。
「えっち」
両手が離れたのは、じ~さんです。
「じ~さんのえっち」
「ちちち……ちがうもん!」
みーちゃんは涙を拭きながら、笑っていました。
「これからも、一緒にいてくれる?」
夕日が二匹をやさしく包みます。
「うん、もちろん」
じ~さんはみーちゃんの手をしっかりと握りました。
「このままの姿でいても……いい?」
「みーちゃんが、そうしたいなら」
みーちゃんもしっかりと、じ~さんの手を握りました。