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第二十三話 時の流れ

…13年前…だと……。15歳の時に両親がなくなった話をしてたしそこから計算して13年後って…28歳!?


スクリトフはどうみても18-19歳位だ。若く見えると言えど20代前半だろう。とてもじゃないが28歳…俺より年上には見えない。


「ちょっと待て、お前今いくつなんだよ!?」


勢いよく振り返って食い下がってしまった。そりゃそうだろ?年下だと思ってた奴が実はすげー年上でしたとか不意打ちにもほどがある。


「…24だがそれがどうした?」


俺の食いつきぶりに怪訝そうな顔を向けられ妙な空気が流れた。まるで俺が変なことをいってるような感じになるが、絶対変なのはそっちだ。


「嘘つけ!13年前に15歳なら今28だろっ。24でも十分見た目若すぎるけどよっ!」


「…何をいっているんだ?15歳の13年後は21だろ?」


まるで食い違う言い分になってしまっている…どういうことだ?この世界の数学…まぁ算数だけど、1+1=2って原理は一緒だった。つまり俺の世界と計算方式や数字の概念は同じで15+13=28の計算事態はあってるはずだ。


どうなってるんだ?


「…お前のいた世界ではどう歳を取っていたんだ。」


お互い疑問符を浮かべる形になったが、打開策を見つけたスクリトフが口を開く。どうって言われてもな…。


「そんなの1年で1つ歳とるけど…」


「だから計算が合わないわけか」


一人納得してるスクリトフに俺はおいてけぼりを食らっている。なんだよ、教えろよ!その聞くだけ聞いて一人納得するのやめろよっ!


俺の(視線での)抗議が通じたのか仏頂面がこちらを向いた。


「この世界じゃ20になるまでは1年で1つ、それ以降は2年で1つ年を取る。体の成長は大体20で止まり20年ごと…年齢でいえば10つごとに身体年齢が一気に下がる 。これで計算すればあうだろ?」


…二十歳を越えたら二年で歳をとる??

1日24時間の時間軸にいた俺からすれば信じられない時間の流れ方を説明されて、暫く理解に苦しむ結果となった。


確かにこれで計算は合う。15から20になるまでの5年とそこからは二年で歳をとるから倍かかる。24なら8年かかるから5+8=13年ってことだ。


この世界って俺のいた世界より時間の流れが遅い。大体倍くらい違うわけでこの世界での12時間は俺にとっては24時間…つまり1日だ。


ただでさえこの世界の1日は48時間計算のせいでこの世界での1日=俺にとっては4日くらい長く感じるんだ。この世界の1年は…うん、単純計算4年だ。長すぎるくないか?


それで歳の流れさえ違うとなれば…計算はやめておこう。スクリトフが俺よりかなり年上かもしれない可能性が出てきたが、考えたくない。


「これで納得したか?ならそろそろ行け。でないとニールがうるさい」


車内の時計を指差されてそちらに目を向けるとすでに5分たっている。俺の体感10分くらい話している感じだったし強ち体内時計は間違ってないらしい。


これ以上いても先生を心配させるだけだし、ラグリエードさんが殴り込んで来る可能性だってある。そうなればもう一度修羅場になってしまう。それだけは避けたい。


中途半端にかけていた手に力を入れ扉を開ける。地面がずいぶん遠くに感じるのは子供の身長でこのオフロードはでかすぎるということだろう。


半分飛び降りる勢いで助手席から降りる。着地には成功したが地に手をついてしまう。…かっこよく降りようとしたが台無しだ。


「じゃ、そろそろ戻るぞ。お前もたまには帰ってこいよ。孤児院だって帰ってくる家だぜ?」


5日に1度しか帰ってこない男にそう言い残して走り去る。…走ってもそんなにまだ早くないが早く戻らないといけないので仕方ない。


暫く走ると広場に戻れたが、人が多い。もう夕方近いため露天市場は大繁盛しているせいだ。


「先生!どこだー!!」


この人の中を子供の背丈で探すのは骨が折れる…と覚悟して叫んだが、そうとは限らなかった。思ったよりもずっと早くニール先生ともラグリエードさんを見つけられた。


…ラグリエードさんが高すぎて目立ってたからだ。人混みで頭ひとつ出てる厳ついスキンヘッドなんて目印以外の何者でもない。…夕日に当たったスキンヘッドが輝いていたせいで余計にな。


「おぉ、バル!遅いから心配したぞ。」


手を振って走りよる俺を抱き抱える先生。

ちょっ、まじかよ…だっこされるとは思わなかった。


恥ずかしいんだが…思えば行方不明になったりし心配かけただろうから、何処にもいかないようにしているのかもしれない。


親心を感じて照れ臭いが仕方ない。俺は先生を抱き締めた。おっさんを抱き締めて嬉しくなる趣味は持ってないが、親の愛に触れてるみたいで居心地はよかった。


「帰ろう、先生。」


「あぁ、帰ろう。皆待ってる」


すっかり日が沈み始めたオレンジの空の下、帰路についた。


帰ってすぐ、ラグリエードさん家に預けられていたクリス達に遅くなった理由を質問責めされまくって、煙に巻くのに苦労したのは言うまでもない。


そして翌日、俺たちは孤児院へ無事に送り届けられた。今度はちゃんと護衛車もついて道中爆走レースなんてすることもなかった。


それからというもの子供達は街で買った新しい食材で増えた料理のレパートリーに喜んだり、ラグリエードさんからもらったおもちゃで遊んだりして子供達の心の傷も回復の兆しを見せている。


そんなこんなでここ数日は少しずついい方へ向いてきて、俺もそれなりに幸せだった。


パラウスに関わることもなく、普通の子供みたいに遊んだりするのは悪くない。


けど、ほら、言うだろ?幸せは突然終わるって。


街に行ってたったの2週間で…俺たちは絶望に叩き落とされた。

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