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ゾンビだらけの世界に飛ばされたのでゲーム知識使って生き延びます  作者: ぺる
第一章 詰まないための準備をしよう
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目覚め

 真っ暗闇の中俺はそこに突っ立っていた。音もなにも聞こえない、静かな空間。


 声をあげてみるが、自分の声すら聞こえない。ただ何もない空間に一人でたっていると、妙に怖くなる。


 気が狂いそうで大声をあげるが、声もでない。


 誰か、いないのか…?


 しばらく辺りを見渡したが、暗闇しか見つけられない。いくら歩いても自分以外のものを見ることはない。


 怖くてどうしようもなくなったとき、不意に背後に気配を感じた。


 反射的に振り向いたそこには、あの恐ろしいゾンビの姿が....


「うわぁぁぁっ!!!」


 ようやく目を覚まし飛び起きてた。目の前に、木目の壁が広がっている。


 まさか夢であげた悲鳴を現実でもあげてるなんておもわず、気づけば息が上がっていた。


 全身がびっしょりと汗で濡れて気持ち悪いし、きっと顔色も悪いと思う。


 典型的な悪い夢を見て起き上がった人間だな、これ。夢の原因なんてあのゾンビに決まってる。


 あんな恐ろしい体験を、夢でまで見るとは。本当にトラウマと言うものは恐ろしいものだ。


 だからこそトラウマと言うのだろうけれど。何で夢にまで見ないといけないんだ!


 見るならもっと、楽しくて幸せになる夢の方がいいだろ!!


「大丈夫?」


 うわっ、びっくりした…。不意に隣から可愛らしい声が聞こえ、飛び上がってしまった。


 一瞬またゾンビなんじゃないかって、防御がわりに毛布を握りしめ、声のした方へ視線を向けた。

 といっても、ただ起き上がって顔を横に向けただけだが。


 そこにいたのは、俺の反応に驚いて縮こまる小さな女の子の姿があった。


 目を引く桃色の髪は鎖骨まで伸び、ふわりと内に巻いている。黄色い丸い瞳は柔らかい光を宿し、丸い顔とあわせてとても可愛らしい。西洋のお人形さんのようだ。


 笑ったらとても、可愛く可憐なのだろうけれど。俺の行動で萎縮させてしまったようで、いまは怯えたようにこちらを見つめていた。


 ゾンビと勘違いしてしまい、自分でも気づかなかったが、きつく睨み付けてしまっていたようだ。


 あまりの可愛さに見とれてしまったが、我に返った。


 怯えさせてしまった罪悪感がすごい!!

 こんな子供にたいして、スゲー大人げないな俺!!


「...平気。」


 できるだけ簡潔に、しかしそっけなくならないように伝える…のは、難しいな。


 子供と言うのは、とても素直な存在だ。単決に物事を伝えた方が伝わりやすいだろう、と思ってやってみたが…俺も子供だった、そういえば。


 俺の作戦はうまくいったようで、少女は安心したように笑ってくれた。


 うん、やはり可愛い。子供は皆可愛いけれど、この子は特に可愛い部類にはいるな!


 ....と、あまりのかわいさに見とれてしまったが、このままじっと見ていても向こうも困るな。


 見た感じ5~6歳くらいの少女だ。人見知りするお年頃だろう。


 俺がしゃべらなくなってもじもじとこちらを見てはいるが、話しかけてこない。


 恥ずかしがってるのか、俺の扱いに困っているのか。興味津々な視線を向けている辺り、無関心と言う訳でもなさそうだ。


 いちいち仕草がかわいい!


 無関心でなければ、話しかければ心を開いてくれるかもしれない。


「...ねえ、ここどこ?」


 声をかけると、真ん丸な瞳が見開かれ驚いていた。うん、可愛い。可愛いとしか言ってないが、可愛いんだからしかたない。


 少女と話したいという口実ではあったが、実際にここはどこなのだろうか。


 あの怖い森ではなさそうだし、ゾンビもいない。病院でもなさそうだし、ましてや死んだ訳でもなさそうだ。


 ここはどこだ?


 部屋を見渡してみるが、普通の家だ。日本家屋って言うより西洋の家っぽい。


 ベッドの脇にテーブルと棚があって、一応窓もある。テーブルの上にはグラスピッチャーとコップがひとつ。


 床にはスリッパがおかれているので、土足文化というわけでも無さそうだな…。


 木目が壁や床に見えるので、木造のログハウスみたいなものだろう。部屋を出るための扉が開いており、奥に廊下が見える。


 一通り部屋を見渡してからもう一度少女に視線を向ける。


 頑張って言葉を探しているようで、なにかしゃべらないとと慌てている。


「え...えっと、ここは...」


「おぉ、起きたか坊主っ!」


 ようやく、少女が口を開いたのに、その可憐な可愛い声をかき消すように、どたばたと足音と豪快な声が聞こえてきた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] すごく斬新ですね!でもそういう場合もあるだろうな、と妙に納得してしまいました。異世界転生はどこへ飛ばされても楽勝ー♪ってなわけにはいかないですよね! [一言] 楽しく読めました!ありがとう…
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