使える知識もあるもんだ
うーん、使われてる粉上の洗剤だが、どうにも頑固汚れを落とすほどの力はなさそうだ。
強力な洗剤だったとしても、今回の泥汚れはなかなか落ちないだろうな。
例えるなら、野球男児のユニホームくらい、汚れているのだ。仕方はないか。
「クリス、シェーナたちの服を持ってきてくれ。」
指示すると、クリスは向かいのシャワー室へとかけていった。
先にシェーナとルリにシャワーを譲ったから、服はそこにあるだろう。
正直なところ、仮にも女男の下着やら服を一緒に洗っていいか悩んだのだが、どうやら普段から一緒くたにしているようだ。
気は引けたが、一緒に洗った方が水の節約になる。
いつも皆がシャワーを浴びたあと、全員の服を一緒に回してしまうのが、毎日の洗濯当番の役割だそうだ。
大人組は子供たちが遊んでいる昼間に回しているらしく、俺たちは触らなくてもいいらしい。
そりゃそうだ…下手すると返り血だらけとかの可能性もある。
…俺もさわりたくないな。
なんて考えている内に、キャピキャピとシャワー室から聞こえてくる声をバックに、クリスが戻ってきた。
「持ってきたぞー。」
その両手には、隠す気もなく下着がまる見えになった服が抱えられ、俺は引ったくるように服を回収して洗濯機に放り込んだ。
まだ子供にいっても仕方がないのだが、少しはデリカシーを持て、クリス!!
せめて女性の下着は、服で隠して持ってこい!!
焦ったように服を引ったくったため、クリスは不思議そうに首をかしげていた。
…いっても仕方ないから、言わないけどさ。
「クリス、俺たちも服は脱ぐぞ。つけ洗いしないと落ちないだろうし。」
強力洗剤ではないため、全員がシャワーを終えるまで、服は洗剤水につけておくことにした。
洗濯機に水を張っていたため、今はシェーナとルリの服が沈んでいる。
「ツケアライ?なんだそれ?スイッチいれちまえばいいじゃん。」
洗濯機が勝手に落としてくれる、と信じているクリスはまたも首をかしげる。
「こんな頑固な汚れ、一回じゃ落ちないぞ。洗剤水につけておけば、汚れが浮いて落ちやすくなる。」
...と、前世で母が言っていたことを呟いた。
この世界で俺の常識がどこまで通じるのかはわからない。が、こうした家庭的な知識は、使えるだろう。
クリスはよくわかっていなかったが、これ以上説明されても解るわけがないと悟ったようで、潔く服を脱ぎ始めた。
俺も一旦台から降りると、泥だらけの服を脱ぎ、洗濯機に放り込んだ。
勿論、下着は脱いでいない。素っ裸はごめんだ。
「え、パンツはいいのか?」
クリスは下着まで脱ごうとしていたため、俺はチョップを食らわしておいた。
「いってー!」
「誰も全裸になれとは言っていない。」
俺の鋭い突っ込みに、頭を抱えるクリス。
...彼はどうもボケ担当のようだ。一緒にいて飽きないが、突っ込まずにもいられない。
「お風呂上がったよー!」
シャワー室から、パジャマ姿の二人が出てきた。シェーナは紫、ルリはピンクの水玉パジャマだ。
控えめに言っても、無茶苦茶に可愛い。
因みに、俺のパジャマはないため、今回はクリスのを借りることとなった。
俺が今まで着ていた服も、クリスのお下がりらしい。
「って、なんでもう脱いでるの?」
俺たちのパンツ姿を見てケラケラ笑うシェーナに、とりあえずつけ洗いのことを伝えてみた。
するとシェーナは納得したように頷いてくれた。
「すごーい!確かに全然泥汚れって、落ちないよね!」
男はともかく、女はそう言うことをきちんと気にする生き物なのだ。勿論、個人差はあるが。
「なら早く入らないと。風邪引いちゃうよ」
二人に促され、俺とクリスはシャワー室へと入るのだった。




