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ゾンビだらけの世界に飛ばされたのでゲーム知識使って生き延びます  作者: ぺる
第一章 詰まないための準備をしよう
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第一印象

 見た感じの俺の印象。シャワーを浴びて小綺麗になってからの感想は、まぁ...筋トレしてそれなりに体を絞ったら、とてつもない強面になりそうだなって事。


 まず子供の顔って、丸みを帯びていることが多いだろう。こう、さわったらふにふにしてそうな、柔らかい感じ。


 今の俺にもそれは少しばかりある。が、瞳の方が細い。そしてつり上がってる。


 ガキの癖にませた顔してるってことだ。


 こりゃ睨んだら怖い。ルリちゃんが萎縮するのも無理ないだろう。


 俺だってこんな子供を見たら、愛想の悪い子だな、くらいの印象は持てる。


 ためしに鏡に向かってにらんでみるが、思った以上に目付きが悪い。


 愛想の欠片もないぞ、これ。なら笑うならどうだろうか?


 .........。


 もっとだめだった。


 厳つい顔に子供らしい笑顔。顔面が完全に崩れている。


 ...笑顔は封じた方が良さそうだ。いっそ顔面崩壊までいってくれれば笑われて終わりだが、中途半端すぎるぞこれ。


 なんとか微笑む、程度でまだ愛想がいい顔にはなるようだ。


 うん、これくらいにしよう。有らぬ誤解を招く表情はしないに越したことはないしな。


 そうして俺はシャワー室から出た。


 バスタオルと着替えの場所はルリちゃんから聞いていたので、とりあえずそれに着替える。


 サイズは少し大きいが、薄いタートルネックと、やたらにポケットがついた機能性がいいズボン。


 ポケットは左右と腰、太ももに一つづつついている。ポケットにいれるものはなにもないので、とりあえず今はおいておこう。


 薄着ではあるが、フロあがりということもあり寒くはない。


 そういえば気づかなかったが、今の季節はいつごろなんだろう。


 ちゃんと四季があるのかもわからないが、外にいたときに寒いとは思わなかった。


 体感的に気温は春とか秋くらいなのかな?


 などと考えながらスリッパをはき、廊下をペタペタと歩き出す。


 真っ直ぐ続く廊下には、ランタンが数メートル間隔で吊るされている。


 暗い廊下を怖くないように演出しているのは子供のためなのだろう。お陰で俺も怖くはない…はず。


 廊下を真っ直ぐ突き進んだ先には、玄関らしき扉がある。


 いくつか部屋があるようだが、廊下に面した扉はほとんどしまっていた。


 にしても明るいが今は何時だろう。


 眠っていた部屋にも、風呂場にもカーテンやら雨戸やらがかかっていたため外は見られなかった。


 雨戸の隙間から光が見えなかったので、夜で間違いはなさそうだな。


 雨戸があるのが不思議だが、ゾンビ対策と言うのなら頷ける。


 よくゲームでもバリケードを作っているし、これが生活様式なのかもしれない。


 …いやまて、こういうのか浸透してるってことは…やつらはここまで来るってこと……か………っ?


 ゾッと、悪寒がはしる。


 急に恐怖が込み上げてきた。あいつらが…ここにいる…?


 途端に俺は廊下を走り出した。


 いるはずがないのに、背後にぴったりくっついているような錯覚に襲われ、パニック状態へと陥る。


 ゾンビなんているわけがないのだが、そんなことを考える余裕などない。


 振り返ったらそこに、いるかもしれないっ。


 嫌だ、怖い、誰か、誰か助けてくれ!!


 俺は駆け込むように灯りの差し込んでいた扉に飛び込むのだった。

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