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この物語は...

 青く晴れた空。

 白い雲。

 そして生い茂る森。


 大自然が広がるなか、俺は傾斜の頂上にたっていた。見つめる先は、まっすぐな下り坂。


 大自然には似つかわしくない人の集団がそこにはある。いやはや、圧巻だ。何せその数、30体。


 イヤー、本当に圧巻だ。

 そう、30体のゾンビがひしめき合ってる光景なんて、圧巻以外何者でもない!


 というか気持ち悪さしかない!


 ゾンビ御一考様はぞろぞろ大名行列並みにこちらに歩いてくる。


 中には収まっていなければいけない目やら腸やらが飛び出している奴もいれば、顔が溶けてどこに口があるのか解らない奴もいた。


 まぁたくさんのゾンビがいらっしゃる。ゾンビマニアならよだれが出そうなレパートリーだろう!


 …俺にそんな趣味はないがな。


 そんな歩く屍団体に立ち向かう俺、いや俺たちは5人の少数部隊。三人はすでに、戦闘態勢へと入っている。


 しかし、誰一人として、銃は持っていなかった。


「投擲用意!」


 掛け声と共に、俺含めた三人が縄で作った網に石を積め、投げる態勢へ。残る二人は俺たちの前で中腰体勢で、シャベル片手にスタンバイ。


 滑稽だろう?何せ、ゾンビ相手に石とシャベルで戦おうとしているのだから。


 そう、この世界にはゲームみたいな何でもありな設定は存在しない。


 そんな世界で、石ころ片手に言うのもなんだが今負ける気がしない。


 絶対の自信をもって言える。


 この勝負、勝てるってな。


「撃てぃ!!」


 叫び声にもにた号令と共に、一斉に石の雨がゾンビどもに降りかかる。


 ぐちゃり、とか、べちゃっ、とかそれはまぁおぞましい音を立てながらゾンビどもが次々と倒れ…ては立ち上がる。


 ゾンビなんてそんなものだ、死なない。いやすでに死んでるんだから。


 そんな相手に絶対勝てるなんて自信どこから沸いてくるかって?


 もちろん、俺だってこんなに自信がつくほど、最初から幸運には恵まれていない。


 そもそもこの世界に転生した時点で運がない!


 何せ前世はろくに運動もしてない女だったからな!


 …そう、女だ。お ん な !


 あ、ここに来る前の話な?今はおっぱいついてねーぞ。代わりに息子がいるけどよ。


 九里アカリっつー21歳のゲーマーオタクって、あんまり特徴のないのが俺の前世だ。


 何でこっちに着たかって?


 出会い頭の交通事故でぽっくり死んで、神様のいたずらか何かか知らないけどよぉ…。


 こんなゾンビだらけの世界に飛ばされたって訳だ。


 知りたいことはすぐに調べられた、便利な時代を生きた現代っ子からすれば、この世界は本当に不便で仕方ない。


 サバイバルゲームみたいなこの世界に着た時点で、俺の人生は限りなく詰んでいたんだ。


 なにせ銃を最初から持っているわけでも、銃弾がその辺りに落ちているわけでもない。


 ゾンビを倒したって、ドロップアイテムもでない。


 スマホみたいな便利道具も、炎を出せる呪文も、超能力も存在しない。


 傷を一瞬で回復させられるような魔法やアイテムの無いので、小さな怪我すら命取り。


 限りなく絶望に近い、ただの人間とゾンビしかいない世界なのだ。


 それを、今少しずつ土台から崩しにかかっているところなんだ。それだって、とても苦労したんだぞ。


 何て言ったって、想像できないだろ?


 なら聞かせてやろうじゃねーか!


 これは、詰んで終わって…いや、始まっていた俺の人生を再びスタートされる物語だ!

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