第一話 変態怪人 セイラーマン 後編
ピンク「な、なんですのこれ?こ、このお召し物は…。このお胸にある大きい物はなんですの?うまく言葉が喋れま…せんわ。せ、説明してくださいまし!。」
畳み掛けるようにお嬢様言葉で説明を求めるピンク。
メタ 「ああ、それはティーズ・ピンクに変身すると気品ある仕草や喋り方になるんだよ。」
ピンク「えぇ…そんな…」
へなへなと足を揃えるように座ってしまうピンク。
仕草も完全にお嬢様のそれになっていた。
メタ 「さ、早く怪人を倒しに行くよ。それ!。」
窓を開け、勢い良く外へ飛び出していくメタモルファー。
ピンク「ちょ、ちょっと待って下さいませ!まだ説明が…。ああ!」
それにつられるように、体が勝手にスカートを抱え、ピンクも外へ飛び出していった。
所変わってここは月島高校、拓也が通う高校である。
いつもと変わらない朝のはずの学校の校庭には、逃げ惑う男子生徒と倒れこんで女の子座り状態のパニックになっている女子高生達が大勢いた。
そしてその校庭の真ん中にひときわ目立つ変態男がいた。
変態怪人 セイラーマンである。
セイラー「グヘヘヘへ。お前もセーラー服の女子高生になってしまえ!」
顔が濃い上半身がムキムキの男が、丈の合わない昔ながらの黒色のセーラー服を着ながら目から紫色のビームを出している。
某男子A「う、うわぁぁぁ!たすけてくれぇぇぇ…」
必死で逃げる男子高校生。
だが健闘むなしく変態男のビームに当たってしまい、ボウンっと煙が立ち昇り一瞬にして男子高校生を包む。
しばらくして煙が収まった所にいたのは元の男子高校生とはかけ離れた、腰まである大和撫子な女子高生が困惑した面持ちでそこにちょこんと立っていた。
セイラー「うむ、やはり女子高生はこういう古風なセーラー服に限る!そして…」
セイラーマンは女子高生の前に立ち、勢い良く女子高生のスカートを捲った!
某男子A「キャーッ!」
顔を真っ赤にしながらスカートの全面を必死にで抑える。
セイラー「うーむ、きれいな純白だ!。やっぱり女子高生にしたら、このスカートめくりに限る。さて、次の獲物は…」
??? 「そこまでですわ!」
セイラー「な、何奴!」
校舎の上を見ると、そこには全身ピンク色の人物と猫みたいな犬がいた。
ピンク 「ご早朝から人々を苦しめる悪の権化。私、魔法少女 ティーズ・ピンクが成敗シてくれますわ!」
セイラー「なーにがティーズ・ピンクだ。これでも喰らえ!」
いきなり目からビームを射出してくるセイラーマン。
ピンク 「きゃっ!」
慌ててジャンプし校舎から飛び降り、優雅に着地するピンクとメタモルファー。
だがそこには眼を赤く光らせながら襲いかかってくるセーラー服を着た女子高生達がいた。
間一髪攻撃を躱すピンク。
ピンク 「な、なんですのこの人達は!?」
メタ 「攻撃しては駄目だピンク。この人達は操られている!」
辛うじて女子高生達の攻撃を躱しながら逃げ惑うピンク。
セイラー「ワハハハハ!私の攻撃を受け、スカートをめくられた者達は私の操り人形になるのだ。さあ、やってしまえ!」
必死で躱しながらも段々校庭の奥に追い詰められていくピンクとメタモルファー。
ピンク 「どうすればいいんですの?攻撃はできないしこのままでは…」
メタ 「こうなったらピンク!メタモルステッキを使うんだ!」
ピンクの手に持っていたステッキを見ながら言うメタモルファー。
ピンク 「こ、これ?どうお使いになるのですか?」
メタ 「相手に向かって「メタモル・ピンクインパクト」と、唱えたらいいんだ。でも…」
ちらっとセイラーマンの方を見る。
そこにはでかい図体をしながら機敏に動き、こちらの動きを見ているセイラーマンがいた。
たしかにこのままでは唱える前に躱される確率のほうが高い。
メタ 「せめて動きが数秒でも止められたら…あ、そうだ!」
ピンクに耳打ちするメタモルファー。
コクっと頷いたピンクは迫り来る女子高生たちを躱しながら勢い良くジャンプし、セイラーマンの前まで来てギリギリスカートが見えない程度に勢い良く回し蹴りをする。
セイラー「フフフ、不意打ちかい?残念だが私にそんな攻撃は…」
ピンク 「ちょっとごめんあそばせ!」
そう言うといきなりそのまましゃがみ込み、セイラーマンのスカートを勢い良くめくり上げた。
セイラー「イ、イヤ~ン。は!し、しまった…」
スカートを必死で抑えるセイラーマンの前には、すでにステッキを構えているピンクがいた。
ピンク 「メタモル・ピンクインパクトォー!」
ズドォーン!と勢い良くステッキの先からピンク色の光が発射される。
セイラー「ギャァァァ!!…」
悲鳴を上げながら消えていくセイラーマン。それと同時に襲ってきた女子高生たちはガクンっと地面に倒れ、元の男子高校生に戻っていく。
ピンク 「ふぅ…何とか倒せましたわ。…あら?これは何かしら。」
消えていったセイラーマンのいた所に青いビー玉みたいな物が落ちていた。
それを拾い上げ、眺めてみる。
…セーラー服みたいなのが入っている?
メタ 「さぁピンク、早く帰ろう」
メタモルファーに急かされ取り敢えず拾ったそれを持ち身だしなみを整え、
ピンク 「それでは皆さん、ごきげんよう」
と会釈するとメタモルファーと一緒にどこかに消えていった。