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第二章 その2

「……で、その仇討ってどういうことなんだ」


梢のフラグ折りを諦めた俺は、彼女の事情を聞くべく近くのイスに座った。


「ああ! ありがとうございます! 少し長い話になりますが良いですか?」


「良いよ。こうなった以上ちゃんと最後まで聞くって決めたらから」


 すこぶる不本意であることは間違いないがな。


「では、順を追って話しますね。この件の発端は今から三百年前に遡ります」


 本ッッ当に、とォッてつもなく長い話になりそうだなっ!


 のっけからテンションがダダ下がりだった。今日中に終わるのかよ、この話。


「あれはイリアル暦二三四年のことでした。当時、私はエッサニア王国国王直下、近衛騎士団のドラゴンスレイヤーとして日々修練に励んでいたのです。そこに隣国のラスティアナ帝国の暗黒機械化旅団が侵攻してきて……」


「待て! ちょっと待ってくれ! おまえ、さっき自分はこの世界の住人だって言ったじゃねぇかよ!?」


「……え? そうですよ。……ああ、南方さん、勘違いしてますよ。これはネトゲの話です。意外とお茶目なんですね、南方さんって」


 そういうことかよ! 紛らわしい!


「暗黒機械化旅団はごく最近実装されたばかりの新システムで武装していたのですが、異常なまでに統率が取れており、十倍の戦力を物ともせずにわが愛すべき祖国を蹂躙したのです。本当にありえないです! 最初は新システム実装のバグを突いたチートかと思ったくらいの強さでした」


 梢は顔を真っ赤にして真剣に怒っている。その感情に合わせてときおり耳と尻尾が動くさまが何とも言えない……


「旅団との戦闘は熾烈を極めました。徹夜で戦い続けたことも一度や二度ではありません。ですが、昨日、ついに最終決戦を迎えることになったのです。旅団の団長が直々にわが近衛騎士団に『ギルドの解散をかけた勝負をしよう』と挑戦メールを叩きつけてきたのです」


「ふ、ふうん……」


 何だかオチが見えてきたな……


「私とてギルドの長、これまでついてきてくれたメンバーの信頼を失うわけにはいきません。昨晩八時に戦闘を開始してから不眠不休で七時間戦い続けました」


 そこで梢の顔が曇る。


「ですが、健闘むなしく私はその戦いに負けてしまいました。ギルドは解散に追い込まれ、私はすべての仲間を失ってしまったのです。……ですが、私はこの程度のことで落ち込んでいるわけにはいきません。すぐに再戦を申し込みました」


「……で?」


「あっさり拒否されました。朝六時に四六時中ストーカーのように自分を追い回してくる下僕が家に迎えに来るからその準備に忙しいと」


ストーカーか。随分と事実を歪曲させた表現をしてくれるじゃないか。


「でも、どうしても諦めきれなかったので食い下がりました。あと一回だけで良いから戦って欲しいと。そうしたらここに来るように言われたのです。六時間目にこの学校に来れば対戦を受けるって。だから、私は……」


「そうか。すっげぇ良くわかった。で、一つ確認しときたいんだが、おまえとやりあったそいつの名前って何て言うんだ?」


「ハンドルネームは、シフォニア・ナーガレールです」


シフォニア・ナーガレール。


俺はその名前を頭の中で何度か繰り返す。


シフォニア・ナーガレール。シフォ・ナーガレル。シホ・ナガレル。シホ・ナガレ。流紫帆。


なるほどな。やっぱり全部あいつの策略というわけか。


「私はどうしてもシフォニア・ナーガレールに会ってリベンジを果たさねばならないのです。私が私であるために」


 梢の眼差しは真剣そのものだ。


 それを見た俺は少し考える。


「オケオケ。わかった。おまえのリベンジ、俺が全力で応援してやるよ」


「ほ、本当ですかっ?」


「ああ、俺はおまえの味方だ」


「南方さん……!」


梢は切なげな瞳を俺に向ける。


そう、この子は俺と同じ紫帆の被害者。つまりは「同志」だ。


となればとるべき道は一つ。ともに戦いあの悪魔から平穏な日常を取り戻そ……


「そう? カズ君は私の敵に回るというね? 安全安定志向を気取っているカズ君にしてはとても豪気なことね。少し見直してしまったわ」


いつの間にか理科室の入り口に腕組みをしている紫帆が立っていた。


顔は相変わらず無表情だが、かなり怒っているのが全身から放たれる殺気のごとき空気でわかる。


「あれだけ私を裏切ったら許さないって警告したのにね……。こうなると相応の対応で叩き潰さないと失礼よね?」


「いや、あの、これはだな……」


 俺は必死に言い訳を考える。紫帆の怒りのオーラを見た瞬間、戦意は遥か彼方まで消し飛ばされてしまった。


「もしかしてあなたがシフォニア・ナーガレール?」


 梢の視線が紫帆に固定される。


「だとしたらどうなの?」


「私のギルドを壊滅させただけでなく、南方さんまで苦しめるなんて! そうですか! あなたが南方さんを不幸にする元凶なんですね! 今朝の戦いのことと言い、もう許せません! 南方さんとともに私が天誅を下して差し上げます。そう、南方さんと一緒に!」


 頼むから「俺と一緒」というのをこれ以上強調しないでくれ。じゃないと……


「私がカズ君を不幸に……? カズ君と一緒に私に天誅を下す……?」


 紫帆の「怒りモード」が「殺戮モード」にチェンジしちまうから。


 心なしか一瞬紫帆の髪が逆立ったような気がした。無表情な瞳の奥でジリジリと蒼い憎悪の炎だけが静かに燃えている。それにしても……


「なあ、梢……」


「なっ、何ですか?」


「そういう挑戦的なセリフは隠れながら言っても説得力ないんだぞ?」


 紫帆が登場した瞬間から梢はずっと机に隠れて、顔半分だけを出して喋っている。


「わ、わかってます! これは軽い準備運動ですから!」


 と、言いつつ梢はストレッチらしき奇妙な上下動作を繰り返す。


「ふぎゃ!」


 そして、机の角に思い切り頭をぶつけた。


おまえ、気合いと気持ちがちぐはぐに空回ってんぞ……


「じゃあ、行きましょうか。ゲームの準備はできているから、約束通りここで決着をつけましょう。でもね……」


 そんな様子を冷たい表情で見やりつつ、紫帆が梢についてくるように促す。そして……


「今回は昨日みたいに長期戦をする気分じゃないから瞬殺してあげる」


 どうやら紫帆はこの白狐を真面目に「狩る」つもりらしい。



「今回はどのゲームで勝負するのですか? もちろん、どのゲームでも負ける気はしませんが」


 梢はやる気満々だ。殺戮モードに入った紫帆に普通に話しかけている。


 視線恐怖症とかいう割に、おまえにはそこにあるドス黒いオーラが見えないんだな。俺は怖くて目も合わせられんのだが……


「『自宅警備員Ⅲ』よ」


「そうなのですか!? まさかあの伝説の神ゲーをチョイスしてくるとはさすがですね」


 中身が想像できそうで、全く想像できないようなタイトルだな。


 そんな見たことも聞いたこともないゲームが伝説の神ゲーとか、おまえらの世界での価値基準はやっぱり俺には理解不能だ。


「梢、その『自宅警備員Ⅲ』ってどんなゲームなんだよ?」


「知らないんですか? それは人生損してますね」


 そうか? 知ることでむしろ人生を棒に振りそうな気がするんだが。


「『自宅警備員』シリーズは、いかに家から出ず、働かず、極限までカロリー消費とストレスを回避しつつ自宅を守り続けられるかを追究する究極の戦略シミュレーションゲームです」


「ほ、ほぉ……」


 やっぱり知らない方が良かったな。


「今回はその対戦モードで雌雄を決するみたいですね」


「待て。このゲームで対戦とか内容的に考えて無理だろ?」


「そんなことないわよ、カズ君」


 そこで紫帆が振り返る。


「対戦モードでは、相手を自宅警備員から卒業させれば勝ちなのよ」


「は? どうやって卒業させんだ?」


「リアルな友だちとか恋人とかができたり、ある日突然労働意欲に目覚めたり、やりたいこととか夢とかを見つけて努力したり、条件はいろいろあるわね。まあ、私は一度として負けたことなんてないのだけど」


「もちろん私もです! 負ける気なんて全然しません!」


 自信満々に言うことかよ、それって。


「さて、着いたわね。ゲームはこの部屋の奥にセッティングしてあるわ」


 そうして紫帆がやってきたのは……


「おい、おまえ、ここって……」


 俺が何かを言おうとすると、紫帆は目で「余計なことを言ったら……わかってるわよね?」という脅しの合図を送ってきた。


「それでは覚悟して下さいねっ! 今朝負けたのは私の油断だったということをあなたにこれでもかというほど教えてあげます!」


 意気揚々とその部屋のドアをガラッと開ける梢。


「ふぁわ……?」


 だが、その直後、梢の体が凍りつく。


視線も、呼吸も、あるいは心臓すら止まったのではないかというほどにその所作が固まってしまった。


 梢が開いたのは職員室のドアだった。


 先生たちのいくつもの視線が、突然入ってきたコスプレ少女へと突き刺さる。


 梢は視線恐怖症だ。


 いくら自己暗示をかけているとはいえ、見知らぬ大人たちの目が一斉に向けられたらどうなるか?


「うにゃらぱふぁーーー!!!!!」


 梢は復活の呪文のごとき意味不明な悲鳴を上げて脱兎のごとく駆け出した。


 転んで、頭をぶつけ、それでも暴走するラジコンカーのように廊下を爆走する。


「だから言ったでしょう? 瞬殺してあげるって。あの子の弱点などお見通しよ。というよりも、私を怒らせた時点であの子は自分の敗北を悟るべきだったわね」


「相変わらず鬼だな、おまえは……」


「何言ってるの。あの子だからあの程度のことで済ましてあげたのよ」


「へ……?」


「さて、次はカズ君の番ね。今回はどんなハードなお仕置きで楽しみましょうか? やばいわね。私、わくわくしてきてしまったわ」


 紫帆が言葉を言い終わるよりも早く、俺は己の持てる力のすべてを込めて地面を蹴った。そして、さきほどの梢よりも速くその場から緊急離脱する。

 

捕まったら人間としての尊厳をすべてそぎ落とされて抹殺される。

 

俺の経験と本能がそう教えていた。



「ひっ、ひどいです! 鬼です! 悪魔です! とても人間の所業とは思えません!」


 部屋の隅で梢は涙目になってそう訴える。


 途中で行き倒れていた梢を拾った俺は、その体を担いで誰もいない教室へと逃げ込んだ。


わかるぞ、おまえの気持ちは痛いほど良くわかる。俺なんか、毎日同じ目に遭わされてるんだからな……


梢の涙を見ていると、何だかこっちまで泣けてきそうだ……


「てか、おまえってやっぱり今もひきこもりなのか?」


「ええ。大学を卒業してからはずっとひきこもってますね」


「大学って……。おまえいくつだよ?」


「十五です。ああ、もうすぐ十六になりますが」


「俺とタメじゃん! 大学ってゲームの中の話かよ?」


「違いますよ! これはリアルの世界の話です。私、飛び級でアメリカの大学を十二歳のときに卒業して、それからずっと引きこもっていたのです」


 何かもうウソかホントか、妄想かリアルかわかんなくなってきたな……


「自慢じゃないですが、こう見えても私はIQ190の天才なのですよ。さりげなくニートですが」


 その言葉の真偽を確かめるべく、俺は教室にあった参考書を手に取った。そして、そこに載っていた超難関大学の過去問を黒板に書き出す。


「これ解けるか?」


「もちろんです」


 梢はその問題をほんの二、三分でスラスラ解いてしまった。


 どうにも信じられないが、彼女がIQ190の天才少女というのはまんざら嘘ではないらしい。


「一体何がおまえを今のおまえにしてしまったんだ?」


「へ……? これも長い話になりますよ?」


「良いよ。どうせそう長くはない命だしな……」


「では、遠慮なく。実はですね、私……」


 梢の瞳が真っ直ぐ俺を捉える。今まさにとてつもなく大きな告白しようって目だ。


「私、昔はリア充だったのです!」


 梢はそれを言うや赤らめた顔を両手で隠し、「きゃっー!」と甲高い声を上げる。


「ついに言ってしまいました!」という顔つきなんだが、俺にはどうしてそういうアクションが必要だったのかまるで理解できませんでした。


「へ、へぇ……。い、意外だな……」


 とりあえずそうとしか返せない。他に返す言葉があるなら誰か教えて欲しいもんだ……


「生まれてからずっと何一つ苦労のない人生でした。頭を使うことでは誰にも負けず、家も裕福で両親は優しく、周囲からはちやほやされ、友だちもたくさんいました。欲しいものはすべて手に入り、苦痛やストレスの原因は周りの人たちが全部取り除いてくれたのです。まさに順風満帆、絵に描いたような幸せな人生だったのです。ですが……」


「ですが?」


「大学を卒業して、さてこれから何をしようかと考えたとき、私は自分自身の致命的欠陥に気づいてしまったのです」


「欠陥?」


「そうです。満たされ過ぎていた私に欠けていたもの、それは『夢』だったのです。私は今という瞬間に満足し切っていて、『夢』と呼べるものが何もなかったのです。それに気づいたとき、私は心底、この世界が怖くなりました。それまでバラ色だった世界が真っ暗に暗転してしまったのです」


「要するに幸せ過ぎて幸せになり損ねったことなのか?」


「そうかも知れません。でも、人生の露頭に迷いかけたとき、私は出会ってしまったのですよ。自分の人生を根本的に変えることになる運命のゲームと。それが当時、全世界で千本しか販売されなかった伝説のゲーム『自宅警備員』だったのです」


 いや、千本しか売れなかったんだろ、実際のところ。


「『自宅警備員』をプレイして、それまでの私の価値観はことごとく壊されてしまいました。リア充であることが恥ずべき人生の汚点であることに気づいてしまったのです」


 なるほど、おまえの勘違いの根っこはそこか。


「そもそもリア充とは何ですか? きっとそれは人生の終着点、もうこれ以上は必要ないという『完成状態』なのです。つまり、リア充とは『なってしまった時点』で『終わっている』存在を指す概念なのです。つまり、『リア充は人生終わってるんだから即死ね』ということになるわけです」


 随分アクロバティックな論理飛躍を繰り出してくるな、IQ190の天才少女。


「それ以来、私はリアルではなく、空想や妄想の世界に夢を見出そうとしてきたのです。確かにあらゆる恐怖症を極めてしまうという代価を払うことにはなりましたが、得た物はそれとは比べものにならないほど大きかったのです。私はゲーム界の王、すなわち『ゲー魔王』として電脳世界に君臨することができたのですから」


「え? おまえってそうなの?」


「はい。大学では人工知能の研究をしていたのですが、それを応用し、同時に108体のキャラクターを別々のゲームで私の指示の元に自由自在に動かすことができるのですよ」


 つまりは煩悩の具現化能力か。


「それってすげぇ才能の無駄遣いな気が……」


「そうですか? もしこの技術がリアル世界で軍事転用されれば、無人の軍隊で一国家を一夜で焦土にすることも可能という大量殺戮兵器になってしまうのですよ?」


「マジかよ!? ……いや、すまん。今のは失言だった。極めて平和的な才能の活用法だ」

「しかしですね、無敗を誇る『ゲー魔王』の名を欲しいままにしていた私の前に一人の挑戦者が現れたのです」


「それがシフォニア、いや、紫帆か」


「そうです。そこで私は唯一の自分の居場所であるゲームで負けてしまったのです……」


「でも、どうやってあいつはおまえに勝ったんだ? IQ190の天才と108体のAIが相手だったんだろ? 負ける要素とか全然ないじゃん」


「私もそう思っていました。しかし、彼女の能力は私の想像を遥かに超えていたのです。シフォニア、いえ、紫帆さんでしたか? 彼女は私のAIの思考や行動パターンを綿密に観察、分析し、完璧な対策を立て、かつ、私のギルド内にもたくさんのスパイを送り込んでいたのです。私の考えていることはいつの間にかことごとく筒抜けになっていて、私はそれに気づかずに挑発されるままに勝負に挑み、完敗してしまったというわけです……」


 紫帆らしいな。


 俺をいたぶるときのやり口とそっくりじゃん。


「でも、確かに悔しくはあったのですが、不思議とちょっと嬉しくもあったんです。本気になった私でも勝てない人がこの世界にいるということがです。何だか自分の世界が一気に覚醒して広がったような気がしたのです。だから、どうしても実際に紫帆さんに会ってみたくて……」


 こうしてコスプレして学校にやって来たってわけか。


「わぁった。何か良くわからんこともあるけど、事情は何となく理解した。とりあえず今日は帰って、また今度じっくり今後の話をしようぜ」


 どうやって紫帆の悪行をやめさせるかの作戦についてな。


 いや、もしかするとこの子との出会いが俺の高校生活を一変させるかも知れないな。


 何か仲間が一人できたような……


「あら、カズ君。私がみすみすその子を逃がすとでも思ってるのかしら?」


連絡先を梢に教えようとしたとき、書棚の向こうから再び悪魔の声が響いた。


「は? 何で? どうしてここが……?」


さっき完全に振り切ったはずだぞ?


俺は現れた紫帆の姿に戦慄する。


「カズ君の行動は二十四時間体制で常に監視しているの。アマゾンの奥地に逃げても探し出せるようにね」


「どうやってだ!? どうやって俺を監視してやがんだ!?」


「それを教えるわけがないでしょう? 本当に気になるなら病院でレントゲンがMRIを受けてくれば良いわ」


 てめぇ! 俺の体に一体何を仕込みやがった!?


「シフォニア、いえ、紫帆さん! 私、やっぱりあなたに負けたくありません!」


 と、梢が決意に満ちた声を上げた。


「ゲームの世界は私の最後の砦なんです! その最後の居場所まで奪わないでください! 私は『ゲー魔王』であり続けないとならないのです! 自分が本当の自分であるために!」


 それを聞いた紫帆は小さく息をつき、「そう……」と呟く。


「良いわ。私に挑戦したいというのならいくらでも相手してあげるわ。けど……」


「けど?」


「そうやってカズ君にくっついて陰に隠れるのはやめなさい。それが条件よ」


 梢は俺の背中にぴったり身を寄せて顔以外を全部隠している。


「そうそう、あともう一つ条件があるわ。入学手続は済ませてきたから、明日からこの学校にきちんと通いなさい。リアル世界にビクついているような子なんかに興味はないわ。リアルでも非リアルでも堂々としていられるなら、対等なライバルとして認めてあげるわ」


「え? おまえ、じゃあ……」


 俺はすぐに紫帆の思惑を察した。


 どうやら紫帆は最初からそのつもりで梢をここに呼び出したようだった。



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