No.3_王子の正体!
見てみたらすでに一話出来上がってたからUPします!
「ハ…ハル?」
「正解。久しぶりだね玖羽。4年ぶり?」
ずいぶんと口調が変わっていて分からなかった。
そのことを聞いてみると
「一応、王子だからね。荒っぽいってことで直させられたんだ」
と答えが返ってきた。なるほど。
「さて、これからどうする?」
「はい?何のことでしょう?」
とたんにハルが顔を少し歪めた。
「……玖羽、敬語やめて。兄妹なんだから」
「いえ、でも相手は王子様ですから」
この世界に来る前は敬語で話してなんかいなかった。でもこの世界ではハルは王子様。
メイドと王子様じゃあ身分違いにも程がある。
「そんなこと気にしなくても大丈夫だって」
「駄目です。私が大丈夫じゃありません」
何度王子に言われても頑に言い張る。一歩も引かない玖羽を見て、ハルは言った。
「うーん…じゃあこの中だけでいいから。別邸でだけ、僕はハルで君は玖羽。今まで通り兄妹として接すること。どう?」
「ま、まぁそれくらいなら…」
なんとか、と小さな声で付け足した。
「よし、じゃあ決まりね。普段はルイって呼ぶから」
「私はどのようにお呼びすれば…呼んだらいいの?」
途中で言い直したのは、ハルが思いっきり睨んできたから。そんなに怒らなくてもいいのに。
「周りと同じように呼んで」
「例えば?」
「王子、とかカイル王子、とか。」
「じゃあ…「でも僕は呼び捨てがいいな」
なっ!?そんな無茶な!
「無理に決まってるでしょう!?」
「やだ。」
さっきの仕返しと言わんばかりに言い張る。
「やだって…。…………あ、じゃあカイル様、は?」
さすがに呼び捨ては無理だけど、100歩譲って様付けならまだよさそう。
「まぁ…それなら許してあげる」
しばらく考え込んだ後、渋々といった口調で許しが出た。
けど、まだ少し拗ねてる。軽く溜め息をついて尋ねた。
「他には?」
「んー、そうだなぁ……」
首を捻ってから、思い出した!というように手を叩いた。
「そうだ、目、閉じてくれる?」
言われた通りにする。ふわっという布の感触。
「?」
目を開けて見てみるとあったのは布で包まれた何か。
「開けていいの?」
にこにこしながらハルが頷いた。
紐を解いて広げると入っていたのはエプロンとカチューシャ、そして何故かチョーカー。
それから……え。何、この丈の短いメイド服。しかも黒いオーバーニーまである。
「はい、これもね」
満面の笑顔で黒の編み上げのニーハイブーツを渡される。
「えっ…と……?」
もう意味が分からない。あたふたする私を嬉しそうに眺めて、くす…と笑った後ハルが言った。
「意味、本当は分かってるでしょ?それを着ろってことだよ」
「そんなっ…こんなの着れるわけないでしょ!」
「大丈夫!別邸専用だよ?」
「そんなこと言っても無理なものは無理!」
「……せっかくオーダーメイドで作らせたのに…」
「とにかく、こんなの嫌だってば!絶対、私には似合わないっ!」
その言葉にハルがぴくっと反応した。なにか地雷を踏んだと気付いたのは全部言ってしまった後。
室内の空気が急に冷えたような感覚。
「…じゃ、ここで試してみなよ」
「はぁっ!?」
「ほら、早くその服脱いで……なんなら着替えさせてやるけど?」
「なっ…何言ってるの、ハル。なんかいつもと違うよ!?」
妖艶にふっと微笑んだ。唐突にとんでもないことを言われて思わず顔が赤くなる。
直させられたと言っていた口調はいつの間にか戻っていて。強気の言葉に胸がどきっとした。
なんとなく2人の距離が縮まってきている気がするのは気のせいかな?
……いや、事実だった。さっきまで机のそばにいたのに今ではもう、私と3mくらいしか離れてない。
家では優しいお兄ちゃんだったのに…まるで人柄が変わったみたいに別人。
「親がいないからかもね。そんなことより玖羽、早くこっち来いよ」
「遠慮しとくっ!」
「何にもしないから」
「分かった着るっ!今すぐ着替えて来るからっ!」
「うん、じゃあ隣の部屋が開けてあるから。そこで着替えてきて」
満足そうに微笑む。最初からこれを狙ってたな!?
私はそぅっと後ずさりして扉を開けると逃げるように部屋を出る。
ハルが言った通り、隣の部屋は開いていた。
取りあえずメインの服を体に当ててみる。
うわわっスカートの長さぎりぎり!しかもソックス面倒だなぁ。ブーツも編み上げだし。
いやいや、そんなことよりハル、性格変わっちゃったみたいだったな。
笑った顔も、見たことがないような笑顔で。
あんなに意地悪じゃなかったのに。あと何かがエロかった…………。
いや、それはそれでかっこいいんだけど。さっきのハルの言葉を思い出して無性に恥ずかしくなった。
人柄が変わっているようでも好きなことには変わりないけれど。
なんだかんだ言ってもハルと一緒にいれるのは嬉しいし、それだけでも十分幸せ。
…とまぁ、そんなことを考えていたら着替えは終わっていた。
備え付けの鏡を見て思う。いかにもコスプレしましたって感じ。
外に人がいないのを確認してからハルのいる部屋へ戻ったがハルの姿はなかった。
「……ハル?」
さぁっと風が吹いて、書類がはためく。開かれていた本のページがばらばらとめくれた。
そこからハラリと落ちたのは……写真?
それは家族で行ったハワイの写真だった。
折り目がついているから多分、いつも持ち歩いていたんだろう。大事にしている様子が見て取れる。
―——家族全員が揃ってることなんかほとんどなかったもんな……。
少し物思いに耽っていると、再び吹き込んできた風で書類が煽られてひらひらと舞った。これ以上散らかっては困る。
あわててたくさんある窓を閉めていく。
と、視界の隅で何かが動く。得体の知れないものがいたらどうしようと思いつつ、恐る恐る振り返るといたのは…ハル。
ベッドの上で気持ち良さそうに寝ていた。きれいな金髪がベッドのそばの窓から流れる風に吹かれてなびいている。
「もうハルは変わってないなぁ」
昔からちょっと目を離すとすぐに居眠りをしていた。そのクセはまだ抜けてないらしい。
よかった…私の知ってるハルだ……。
「ん…」
邪魔しちゃ悪いよね。きっと疲れてるだろうし。
私はハルに薄い毛布をかけて、残りの窓を閉めにかかった。
感想、もらえたらもの凄く喜びます!笑