表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/27

第二十話 食事

最近文章が短い気がする。

かといって長すぎると読むの疲れさせるかもしれない。

丁度いい具合の量ってどれくらいなんでしょうね。

では本編へどうぞ。

 十時二十分。ようやく帰宅を果たした俺は合鍵を使って家の中へと入り、誰に告げるわけでもなく「ただいま」と言った。いつものおかえりという出迎えの言葉は聞こえない。無音をそのまま形にしたような静寂が耳を刺し、胸に言いようのない寂しさが込み上げる。幸音は多分上階で勉強か就寝の準備をしているか、あるいは既に床に着いているのだろう。ふうと溜息を吐き、俺はリビングまでの短い木張りの廊下を足早に通り抜けた。

 リビングに入り、夕食が用意されているであろうテーブルの方へ顔を向けた。とんかつやサラダ、茶碗などが綺麗に配置され、始めの二つには丁寧にもラップが掛けられていた。妹お手製の美味しいご飯。そして……。

 「幸音?」

 テーブルに突っ伏し寝ている幸音が視界に収まった。すーすーと安らかな寝息が聞こえてくる。余程疲れが溜まっているのだろう。そんな状態で夕食を作ってもらった上に帰りを待たせてしまった事に済まない気持ちが生まれる。いつか埋め合わせはするから、あと数日は待ってくれ。

 廊下に再度出てクローゼットから毛布を一枚取り出すと、幸音の傍に行きそっと掛けてやる。ベージュの温和な色合いは見ているだけで暖かくなる。

 「ん……お兄ちゃん?」

 優しく、出来るだけゆっくり掛けたが、どうやら起こしてしまったらしい。幸音は眠け眼をこすりながら、ふにゅーっと背伸びした。一つ一つの行動が愛くるしいのは色眼鏡がかかっているからなのか。

 「あふっ。お兄ちゃん、おかえり」

 あくびをしつつ帰宅に対する対応をきちんとする幸音。髪が多少乱れ、呆としている顔を見ると、いつか離れ離れになる日が不安で仕方がない。ちゃんと社会でやっていけるのだろうか?

 「ただいま。ごめん、起こしちまったか?」

 「ううん。そんな謝らなくていいから。あ、料理温め直すから席に着いてて」

 「いいって。それくらい俺にやらせてくれ」

 「だーめ。お兄ちゃんは疲れてるでしょ。安心して私に頼ってよ」

 幸音は立ち上がると、とてとてとキッチンへ向かった。まだ起きてからあまり時が経っていないためか、足元が覚束おぼつかない。やっぱり不安である。

 結局その後も幸音の世話になってしまい、兄として誇らしくもあり、悲しくもあった。別に嫌なわけではないけれど、ただ家事を任せっきりにしてしまっている以上あまり迷惑を掛けたくないのが本心だ。もっと友達の家へ遊びに行ったり、泊まりにいったり、買い物したり。好きな異性と帰路を共にしたり、デートしたり。確実に学園生活を謳歌したい年頃だろう。無理はさせたくない。既に頼り切っている状況なので傲慢、図々しいと言われるかもしれないが、心の底からそう思っている。勿論最後の二つは出来れば忌避したいが、思春期であるし十分いいことだと思う。だからバッドや竹刀を取り出したりはしない。勿論魔術も一切使用しない。

 「何をあたふたしているの?」

 「うわっ!?」

 頭に浮かんだ、まだ会ってすらいない謎の男を俺が狂気に染まった顔で蹴り飛ばしている光景を無理矢理外に追い出していると、幸音が突然話しかけてきた。いつの間にか温め直された料理が目の前に並べられている。全く気付かなかった。こんなんで明日大丈夫なのか? 自分で自分が嫌になる。

 「は、早いな」

 「ん? ボタン押すだよ?」

 ポチッと押す動作を再現し、俺の言動に疑問を抱く。確かに難しいことでも何でもない。

 「そうだな。うん、そうだ」

 「今日はお兄ちゃん変だね」

 「たまにはあるさ」

 柳田辺りに聞かせたらいつもだろうと返してきそうだ。当然言ってきたら殴り飛ばしてやるが。

 その後我が妹の手作りとんかつと味噌汁をじっくりと味わった。空腹に歪んでいた胃が幸福に満ち溢れるのに多くの時間は要らなかった。

 

前回書き忘れていた文章を載せておきます。


義務、魂レベルでの強制。魂が答えを求めさせている。本当に何なんだ。何故取り返しのつかないことになると、魂は言うのだ。

  尚も俺は考える。いや考えさせられた。恐れを抱かない理由。命を掛けた、得るものと失うものが明らかに釣り合わない賭博行為。あの人が生きていた頃はよく訓練という名の虐めを受けていたが、実戦での緊張がほぼ無くなるのはありえないことだろう。祈祷の術や治癒を扱えないこと、本来は習得することは無理と言われた集束系魔術が行使できたこと。治癒に特化した桜井家が他の魔術を行使する事は実質不可能だ。突然変異。様々なイレギュラーがこの身に発生しているのは明らかだ。深慮する。もしかしたら俺はこの家の生まれではないのか? 養子として別の所から貰われたのか? 解らない。判らない。一体俺は何者だ?

 結局答えは見つからず、玄関を潜ることとなった。


 求まらなかったことに後悔することはなかった。いや、後悔する機会なんて訪れなかった。何故なら俺は……。


 今回はのほほん家族の話でした。なかなか戦闘シーンに進めず、すみません。

次回も妹、幸音との会話シーンです。戦闘は次々回くらいです。

今思うと伏線かなり引きまくったなぁ。

ちゃんと回収しきる予定ではいますが、少々不安ですね。

怖い。


もし誤字脱字、日本語としておかしい文章、意見などがありましたら、感想まで。

ではまた(・ω・)ノシ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ