第六章 研究開始
ミユキの研究が動き始めました。仲間?もできました。
助手としてスタートを切った。専用の研究室もある。機材も使える。予算もついた。時間も確保できる。今までなかったものがすべてそろった。
しかし、一年で成果を出さないと最悪ここを追い出されてしまう。できるのか?
史郎ができたことの再現確認が先決だ。同じものを作らないと先へは進めない。まずミユキが持っている唯一の史郎が作ったサンプルの分析から始める。
結果は、史郎の資料に記載の通りだった。サンプルは分解していない。これは幸運だった。資料のプロセスに従えば同じ薬品が量産できる。
ミユキはさっそく作成に取り掛かった。
「クロロフィルはKiefernnadeln(松葉)から抽出するんだ。」
自然とミユキの言葉にドイツ語が混じっていた。
夏になるころには、試薬の製造に成功した。分析レベルでは史郎の作ったサンプルと同じクロロフィル原液、定着補助酵素、活性化剤、不活化剤がそろった。
モノはできたが、効果の確認をしないと発表には耐えられない。史郎も効果確認はしていた。しかも自分の体で。私もそれを見た。だが、私にはそこまでできない。
ミユキは、あの写真を思い出して資料を漁った。「緑の豚」。そうだ、あの現場で見た写真だ。史郎は動物で確認していた。
ミユキは一匹のミニブタを手に入れた。
「ごめんね、すぐ済むからね。」
そういいながら、クロロホルムで豚を眠らせて、背中に原液と定着材を注射した。
みるみる背中いっぱいに緑色が広がっていった。あの写真と同じになった。成功?まだわからない。
しばらくはそのままで様子を見た。食欲もあるし、血液検査の結果も変化はない。何より元気に動き回っている。
次に本命の活性酵素を注射した。これで光合成が始まるはずだ。酵素の働きがいきわたるであろう翌日に、ミユキは豚を絶食状態にして日の当たる窓際に放置した。
「お願い、成功して。」
餌がもらえないためか、豚は鳴いてばかりいて心が痛んだ。
翌日、血糖値を測定したが低下していない。その翌日はわずかに増加している。成功した。ミユキは、ようやく史郎に追いつくことができた。
「ありがとう。」
そう言ってミユキは緑のミニブタを抱きしめた。
「あなたにも名前が必要ね。緑色になっちゃったからミドにするね。」
ミユキにとっての初めての協力者だった。
いよいよ学会に報告です。どうなるのでしょうか?




