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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

鋼鉄の竜騎士

作者: 茶太郎
掲載日:2026/02/14

昔思いつきで書いてあった物に手を加えたものです。

続きを書くは未定です。

グラバラ大陸暦2050年3月

ここグラバラ大陸北部の大草原を北上するバスが一台あった。

乗客は少ないがその中の一人の少女は読んでいた本を閉じ正面見える丘を見て呟いた。


「ここを通るは7年ぶりね・・・」


ふと視線を正面から側面、通り過ぎる窓の外に移すとそこには破壊された戦車や戦闘車が目に入った。


(あの時と変わってない。違うのはバスではなく徒歩でしか大勢の人たちと一緒だったことぐらい)


彼女は目を閉じ7年前のことを思い出した。




7年前

当時11歳の彼女の祖国アストラント連合国は大陸北部の大草原を中心にいくつもの都市国家と草原で生きる遊牧民族からなる連合国家だ。

ミルクや羊毛などそれらの加工品を輸出し、平和に暮らしてきた。

だが、ある日を境に平和は打ち砕かれた。

国土の大半を占める草原の地下に石油や天然ガスの他、レアメタルが豊富に埋まっていることが判明したのだ。

その資源を狙い南の隣国、グラバラ大陸の正統な支配者を自負する超大国ソルバニカ皇国が侵略を開始したのだ。

圧倒的軍事力によりアストラント軍は国内深く侵攻を許してしまい避難民を北方へ逃がすため各所で遅滞戦術をとるしかなかった。

彼女メイア・セルトバはまだ幼い弟を抱く母に連れられ避難民らと一緒に北方の港町へと向けて何日も歩いていた。

メイアは周りの大人の顔を見るが誰もが暗い顔をして希望を見いだせていないようだった。

それもそのはず、ソルバニカ軍に捕まれば悪ければ殺され良くても四等民という名の奴隷にされてしまう。

なのに様々な国に助けを呼びかけても拒否されるか曖昧な回答されるだけ誰も助けてくれない。港町に逃げても待つのは死か奴隷の二択だけ、どうすることもできない。


「どうか神よ、アストラントの民をどうか・・・どうかお救いください」


丘を登り始めた頃避難民の隊列から離れた老夫婦が両膝を着き天へとお祈りをしていた。


(神様、草原の神様・・・どうして助けてくれないの?)


その光景を見たメイアはそう思っていた。


(みんなこんなに苦しんでいるのに草原が無くなりそうなのになんで来てくれないの?)


「あなた!」


突然母が丘に配置された戦車隊の一台に駆け寄った。


「ミニア!?」


駆け寄った戦車から双眼鏡を持った男性兵士が降りてきた。メイアの父である。


「良かった。子供たちも無事だったんだな」


「えぇ、二人共も無事よ」


父ガルドラは母を抱きしめ、メイアと弟サルバの頭を撫でる。


「でも今後はどうすればいいかわからないわ」


父と会ったことで少し明るくなったと思ったがすぐに母の表情は暗くなる。


「まだ安全って噂の北方の町を目指していたけどその後は・・・」


「大丈夫だ。心配ない」


母の肩を掴む父にえっ?となる。


「北方の海を渡った先にある国、アマツ帝国が避難民の受け入れを発表してくれたんだ」


「それ、本当なの?」


「あぁ、アマツ帝国君主 帝直々の決定らしい。その証拠に輸送用の船がこちらに向かってきている。その船に乗ってしまえば助かるんだ」


助かるという言葉に希望を失っていた母の目から涙が零れ落ちる。

そう死か奴隷の二択だけしかない未来に新たな選択肢が出来たのだから。

でもメイアは喜べてなかった。


「お父さん・・・」


「なんだいメイア?」


「私たちアマツに行ったらいつ草原に帰ってこれるの?」


メイアの言葉に父はすぐに返答は出来なかった。

それもそうだ。アマツ帝国は避難民の受け入れをしてくれるだけで軍事支援をしてくれるわけではない。

失地奪還のため反撃しようにもアストラント軍の戦力は少なく最早反撃が不可能となっていた。


「そうだ「隊長!!」なッ!?」


父はなにか言おうとした時、兵士が一人慌てた表情で駆け寄ってきた。


「なんだともう突破されたのか!」


「はい、ソルバニカ軍の勢いは衰えず戦車を多数含んだ機甲部隊がこちらに向かってきています」


「アマツ帝国に逃れられる前に避難民を確保する気かッ

空軍への支援要請はどうなった?」


兵士は首を横に降る。


「現在空軍の残存機はすべて中央都市圏防衛にあてるため支援はできないと」


中央都市圏とは政治の中枢である中央連合議会か置かれた都市を中心としたエリアのことである。

圏内にはいくつかの都市と工業地帯が含まれている。


「では今戦えるのは我が機甲部隊しかないということか・・・」


「残念ながら・・・」


父は歯を食いしばるのが見えた。

だがすぐに命令を下す。


「全部隊に戦闘用意をさせろ。一人でも多く避難民脱出できるよう奴らの攻撃を防ぐぞ。避難民にも急ぐよう伝えろ」


「ハッ!」


兵士はすぐ命令を伝えに行く。


「あなた?」


「聞いたとおりだ。防衛線を突破したソルバニカ軍機甲部隊が真っ直ぐこちらに向かってきているすぐ港町に行くんだ」


「はい、さぁ行くわよ」


母に引っ張られるメイアだが


「お父さんも一緒にッ」


「メイア、お父さんは軍人としてここで戦わなくちゃいけないんだ。だからお母さんとサルバと一緒に行きなさい」


「でもッそれじゃお父さんは死んじゃうかもしれないんだよ!?怖くないの?」


「そうだな死ぬかもしれないし死ぬのも怖い。だけどここで逃げたらもっと多く人が死んでしまうかもしれない。メイアも死んでしまうかもしれないそっちのほうがもっと怖い。だからお父さんは戦うことを選ぶ。お母さんやメイア、サルバを守るためにもね。さぁ時間がない行くんだ」


父はメイアに背を向け戦車に乗り込んだ。



丘の頂上に到達すると行き先の港町が見下ろせた。

遠くからでもわかるぐらい港町は避難民でごった返していた。停泊している船には我先に乗ろうとする人たちが見える。


「あともう少しよ行きましょう」


丘を降りようとしたその時だ。

ドンッドンッドンッと大きな音が後ろから聞こえてきた。

振り向くと父がいた機甲部隊の自走砲が攻撃を始めていたのだ。


「大変ッ急がないと」


砲撃音で避難民たちはパニックになり丘を駆け下りる。

メイアたちも急ぎ丘を降りようとした時、何かが真上を飛んで行った。

それはソルバニカ軍の戦闘機の編隊だった。

ソルバニカ軍機は停泊する船に向けてミサイルを発射する。

発射されたミサイルは次々と命中、爆発が起こった。

更に背後から激しい爆発音が聞こえてくる。

船を攻撃した編隊とは別の編隊が父の機甲部隊へ攻撃を仕掛けていた。


「お父さん!!」


破壊されていく戦車を見てメイアは叫んだ。


「そんな・・・あれを見ろッ」


避難民の誰かが叫び、指差す方向を見るとソルバニカ軍の機甲部隊が迫って来ていた。


「もう駄目だ・・・逃げられない」


絶望する大人たち。

そこへ追い打ちをかけるように戦闘機の編隊が今度は避難民に対して機銃掃射始めた。

その掃射で大勢の人たちが犠牲になっていく。


「あぁッ」


「お母さん!?」


機銃掃射からメイアとサルバを守ろうとした母が足を撃ち抜かれた。


「メイア、サルバを連れて早く逃げなさい!」


「お母さんは!?」


メイアの問に母は撃たれた足を見せる。


「この足じゃもう動けないのッだからあなたたちだけでも逃げて!」


「嫌だ!お母さんも一緒にッ」


母の腕を掴み引っ張ろうとするメイア。


「また来るぞ!!」


見上げると先ほどの戦闘機隊が向かってきていた。

皆逃げ惑うがもう手遅れだ。


(神様、どんな神様でもいいです!お願いです!)


メイアは祈った。

どんなに祈っても助からないとわかっていても助けてくれるかもしれない名も知らない神様に祈った。


(どうかこのお願いを聞いてくれるのならお助けください!)


目を閉じ母とサルバに抱きついた。

すると突然爆発音が響き渡った。

見ると向かってきていた戦闘機隊が火を吹き落ちていっていた。


「なに?」


何が起こったのかわからない。

何かが助けてくれた?一体何が?

その問には真上を飛んでいったものを見たことですぐに答えが出た。

飛んで行ったのは戦闘機隊だった。機体にある白丸の中に赤い三角形の国籍マークを見て誰かが叫んだ。


「アマツ帝国軍だ!!」


海を挟んだ隣国アマツ帝国の戦闘機だった。

アマツ帝国軍の攻撃にソルバニカ軍戦闘機隊は反撃する暇なく次々と撃ち落とされていく。

避難民たちは歓喜に湧いたがまだ機甲部隊が迫って来ている。そこへまた真上を通り過ぎた輸送機の編隊が丘と機甲部隊の間に何がを落としていく。

輸送機の後部ハッチからパラシュートが開き、中から引っ張り出されたそれは当初戦車か何かと思ったが、

地上に降りてそれが〝立ち上がった〟ことでそれが戦車などではないことがわかった。


降ろされたのは竜だった。


それも砲を背負った機械仕掛けの竜。


ソルバニカ軍機甲部隊は竜に対して攻撃するが当たらない。竜たちが避けてしまうからだ。

対して竜たちの攻撃は激しかった。

背負った砲は勿論、機銃といった装備の他に体当たりや踏みつけ、尻尾で薙ぎ払う。


「あれが噂に聞いていたアマツ帝国軍の竜騎士なのか」


「・・・竜騎士?」


誰かの言葉を聞き呟くように口を開くメイア。

そういえば聞いたことがあった。

海を越えた北にある国アマツ帝国には守護する者たちは鎧を纏い、竜を駆る兵士が存在する。

それを見た人々はこう呼んだ竜騎士と。


鋼鉄の竜たちがソルバニカ軍を瞬く間に一掃し、周辺を制圧すると今度は何機もの軍用ヘリがやって来て降りてきた兵士たちが避難民たちに駆け寄ってきた。


「我々はアマツ帝国軍です。これより負傷者を優先してを洋上の母艦に輸送します!その後女子供最後に男性の順に運びます。それまでこの場に待機してください!」


アキツ軍兵士の言葉避難民たちは現状の理解が追いついていなかった。

そんな中


「あ、あの兵隊さん!」


メイアは大きい声で兵士に声をかけた。


「お母さんの足が!」


「出血しているな衛生兵!」


駆け寄った兵士は母の状態を見て衛生兵を呼び応急処置を行う。


「兵隊さん!こっちにも来てくれ!」


「こっちもだ!」


母への応急処置を見た避難民たちは兵隊たちに声をかけ始める。

母の処置が終わったあとメイアとサルバと共にヘリに乗せられ、洋上ほ母艦へと連れて行かれた。



洋上待機し中の揚陸艦の一隻の甲板。

メイアは一人、甲板に立っていた。

母とサルバは医務室で一緒にいるがなぜ彼女が一人でいるのか、それは父親を待っていた。

甲板には避難民や負傷者したアストラント兵士がヘリで運ばれ降ろしては再び飛び立っている。

揚陸艦は他にもあるため彼女が乗る揚陸艦に父親が来るとは限らないが輸送が終わるまで待ってみようとメイアは思った。


「あれは?」


一機のヘリから頭と左腕が包帯に巻かれた一人の兵士を見た。

間違えるわけがなかった。


「お父さん!」


「メイア!」


そう父だった。

メイアは駆け出し父に抱きつく。

父も無事な右腕で抱きしめる。


「よかった。よかったよッ!」


「あぁ、メイア無事だったんだな。お母さんたちは?」


「医務室でサバルと一緒にいるよ」


それを聞いて笑みを浮かべる父。


「そうか、よかった。お父さんをお母さんたちのところに連れて行ってくれるかな?」


「うん!」


メイアは父を引っ張り艦内へと入っていった。


それから一年、アマツ帝国の援軍によりソルバニカ軍を撤退に追い込み戦争は終わった。

それまでメイアたちはアキツ帝国内にある避難民キャンプで暮らし終戦後帰国した。


そして彼女メイアは18歳となり父と同じ軍人を目指していた。


「アマツ帝国軍士官学校への留学ですか?」


軍学校内教員室で教官から留学の話を聞かされた。


「そうだ。軍の強化のため以前からアマツ帝国への留学は進めていたことは知っているな?」


「はい、兵器の近代化に加えてそれらの兵器を扱うための教育を行うための留学と聞いています」


「その兵器の近代化の計画に機竜を加えることが決まった。君は以前から機竜が導入されるのなら操縦者になりたいと同期に語っていたそうではないか」


ニヤニヤと笑みを見せる教官。

顔が熱くなるのがわかる。まさか教官に聞かれていたとは。


「メイア訓練生、貴君は機竜に乗る覚悟はあるかッ」


真面目な顔になった教官がそう言ってきた。

それを聞いたメイアは背筋を伸ばしはっきり答えた。


「もちろんあります!」


「訓練課程は通常の教練よりも厳しいと聞くがそれでもかッ」


「覚悟の上です!!」


よろしいと頷き、書類一式を渡された。



そして現在、アマツ帝国に向かうため港へと向かっていた。

出発前両親やサルバから頑張ってこい、立派な竜騎士になってこいとおくりだしてくれた。


「必ずなってみせるよ鋼鉄の竜騎士に」


彼女は決意を胸にアマツ帝国の方角を見つめた。

ご意見ご感想があればよろしくお願いします。


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