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そこで拾った王女様

拝啓、世間の皆さん。神楽諒です。早速ですが、処刑される十秒前です。


「うひゃひゃ、あたひがそんなにかわいかったかー?」


この酔っ払い自称王女、後で絶対しばく。お前のせいで、今俺はパンイチ正座をかましているのだから。


「神楽さん、撲殺か刺殺か選んでください」


「マイ、女の子がそんな強い言葉を使ってはいけません。・・・・・・やはり男は獣なのかしら」


渦まく怨念を背にしたマイと、永久氷土より冷酷な視線をぶつけてくるユウキさん。


王女を自称するハジメを負ぶって帰宅した俺はたかだか数分で、三者三葉の熱烈な洗礼を浴びていた。



ユウキさんの家に帰宅中の俺は、背に柔らかな感触と、さらさらのショートヘアより振りまかれる甘い香りを感じながら歩を進めていた。


「くー」


俺に完全に体を委ねて睡魔に落ちている少女、ハジメ。負ぶっている以上、ホットパンツよりすらっと伸びる健脚を直に掴み歩くが、よほど泥酔しているのか、気にもなっていない様子だ。


「うにゅー・・・・・・。神楽くん?、いやりょーくんか、いつ家につくのー?お風呂はいりたい・・・・・・」


「はいはいちょっと待ってなさい」


背中で暴れるよっぱらいをどうどうしながら歩を進める。背に押し付けられる二つの柔和が、おのずと「女」を感じさせる。正直、精神衛生上よくない。


このエンドンの街は文明的に現代より少し古いのか、マナを放電させる事で成り立つ街灯が並ぶものの、その明かりはぼやけている為にあまり明るくはない。


街のT字路を右に曲がる。もう少し歩けば「赤い旗手」。マイとユウキさんが今頃ご飯を食べている頃だろうか。


もう夜であるため人通りもそこまで多くはないが、通り過ぎる人間はヒト、顔が犬や狼のような亜人種が目立つ。忘れがちだが、ここはやはり異世界なのだと感じる。


一瞬鼻腔をくすぐった野菜スープのような家庭料理のにおいと、街を反響するかすかな子どもの声が、前の生活同様に営みが存在することを脳裏に刻む。


「う、腹減ったな」


昔から俺は酒を飲むと途端に大食いになる弱点があった。酒が社交的飲料であるが故と思うが、本音はビール一杯で牛丼特盛を5杯いける。胃の門があくような感覚をもてるのだ。


そんな時は基本的に、別の事を考えて気を紛らわせるのが俺のルーティンだった。そうすれば、幾分かは空腹感を紛らわせられる。


「んっ」


後方から甘い声。よし、と思って入った力がハジメの太もも、というよりほぼおしりをもんでしまった形だ。掌の感覚があまりに甘美だ。


「いけないなこれは・・・・・・いろいろと」



ここからが俺の後悔。


何をおもったかこの直後、【他力本人】をハジメに発動するのだ。


直接触れる発動条件も足りている。なんならこの能力がどこまでいけるのか練習もしてみたい。そしてなにより、ハジメは泥酔しているから何かあってもあまり気づかないであろう!


よし。


ハジメがどんな力を持っているか知らんが、やってみよう。


そして、俺は、能力を発動した。


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