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第三話
ザーザー
私は外から聞こえてくる雨音で目を覚ます。
そうだ、私はいま神社にいるんだっけ。
昨日はいろいろなことがあったな。
いや、そこまででも無いかもしれない。
それにしても結局あの本は何だったのだろう。
誰かのいたずらだったのだろうか。
そういう事にしてしまっても良いのだろうか。
私はたんすの方へと目をやった。
その時だった。
雷の光で外が一時的に明るくなる。
その一瞬で外に繋がる障子に人型のような影がうつった。
人型……。
少し人とは違った気がする。
どちらかと言うと鬼のような、そんなふうに見えた。
一瞬だったためよく分からなかったが、その影には角がはえていた気がした。
『逃げろ』と言うのはあの影の正体からだろうか。
いや、見間違いだ。
あの影は神主さんの影だろう。
きっと人間だ。
角が見えたのはなにかの勘違いであって欲しい。
影は小さかったからきっとここから遠くにいたんだろう。
そんな小さな影だ。
見間違えたっておかしくない。
私は自分にそう言い聞かせると、布団の中でもう一度眠りについた。
これから完結するまで毎日朝の7時に投稿します