第二話
神主さんは私を宿坊まで案内してくれた。
ここの部屋は自由に使っていいとのこと。
神主さんは私に会釈をするとどこかへと姿を消してしまった。
私は案内された部屋を見渡す。
小さな机に置かれたろうそく。
今にも消えてしまいそうなろうそくの火。
この神社はあかりが少ない。
部屋の明かりはそのろうそくぐらいしか見つからなかった。
部屋の隅に置かれてるとても値段が高そうな和風のたんす。
私はタンスの引き出しを開けた。
引き出しの中には一冊の本がポンッと置かれているだけだった。
引き出しの中は随分と隙間が空いている。
私はその本を手に取った。
本の表紙や背表紙など、本の至る所が赤黒く染っている。
私は少しだけ嫌な予感がした。
この本の内容は見てはいけない、そう直感で感じた。
しかし、私は好奇心に負け本のページを開いた。
そこには『逃げろ』という三文字だけが記載されていた。
最初はわけがわからなかった。
一体何から逃げろというのだろうか。
そのことだけで頭がいっぱいになってしまっていた。
私は自分の頭をフル回転させて考えた。
この神社にいるのは神主さんひとりだけ。
もしかしたら神主さんから逃げろということなのかもしれない。
それともこの近くには危険な猛獣がいるのだろうか。
主語をしっかりと書いて欲しいものだ。
私は本を棚に戻すと、ふすまを空け布団を取りだした。
布団を床にしいた私は、布団の中に潜り込み、そのまま眠りについた。
第三話は15時に投稿します