第十八話
ガチャッ
その音と共に錠は外れ、檻が開く。
すると檻の中から光が溢れ出し、私の周りを光で埋めつくした。
そのとき、遠くからうめき声が聞こえた。
私はそのうめき声がきになり、その声の方へと走っていく。
そこには、膝から崩れ落ち、頭を抱えながらうめき声をあげている鬼がいた。
「え、えと、大丈夫?」
私は鬼のそばまで駆け寄ると、背中を擦りながら尋ねた。
鬼は私の質問に答えることも出来ないほど苦しんでいるのだろうか。
私がそう考えていると鬼はすくっと立ち上がり、私の手を振り払った。
「だいじょ」
「近寄るな!」
私がそこまで言い聞けた時、鬼が口を動かした。
その事に私は驚きを隠せなかった。
「お前に俺の何がわか…る……。」
私は涙を流しながら語りかけてくる鬼を、そっと抱きしめた。
きっと辛いことがあったのだろう。
私にはその辛いことがなんなのか、何となくわかる気がした。
あの大量にあった恋文。
女性たちから恋文を貰って男性に妬まれたりしていたのかもしれない。
それが辛かったのだろう。
そんなことを考えながら私は鬼のことを抱きしめる。
しばらくして鬼も私のことを抱き返してくれた。
そのとき鬼のつけていた青色の鬼の仮面が剥がれおち、そこにあったのはあの時の神主の姿だった。
このとき空高くで輝く満月は、私が今まで見たどんな星よりも美しく、綺麗に輝いて見えた。