第十三話
気がつくと私は、見知らぬ神社にいた。
いや、見知らぬ神社なんかじゃない。
よーく知っている神社だ。
しかし、あの時とは違って真新しい雰囲気を漂わせるこの神社は、あの時とはまるで違う建物のようだ。
改築でもしたのだろうか。
そんなことを考えていると、どこからか聞き覚えのえる声が耳に入る。
声のした方向を見ると、そこには神主がいた。
美しい着物姿の女性たちに囲まれて歩く彼は、どこかぎこちない笑顔をしていた。
しばらくしてこちらまで来ると、女性たちは神主に手紙のようなものを渡して立ち去っていった。
神主は笑顔で彼女たちを見送るが、姿が見えなくなると、途端に表情が暗くなった。
そして大きなため息を着く。
私が神主に話しかけようとしても、返事は無い。
もしかして私が見えていないのだろうか。
いまの自分の状況が理解出来ず、混乱に陥る私だが、そんなことをしていると神主の元へ貴族のような格好をした男たちが次々と現れた。
男たちは神主を鋭い目付きで睨みつけると、神主の腹部に蹴りを一発いれた。
神主はその場に倒れ込む。
その様子を見ていたたまれない気持ちになった私は、神主の元へと駆け寄るが、反応は無い。
やはり、私が見えていないらしい。
男たちは先程神主が貰っていた手紙を破り散らかすと、神主に一言告げてその場を去っていった。




