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劉備が勝つ三国志  作者: みらいつりびと


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許都の関羽

 曹操は劉備が使っていた屋敷を関羽に与えた。

 劉備の夫人たちが不自由のないようにと多額の金銭の提供もした。

 関羽は豪華な母屋を麋夫人と甘夫人の住処とし、自分は隣の離れ家で暮らした。

 昼は庭で木刀の素振りをし、夜は灯火をともして春秋左氏伝を読んだ。

 曹操からもらった金銭はほとんど劉備の妻や部下たちのために使用し、自分は食費に使うのにとどめた。

 

 張遼は関羽を秘かに尊敬していた。

 関羽に会いに行き、「剣術を教えていただきたい」と頼んだ。

「貴公はすでに充分に強いではないですか」

「あなたにはかなわないと思います。教えてください」

「では、木刀で試合をしますか」


 関羽と張遼は木刀で戦った。

 張遼は本気で打ちかかったが、関羽は軽くあしらって余裕があった。

 底知れない強さだ、と張遼は感じた。彼の木刀は、関羽に叩き落とされた。

「すごいですね。あなたは天下一の豪傑かもしれない」

「私などより、張飛の方が強いですよ」

 そう関羽が言ったので、張遼は張飛の強さを想像してめまいがした。


 張遼は関羽を慕い、毎日剣術の稽古に出向いた。

 関羽は快く出迎え、並んで素振りをし、一日一試合し、試合後は包子などを食べた。

 ふたりの噂を聞いて、夏侯惇、許褚、于禁らも関羽に会った。

 関羽と互角に戦えたのは、許褚だけだった。

 その許褚も、関羽の落ち着いたたたずまいに魅せられ、尊敬するようになった。

 関羽の人気は上がり、曹操の武将たちのことごとくが彼のファンのようになってしまった。


 献帝も関羽の噂を聞いて、興味を持った。

 宮殿に呼んだ。

「私ごとき者が拝謁するなど、畏れ多いことです」と関羽は平伏して言った。

「そなたは劉皇叔の義弟であるそうではないか。とすれば、朕にとっても親戚のようなものである。面をあげよ」

 関羽は献帝と目を合わせた。

 若き皇帝は、豪傑が美しい顎髭を胸まで垂らしていることに気づいた。

「おお、素晴らしく艶のある髭だ。美髭公よな」と献帝は感嘆した。

 その呼び方は、関羽のあだ名となった。


 曹操は関羽が気になって仕方がないが、直接は会っていない。

 袁紹が彼の本拠地の冀州魏郡鄴県に兵を集めている。曹操の参謀たちは、いよいよ戦が近いと観測している。曹操は袁紹対策で多忙になっていた。

 関羽に会いたいが、会うと焦って「劉備を捨て、私の部下となれ」と口走ってしまいそうで怖ろしい。


 曹操は張遼に言った。

「関羽が私の家来になるかどうか、探ってくれ」

「承知しました」


 張遼は関羽と剣の稽古をした後で話をした。

「関羽殿は曹操様をどう思いますか?」

「その知謀は深く、行動は果敢で、当代の英雄ですな」

「劉備殿と比べると?」

「兄者は素晴らしい人ですが、残念ながら曹操殿ほど賢くはないです。その行動は正義に満ちているが、失敗も多い」

「では、曹操様に仕えてはいかがですか」

 関羽は不思議なものを見るように、張遼を見た。

「あっはっはっは。兄者にはおおらかな心があって、親しく接すると、逃れることはできないのですよ。一日接するだけでもその魅力に惹かれてしまうのに、私はもう二十年以上も付き合っている。私は一生を兄者に捧げざるを得ない。あの人が死ぬとき、私も死ぬでしょう」

 張遼は、劉備がそこまでの人物か、と驚いた。

「すると、劉備殿の居所がわかれば、関羽殿は許都から去るのですか」

 関羽は腕組みをし、うーむ、とうなった。

「曹操殿から大きな恩を受けてしまいました。去るとしても、この恩を返してからにしたい」

「恩返し。どのようになさるつもりです?」

 関羽は青龍偃月刀を高く掲げた。

「武人の恩返しとは、武功です。曹操殿のために、敵将をひとり討ちましょう」


 張遼は関羽とした話を、曹操に報告した。

 司空は肩を落とし、深々とため息をついた。

「そうか。関羽は私の配下にはなりそうにないな。残念だが、仕方がない。まもなく袁紹と戦になる。関羽にはひと働きしてもらうことにしよう」


 200年夏、袁紹は三十万の大軍を南下させ、黄河北岸の黎陽に進出していた。黄河を渡ると、そこは曹操の版図である。

 曹操は袁紹に対抗するため、司隷河南尹の官渡に兵を集結させていたが、その兵力は五万と劣勢で、猫の手も借りたいという状況だった。


 袁紹のもとに客将として劉備がいるという噂が、許都に聞こえてきた。

 それを知っても、関羽は動かなかった。

 曹操は許都から官渡へ向かって出陣した。

 張遼も将軍のひとりとして従った。彼の配下の一騎兵として、関羽は従軍した。 

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