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第95話 どんな時でも先手必勝ですわ

 肉片と粘液が派手に飛び散る。

 それらがリエンとレボの痕跡だった。

 神は意外そうな顔をする。


「おや、三人まとめて消すつもりだったのだが。さすがに冥王を丸ごと吸収している者は厳しかったようだね」


 私だけを意図的に残したわけではないらしい。

 冥王の力を奪っていなければ同じ目に遭っていたようだ。

 私は肉片と粘液の残骸を一瞥して問う。


「二人をどこに飛ばしたのですか?」


「君も分かっているだろう。魔術師とスライムは死んだ。わたしに逆らった罰だよ」


「彼らがそう簡単にやられるはずがありませんわ」


「君達は誰に歯向かっているのか忘れたのかね。全知全能が相手なら多少の不条理もつきものだ」


 神は悠々と振る舞う。

 そこには超然とした傲慢さがあったが、立場に相応しい態度とも言える。

 頭髪を撫でつけた神は私を睨む。


「神格を喰らった者を権能で消すのは不可能だ。面倒だが原始的な手段で殺さねばならない」


 神の手が白銀の光に包まれる。

 光は指先から伸びて槍の形になると、電流のような瞬きを発しながら物質化される。

 白銀の槍を構えた神は冷徹に宣告する。


「――究極の苦痛を覚悟したまえ」


 神が踏み出す直前、私はそれを遥かに超えるスピードで駆け出した。

 反応される前に突進して、片腕に創造した電動ドリルで神の喉を貫く。

 高速のモーター音と共にびゅるびゅると血が迸った。

 動きを止めた神は愕然とする。


「なっ……」


「上から目線でごちゃごちゃとやかましいですわね。品がありませんわよ」


 もう一方の手に丸鋸を創造し、神の肩に叩き付けた。

 回転する刃が骨を削って肉を抉り、噴き出した血が私の頬にかかった。

 私は半笑いのまま両手の武器を動かし続ける。

 神の持つ白銀の槍が不自然に明滅している。

 ダメージを受けて能力が安定しないのだろう。


「あなた、ずっと臭ってますわよ……どうしようもない小物臭が」


「貴様、わたしを誰だと思っているっ」


「知ったこっちゃありませんわ」


 激昂する神の言葉を一蹴し、私は額からチェーンソーを生やした。

 唇が接しそうな距離感まで顔を近づけると、刃が神の頭部を割り開いた。

 その状態で私は告げる。


「神ごときが偉そうにしないでくださるかしら。何者だろうと悪役令嬢わたくしにひれ伏すべきではありませんこと?」


 神の目が憎悪を露わにした。

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