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第94話 神との対決ですわ

 神が胸部の穴を撫でる。

 それから一歩ずつこちらに近づいてきた。


「単刀直入に言おう。君はやりすぎた。黙認できないレベルなので排除させてもらう」


「神に叱られるなんて貴重な体験ですわ」


「皮肉のつもりかね。大殺戮にアンデッドの放流、冥王の吸収に文明崩壊……時戻しも関知しているよ。まったく、いくらなんでも酷すぎる」


 神の指摘に私は感心する。

 こちらの行動は筒抜けのようだ。

 その名に恥じない全知全能ぶりである。


「多少の暴走なら歴史の一つとして見過ごすところなのだがね。君はすべてを根底から覆そうとしている。因果も滅茶苦茶だ。箱庭の玩具が外に出ることは許されないのだよ」


 愚痴る神の目には、私に対する敵意があった。

 私を不快に思っているのは間違いなく、排除という言葉も冗談ではないのだろう。

 世界を統べる者にとって、ジェノサイドルートは望ましくなかったわけだ。

 数々の暴挙が限界に達した結果、神を呼び寄せる事態にまで発展したのである。


 身構えるリエンが、気まずそうに私を見てきた。


「マリス……向こうの主張が正論に聞こえるんだが」


「気のせいですわ」


「いやでも、神の立場なら迷惑がるのも当然で」


「気のせいですわ」


 無理やり押し通した後、私はリエンの目を見る。

 内から溢れる狂気を余すことなく伝えるように、じっくりと見つめた。


「リエン。つまらない道理など捨て去るべきですわ。我々はもっと本能的に生きるべきだと思いませんこと?」


 呆けた顔になったリエンだが、すぐにいつもの表情に戻った。

 彼は乗り気になって笑う。


「……確かにそうだな。ここまで来たら関係ないか! とことんやり通してやるぜ」


「我も同感なり」


「二人とも素晴らしい心がけですわ! 共に神を抹殺しましょう」


 レボも賛同したところで、私達は神に敵意を返す。

 ここで揺らいでいる場合ではない。

 相手は完全なる格上だ。

 命を賭して戦っても五分五分に持ち込めないのだから仲間割れなど論外である。


(いくら神でも人間に憑依した状態だ。本来の力は発揮できないだろう)


 そう考えた私は、高速で戦術を練っていく。

 一方で神は気取らない姿勢で首を傾げる。


「さて、意見は揃ったかね。では安心して死ぬといい」


 神が右手の指を鳴らす。

 次の瞬間、リエンとレボが破裂した。

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