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第89話 チート封じですわ

 魔法陣に拘束されたユウトなら余裕が失われていた。

 露骨に動揺する彼は、どうにか身動きを取ろうと抵抗する。


「な、なんで……スキルがあるから効かないはずなのに……!?」


「すきる、ってのはよく知らねえが、お前の能力はだいたい解析できたぞ」


 リエンが指を動かすと、拘束用の魔法陣が増えた。

 追加の魔法陣はユウトの手足や首などを締め上げて固定する。

 たまらずユウトは転倒した。

 リエンはその背中を踏みつけて告げる。


「お前、魔術結界で世界の法則を歪めやがったな? そいつを自分だけに適用して強くなってるだろ。俺の目は誤魔化せないぜ」


 リエンがユウトに向けて手をかざす。

 魔法陣が一斉に赤熱し、ユウトがを焼き始めた。

 拘束箇所から白煙が上がり、ユウトは手足を激しく動かして叫ぶ。


「うぎゃぁっ」


「だから俺は考えた。模倣した結界で干渉すれば、歪められた法則を打ち破れるんじゃねえかってな! 大当たりだったわけだ」


 魔法陣が小さくなってユウトの身体を圧迫していく。

 既に限界以上に食い込んでおり、手足からは血が流れ出していた。

 骨も折れているに違いない。

 ユウトは涙目で文句を言う。


「いたいいたい! 内臓! 内臓出るってば!」


「うるせえよ。黙って死ね」


 リエンは冷酷な態度で苦しみを与え続ける。

 あれだけ強かったはずのユウトが、何もできずに殺されようとしていた。

 私は一連の出来事に感嘆する。


(チート能力に対する魔術のハッキング……! 妨害技術に関しては誰もリエンに敵わないな)


 正攻法では決してユウトに敵わない。

 そこでリエンは独自の解釈でユウトの能力のメカニズムを理解し、その対策をしてみせたのだ。

 今のユウトは結界の効果で力を封じられているらしい。

 魔法陣で拘束できているのが何よりの証拠だ。

 簡単に負傷している点から、私との戦いで見せた反則じみた防御力も失われている。


 ただし、リエンの策も万全ではない。

 元を考えればとてつもないパワーダウンだが、ユウトはまだ膨大な魔力を保有している。

 固有の能力――スキルも不意に発動してくるかもしれない。

 だからリエンも攻めすぎず、魔法陣を増やすことで無力化を狙っている。

 会話で時間を稼いでいるのもそのためだ。

 ユウトの動揺を誘いつつ、着々と反撃の機会を潰しているのだろう。

 早期決着よりもリスクヘッジを優先するあたり、リエンの性格がよく出ていた。

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