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第8話 人間が塵芥のようですわ

 リエンは隆起させた地面で銃撃を遮って駆ける。

 そのまま学舎内へと逃げ込んだ。

 自分に有利な環境へと持ち込むつもりだろう。

 ああいうタイプは放っておくと厄介なことになる。

 それを経験で知っていた私は、すぐさま彼の後を追った。


 辿り着いた先は学舎内の大広間だった。

 避難していた生徒達が、私を見てぎょっとする。

 まさかここまで来るとは思わなかったのか。

 リエンは彼らの前を横切って別のフロアへ行こうとしていた。


「逃がしませんわ」


 私は即座にマシンガンを乱射する。

 リエンは氷の盾を生み出して防御した。

 見事な反応だが、逃げ惑う生徒や他の教師に流れ弾が命中している。

 おかげで広間のパニックは最高潮に達していた。


 混乱の最中、リエンが火球を飛ばしてきた。

 自在に爆発する厄介な術だ。

 私は弾切れのマシンガンを投げつけてぶつける。


 衝突の瞬間、大爆発が発生した。

 至近距離の炸裂によってまた別の生徒達が死んだ。

 それでもリエンの攻撃は緩まない。

 被害を恐れていては私に対抗できないと分かっているのだろう。


 爆散した人間が血肉となって降り注ぐ。

 私は目に付いた女子生徒の首に腕を回し、折れた日本刀を胸に当てた。

 その状態でリエンを睨み付ける。

 リエンは呆れ顔で嘆息を洩らした。


「人質なんてやめとけ。俺は躊躇わねえぞ」


「あら、思ったより薄情なのね。教師失格ではありませんこと?」


「まあそうだな」


 頷いたリエンが平然と魔術を行使する。

 彼の手から扇状に広がる突風が放射された。


 あれは、不味い。

 瞬時に理解した私は、人質を突き飛ばして屈み込む。


 突風が人質を真っ二つにした。

 上半身と下半身が離れ離れになり、破れた臓腑をこぼす。

 軌道上にいた他の生徒も切断されて崩れ落ちた。


 突風は止まらず、広間の壁を裂いて突き進む。

 壁の向こう側から悲鳴が聞こえたのは、隣室にいた人間にも被害が及んだからだろう。

 本当にリエンは容赦がない。

 範囲内で無事だったのは、その場に屈んだ私だけだった。


 私はショットガンを創造し、リエンに向けて発砲する。

 リエンは他の人々に隠れながら走り、広間の外へと逃れた。

 私は一定の間隔で発砲しながら叫ぶ。


「本当に教師失格ですわね! 生徒を平気で殺すなんて外道ですわ!」


「大目に見てくれよ。俺だって必死なのさ」


 広間の外から気楽そうな声がした。

 私は位置を予測して散弾を叩き込む。


 命中した気配はない。

 代わりに数発の突風が飛んできたので、私は勘で避ける。

 また生徒が数十人ほど犠牲になった。

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