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第63話 復活ですわ

 風に鼻をくすぐられて目を覚ます。

 少しの間、意識が飛んでいたらしい。

 砂でざらついた口内に不快感を覚えつつ、私は周囲を見やる。


 一面の焦土が延々と続いていた。

 冥王の能力で崩壊した上、私の攻撃で爆発したのだ。

 都市は跡形もなくなった。


 私が創造して冥王の口に突っ込んだのは大陸間弾道ミサイルだ。

 射程距離が威力に直結するわけではないが、首都を吹き飛ばすだけのパワーは十分にあったようだ。

 咄嗟に黒炎も混ぜ込んだため、魔術的な破壊力も極限まで増大したはずである。

 それらの相乗効果により、想定以上の範囲が消滅してしまったのだろう。


 甚大な被害の最中で私が死なずに済んだのは、冥王との繋がりがあったからだった。

 それがなければ再生能力や魂の増殖ではカバーできずにお陀仏だったろう。

 ある程度の見込みがあったとは言え、無謀な賭けだったのは否めない。


 風と共にサイレンのような音が聞こえてきた。

 よく聞くとそれは雄叫びだった。

 激しい怒りに駆られている、鬼気迫った声音である。

 私は声のした方角に向かうことにした。


 歩き始めてすぐに身体が軽いことに気付く。

 ただ再生したのではなく、魔力の性質が大きく変わっている。

 私の中に何かが混ざって変異を促したようだ。


 これはたぶん冥王の断片ではないか。

 繋がりがある状態で肉体がバラバラになり、再生する過程で冥王の力を取り込んだものと思われる。

 偶然の産物だった。

 新たな力はほどよく馴染み、既に私の一部となりつつある。


(役に立つか分からないが、まあ損にはならないか)


 少なくとも死の概念に耐性ができたのは悪くない。

 新たな武器として期待できそうだ。


 己の変化を分析していると、雄叫びの発生源に到着した。

 広大なクレーターの中央部に冥王がいる。


 私の位置から見えるのは後頭部だが、ケルベロスではなく人間のそれになっていた。

 ミサイルの爆破でケルベロスが消し飛び、本来の頭部が再生したのだろう。

 首輪や鎖も無くなって支配から解放されたようだ。


 そんな冥王は何かを滅多打ちにしている。

 執拗に殴られているのは大地にへばりついた肉塊だ。

 一瞬だけ再生した際に見えた顔はミアだった。

 ミアは無抵抗のまま叩き潰されている。

 ちょうど先ほどまでの私と同じ状況だった。

 自由になった冥王は、真っ先に報復を選んだようだ。

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