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第51話 没設定の主張が激しいですわ

 乙女ゲームに今代魔王の名は登場する。

 ただし勇者と同じくフレーバー的な存在で、シナリオ本編に関わることはなかった。

 世界観を説明する際に少しだけ出てくる、取るに足らない設定に過ぎない。

 あまりに情報が少ないため、種族がスライムだと知らなかった。


 そもそも過去の魔王であるジキルが本編に絡んでくるのだから、今代の魔王をわざわざ使う意味が薄い。

 設定的に被っており、乙女ゲームには不必要な部分だろう。

 没になっておかしくないのに採用されているのは制作会社のミスか。

 とにかく今代魔王は不遇な扱いをされているというのが私の認識だった。


 ところが、そんな今代魔王がなぜかここにいる。

 困惑はもちろん、疑問に思うのは当然の反応だろう。


(勇者を死んだ影響で私達に関わってきた?)


 考えられる繋がりで真っ先に思い浮かぶのはそれだ。

 あとは同じ魔王のジキルくらいか。

 何にしても予想外の展開であり、この上ないチャンスだと思った。


 私は微笑の仮面を張り付けて魔王スライムことレボに話しかける。


「先ほどはどうやって魔術を凌いだのでしょう? 何か力を使った様子はありませんでしたが」


「簡単なことだ。魔術を完全に吸収しただけである。魔王の加護がそれを可能にした」


「にわかには信じられねえが、実際に見たから否定できねえな……」


 悔しそうなリエンは、喋りながら魔術を連発してレボを攻撃する。

 しかし、いずれの術も地形を破壊するばかりでレボを傷付けることはなかった。

 無防備に受けているにもかかわらずノーダメージである。

 魔王の加護とやらは本物のようだ。


 リエンの攻撃を手で制した私は、引き続きレボに問いかける。


「あなたの目的は何でしょうか」


「授かった力で魔物の国を築く。それが我が野望なり」


「魔王らしいですわね。素晴らしいと思いますわ」


 私は素直に称賛する。

 リエンの魔術を無効化するほどの実力者ならば、十分に叶えられる夢だろう。


 問題はここからだ。

 レボと私達がどういう関係に至るか、それが重要である。

 今は普通に話しているが、次の瞬間には殺し合いが勃発しているかもしれない。


 能力の相性で言うと、リエンの魔術には期待できない。

 必然的に私が殴り合うことになる。

 レボの実力が不透明な現状、決定的な対立はまだ避けたい。


 とにかく相手の出方を見つつ、どう行動すべきか見極めなければ。

 気を引き締めた私は、今代魔王とのやり取りを続ける。

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