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第48話 血の海ですわ

 走る走る、ひたすら走る。

 額から生えたチェーンソーが猛然と唸りを上げていた。

 気が付けば私は高笑いを発し、ナイフとマシンガンを打ち鳴らして騒ぎ立てる。

 殺戮への期待が心身を絶頂させていた。


 突進する私に対し、軍隊は盾を密集させて並べる。

 その隙間から光の矢を放ってきた。


「しゃらくせえですわァ!」


 私はマシンガンを乱射しながら接近する。

 大量の鉛玉が盾を貫通して、兵士を次々と蜂の巣にしていく。

 薄い防具など現代兵器のパワーの前では無力なのだ。

 敵は前方を埋め尽くしているため、狙いを付ける必要もなかった。

 ただひたすら撃ちまくるだけでいい。


 一方、防御を度外視した攻撃のせいで、私の全身はズタボロになっていた。

 光の矢で穴だらけになり、破れた臓物が零れ落ちて足に引っかかる。

 どれだけ吐いても血は止まらず、武器を握る指も何本か弾け飛んでいた。

 せき込んだ拍子に、折れた歯が地面を転がる。


 それでも私は笑っていた。

 笑いながらマシンガンを捨てて、今度はショットガンを創造してぶっ放す。

 面倒だからナイフを投げた。

 くるくると回転してから兵士の顔面に刺さった。ざまあみろ。


 満身創痍の肉体は、凄まじい速度で再生する。

 私はよろめきながらも突き進み、チェーンソーに負けない大声を出した。

 噛み千切った舌を吐き捨ててまたも笑う。


 そのうち、兵士の一部がまた不可視の結界で押し潰された。

 骨が砕けて血飛沫が爆発し、無事な兵士が悲鳴を上げる。

 圧殺は連続で発生して、私を光の矢で狙う者が一掃されてしまった。


 見かねたリエンが援護してくれたようだ。

 別に必要なかったというのに。

 獲物を取られたことに少し腹を立てつつ、私は地面に敷き詰められた死体を踏みながら駆ける。


 兵士達はもう目の前だった。

 私は両手にハンマーと鉈を持ち、獣のような挙動で跳びかかる。


 立ちはだかる兵士は槍を突き出してきた。

 私は穂先を胸で受け止めて、貫通する痛みを味わいながら鉈を叩き付ける。

 分厚い刃が兵士の頭をかち割った。

 返り血と脳漿を浴びた私は次の敵を選定する。


 数人の兵士が光の矢を飛ばそうとしていた。

 しかし、遅い。

 十数メートルという距離は私の間合いである。


 真正面から走り寄り、ハンマーを振るい、鉈で切り付ける。

 兵士の顔面を粉砕して、首を刎ね、心臓をくり抜き、背骨を抉る。

 血みどろになって戦う中で、私の感覚はどこまでも研ぎ澄まされていった。

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