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第3話 クソ女がお亡くなりになるのは因果応報ですわ

 私は振り払うように電動ドリルを引き抜く。

 ミアは穴の開いた手を凝視していた。

 大量の血が腕を伝って地面に滴る。

 無理に動かしたせいで、皮と肉の一部がめくれていた。


 刹那、ミアは悲鳴を上げてしゃがみ込む。


「きゃああああああああっ」


 騒然とする一般生徒が逃げ出した。

 私の凶行でパニックだ。

 育ちの良いお嬢様にはショッキングな光景だろう。


 私は電動ドリルを持ってほくそ笑む。


「ふふふ、憐れですわね。ゲーム知識を持つのが自分だけだと思ったのなら大間違いですわ」


「ま、まさか」


 何かを言いかけたミアにドリルを押し付ける。

 今度は肩だ。

 骨で引っかかったので強引に押し込む。

 貫通したと同時に、返り血が私の顔や衣服を濡らした。

 ミアは地面をのたうち回って悶絶し、言いようもない優越感を覚える。


 時戻し前の術が使えてよかった。

 感覚的に可能なのは分かっていたが、問題なく発動したことに安堵する。


 この肉体は修練を経ていないため貧弱だ。

 魔力量も全盛期に比べると微々たるもので、使える魔術も限られる。

 それでもまったくの素人とは雲泥の差であった。


 乙女ゲームでの設定上、ミアは特殊能力を持っていない。

 周りの男から異様に好かれる体質なだけで一般人だ。

 プレーヤーの選択次第で大胆な言動をすることもあるが、平凡から逸脱するほどではない。


 だからあとは、中身の転生者の強さで決まる。

 目の間に転がる人物は、無様に泣き喚いているだけで反撃の兆しはなかった。

 これが演技でもない限り、私の脅威にはなり得ない。


「破滅エンドはお譲りしますわぁ!」


 私はミアの腕を掴み、電動ドリルで破壊を試みる。

 回転する先端部が袖を巻き込みながら貫通して血肉が迸った。

 ミアは下を向いて呻く。

 身体が震えているのは、苦痛と恐怖によるものか。

 青白い顔になったミアは、掠れた声で私に言う。


「……クソ野郎。ふざけ、んなよ。どうして、あたしがこんな目に……」


「遺言はそれだけですの? では、くたばりあそばせ」


 私は優雅な笑みで電動ドリルを動かす。

 とどめの一撃は、ミアの眉間に潜り込んだ。

 無情なモーター音に水音が混ざり、ミアの瞳から光が消えていく。

 軽く蹴り飛ばすと、彼女はぐったりと倒れて動かなくなった。

 返り血塗れの私は高笑いをした。

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