第103話 再生ですわ
執念深くスキルを探していると、世界創造系とは別に気になる能力を見つけた。
それは【存在復元】というスキルだ。
蘇生の上位版で、痕跡すら残っていない人間を完璧に蘇らせることができるらしい。
対象を見知っているのが条件だそうだが、制約の緩さに反して破格の効果と言えよう。
このスキルがあれば、味方を無限に蘇生できるのだ。
強くないわけがない。
これで世界を丸ごと復活できれば早かったのだが、残念ながら対象は生物に限るらしい。
だから私は、事態の解決を期待できそうな人物を呼び出すことにした。
自力での打破が無理なら、他者の力を借りればいい。
シンプルかつ当たり前な案である。
全能の力を手に入れたせいで、そこに至るまでに時間がかかってしまった。
神の首を絞める中で、色々とルーズになってしまったかもしれない。
何はともあれ、私は【存在復元】を取得してリエンとレボを指定した。
あの二人がいれば安泰だ。
世界最強の魔術師と今代魔王の知恵を借りようじゃないか。
手をかざしてスキルを発動すると、二人がパッと現れた。
随分とあっさりした演出だ。
もっと派手なエフェクトなんかが発生するのかと思った。
リエンとレボは虚無を見回して困惑する。
それから私の姿を認めると、途端に安堵した。
歩み寄ってきたリエンが私にハグをする。
「信じてたぜ、マリス。神をぶっ殺したんだな」
「ええ、やってやりましたわ。蘇生が遅くなって申し訳ありません」
「おいおい、謝るのはこっちだぜ。無抵抗にやられちまったようだからな」
「我が力不足を痛感した。恥の極みなり」
リエンとレボは悔しそうだ。
神に瞬殺されたことを気にしているようだが、あれは仕方ない。
私が例外的に耐えられただけで、本来なら即死するしかないのだ。
「それで、俺達は何をすればいい。役目があって蘇らせたんだろ?」
「話が早いですわね。二人には案を出していただきたいのです」
私は二人にここまでの経緯をすべて説明した。
スキルの仕様や効果についても詳しく話しておく。
諸々を把握したリエンとレボは、示し合わせたかのように意見を述べる。
「なるほど……世界創造か。まあ可能だろうが、それより確実な方法があるな」
「我も同感。世界創造は安定しない」
「その方法とは何でしょうか?」
私が問うと、リエンは不敵な笑みを見せた。
「虚無を抜け出して別の世界に転がり込むんだ。創造より引っ越しのが楽だろ」