あわわわ....
「さ、上がってください♪」
私は甘野さんに言われるがままに上がる。
綺麗な家だ。
これ、掃除するのにどれくらいの時間がかかるのだろうか?
「え、と」
私がどうしていいか分からず狼狽えていると甘野さんはニコッと笑って私の手を取る。
「ね、重田さん。私の部屋に来てください」
スタスタと階段を上がり甘野さんの部屋へ行く。
「ここが私の部屋です!」
中はとても甘野さんらしい可愛い感じの部屋だった。
「ベッドに座って貰っていいですよ」
「え」
「遠慮せず!」
私は恐る恐るベッドに腰をかける。
あぁフカフカだぁ。
すると甘野さんが隣に座ったかと思うと私の膝に頭を置いた。
「ちょっ、甘野さんっっ?!」
私はビックリして「さん」と言う声が上擦ってしまった。
「すいません、少しこうさせてください....」
「い、いいですけど、どうして、ひざ、まくらなんですか??」
甘野さんは少し黙る。
これ、地雷踏んだ?
「私、甘えられる相手がいないんです」
「え?」
「私、親から友達から先生から期待されていて....答えなきゃって。そうやって頑張っている内に誰にも頼れなくなってしまったんです」
「それで私に?」
「重田さんなら何だかこんな私を受け入れてくれるような気がして」
....これは信頼?いや、違う。
甘野さんの目はそういうことじゃない。
「....甘野さんは、私のこと好き、ですか?」
「え?」
私の膝に乗ったままの甘野さんがこちらを見て目を丸くする。
「甘野さんは、私を愛してくれますか?捨てないと言ってくれますか?」
「どうしたんですか?」
「私には友達もいません、親も冷たかったです。愛されるって何ですか?愛って束縛ですか?愛ってお互い信頼し合うですか?教えて下さいっ!!」
「....」
甘野さんは驚いていた。
「愛される、ですか....私にも分かりません。ですが、私は愛ってお互い許せる仲だと思うんです。今、こうやって重田さんに本当の私を見せているのは重田さんを許しているからですよ。今日会ったばかりなのに可笑しいですね」
「ふふふ」と甘野さんは笑って起き上がる。
「私は、甘野さんなら仲良くなれそうです....いや、甘野さんじゃなきゃダメです」
「私も、重田さんじゃなきゃダメかも....」
と言って甘野さんは私の肩によりかかる。
「絶対どこにも行かないでくださいね」
「勿論ですって言うか」
「甘野さんって」
「重田さんって」
「甘えたがりですね」
「愛が重いですね」
「愛が重いの嫌いですか」
「いいえ、愛が重ければ一生甘やかしてくれそうですから好きですよ」
「私も甘えたがりは一生愛してくれそうで好きです」