5,魔城の昼餐会
こちらの都合で長らくおまたせしてしまい大変申し訳無いです(土下座)
これからもこんなふうに連絡なしに間隔がかなり開くことがあるかもです。
それでも皆様の応援が狼花の励みになりますので、長い目でお付き合いしていただけると嬉しいです!
「セフェレア、落ち着け。そして怒気を引っ込めろ。城が壊れる」
少年は怒りに震えるセフェレアにそう声を掛けた。
確かに、魔城はミシミシと嫌な音を立て、ガラスの窓には薄く罅が浮かんでいる。
彼はまったく怒気を気にしていないようで、ヴラカスたちは驚愕した。
(この少年は一体?それに、何故この怒気の中で平然としてられる?)
「あのぉ、貴方はぁ、一体誰ですかぁ?」
彼の声掛けで怒気が少しだけ緩んだため、ちょっと立ち直ったアンベシルが訊ねる。
ヴラカスも少し余裕が戻ってきて、アンベシルが問いかけた少年に目線を向けた。
少年も視線をヴラカスに合わせて、にこやかに答える。
「ああ、名乗ってなかったか。勇者とそれに連なる者たちなら、わかると思ったんだが……。まぁ、いいか。
俺はレナトゥス。お前達が今から倒そうとしてる“魔王”ってやつだな」
「なっ!!お前が?!」
ヴラカスは再び驚愕し、新緑の瞳を見開いた。
目の前の少年が自分たちの討伐対象であることがにわかには信じられなかったのだ。
(しかし、彼女が彼に声を掛けてから怒気を緩めたのは事実だ。セフェレアは魔王に心から仕えていると言っていた。ならこの少年が“魔王”なのは本当の事?)
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レナトゥスは勇者達と話しながら彼らを観察していた。
サクレの言う、魔種になりかけているものを特定するために。
まずは話しかけてきた聖女。
それから、一番前でセフェレアの怒気に震えていた勇者。
次に聖女の隣で抱き合って怖がっていた、二人の女性。
最後に一番後ろで仲間を見守るように立つ大男。
レナトゥスは彼らの名前から職業、大まかな性格まで、サクレから聞いて知っていた。
(アイツわざと誰が変魔してるか教えなかったよな!?問いたださなかった俺も俺だけどさ……)
ヴラカス達の魔力の流れやオーラ、魂の色などを気付かれないように視ていく。
するとある一人に魂に影が絡みつき、魔力の波が魔種のものに変化してきているのが視えた。
(コイツだな。ったく、魔転の浄化はアイツの十八番だろうが。浄化魔法は得意じゃないんだよなぁ。でもまあ、200年の約束は捨てがたい。とっとと片付けるか。)
そう考えて、セフェレアに声をかける。
「セフェレア、準備は?」
「もちろん完璧に整っております。」
「よし。改めてよく来たな、勇者達よ。昼餐の用意をしたんだ。聖都から長旅で疲れているだろう?
食べてからでもいいんじゃないか?」
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黒いレースで飾られたテーブルクロスがかかるテーブルに素晴らしい料理の数々が並ぶ。
ヴラカス達は驚いていた。
魔王の食堂で出された料理が聖都の御馳走を遥かに超えるものだったからだ。
幻鳥をまるまる一匹をとても希少価値の高いハレーの果実で煮込んだもの。
なかなか手に入らないパミドールや柑橘に似たミズハの実などのサラダ。
他にも何を使っているのか考えたくなくなるほど貴重な食材をふんだんに使用した料理が、ところ狭しと並んでいるのだ。
(幻鳥シシルテは30年に一度見られるかどうかの超希少種だし、ハレーの果実はとんでもない秘境にしかならないんだぞ!?
こんなふうに料理に使う食材じゃねえ!)
トァブたちも同じことを思っただろう。
そんなとき、魔王から声がかかる。
「何を遠慮してるんだ?
せっかくセフェレアが用意してくれたんだ。食べてくれ。」
ヴラカスは思った。
なぜこの自称魔王はこんなにもマイペースなのか、と。
先程も食事を断ったヴラカスたちを魔力の鎖で縛り上げて食堂まで引きずり込んだのだ。
そんなことをされて、安心して飯を食べられる人間がいるだろうか。
しかし、テーブルに載った料理はとてもいい匂いを湯気に乗せながらヴラカス達が食べるのを待ち望んでいるようにも見える。
結局ヴラカス達は誘惑に負けて、セフェレアが作った料理を食べ始めたのだった。
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レナトゥスは食事を始めたヴラカス達を尻目にセフェレアに念話を飛ばす。
『なぁ、お前なんであんなに怒ってたんだ?』
『いえ別に。
ただ、奴らがあまりにも勝手なことばかりほざいているので少しばかりカチンと来ただけです。』
『ふ〜ん。あ、そうそう。変魔してるやつの浄化をあのクソ天使から頼まれてるんだが…』
『それを含め、準備は万端にございます。』
予想通りのセフェレアの発言にレナトゥスの口角が釣り上がる。
その笑みは見た者を卒倒させるであろう、凄絶に色めいたものだった。
間隔かなり開けたくせに、文章が稚拙でその上短くてごめんなさいm(_ _)m
これからもがんばりますのでよろしくおねがいします!