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魔王様の万能メイド、実は正体は〇〇でした!  作者: 犬前 狼花
3章 魔王様、聖都にて
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11,再び聖都へ向かうべく(3)

遅くなりましたが、明けましておめでとうございます!

大変長らくお待たせいたしました。

レナトゥスに中身を見られてしまった…。

セフェレアの頭の中はそれでいっぱいだった。

読めなかった、と彼は言っていたがそういう問題ではないのだ。


(魂乖離のこともありますし、急がないと…)


とりあえず手紙を開けば気取ったような筆跡でセフェレアの神経を逆撫でするようなことが書かれている。


【親愛なる君へ

    彼らが絶えず迫って来ていることを理解しているかな?

    助けが必要になったら、いつでも呼んでくれて構わないよ

    君が呼ぶのならどんな(しがらみ)も超えて駆けつけてあげる

                             君の最愛より】



(この前も思いましたけどコイツは本当に…!!)


手紙の主に対する苛立ちと焦りを解消すべく、セフェレアは厨房に走りレナトゥスの昼食の準備を始めるのだった。



   _________________________



セフェレアの差し入れのお陰で多少はやる気を取り戻したレナトゥスは、先程よりも多くの書類を同時に捌いていた。

二週間分の書類の山はもう半分ほどにまで減っている。

この要領で進めれば今日中に片付くのではないだろうか。


(3日でやれ、なんていうからどんな量かと思えば…)


確かに書類の量は膨大だった。

しかし、一つ一つ見てみれば署名するだけだったり、そもそも採択以前の問題でそのまま突き返すものばかりだったのだ。

お陰でセフェレアの見立て以上に早く終わりそうだ。

早く終わればその分早く聖都に行くことができる。

さっさと面倒事を終わらせて、オリアスでゆっくりしていたい、とレナトゥスは考えた。




   _________________________




一方その頃、聖都ではサクレとソアレが教会本部にて仕事に邁進していた。

各地で一斉に起こった魂乖離の原因究明、神官が倒れたことにより滞った各地の行事などの采配など普段はサクレ自身では行わないようなことまで含まれる。


「この前の件、ソアレはどう思う?」


サクレが随行するソアレに意見を求めたのはもちろん魂乖離の件である。

魂乖離はとても珍しいが起きない訳では無い。

しかし、一斉にしかも魂と魄が完全に分離しない、半端な形で起こるというのがあまりに不自然なのだ。


「私には分かりかねます。ただ、一つ言えるのはきっとここから状況は動きます」


確固たる自信があるようなソアレの口調にサクレは驚いた。

ソアレは未来の話をすることを好まない。

話したとしても、大半は言葉を濁したり曖昧な表現をしたりして話を逸らそうとするのだ。

そんな彼が断言するのだから、サクレは言いしれぬ不安のようなものを感じた。


「珍しいね、君が未来のことそんなふうに言うのは」


「そうですね…でも事実なので。これくらいなら言っても怒られないでしょうから」


「誰に?」


「我が主に、ですよ」


これ以上深堀りしようとしても答えてくれなさそうな気がして、サクレは質問を変えた。


「レナトゥスから来た手紙、読んだ?」


「いえ、ですが大方予想が付きます。近日中に聖都へ来られるのでしょう?」


「うん。だからそれまでに魂乖離の原因究明をしとかないと」


聖王として参加しなくてはならない各地の行事日程の整理、采配をあらかた終えた二人は魂乖離を起こした神官が一番多かった教会へ転移した。




   _________________________




一番被害者が多かったのは郊外にあるオロス地区の教会だ。

その名の通り山岳地帯だが、そこから得られる上質な水資源と森のめぐみによってとても栄えている場所だ。

そのため、教会も本部に次いで大きく神官の数も多い。


「この度はご足労をおかけいたしました」


オロス支部の神官長が頭を下げるのと同時にその場の神官たちもそれに倣う。


「お気遣い感謝する。今日は魂乖離についての調査に来ただけだから普段通り業務に勤しむように。こちらがなにか尋ねた際には応じてくれると助かる」


「御意」


神官たちは声を揃えてそう言うと、参拝者の下へ散っていった。


「神官長、ここ最近変わったことはなかったかい?」


「特には…。立ち話もなんですから移動しましょう」


神官長に案内されて応接室に向かおうとするサクレにソアレは声をかけた。


「サクレ様、私は教会内を見てきます」


「分かった。いいかい、神官長?」


「もちろんです。案内役をつけましょうか?」


「いえ、大丈夫です。では」


ソアレは一礼して二人のもとを離れた。

向かうのは教会の裏にそびえ立つ霊峰トレートルの中腹にある大聖堂だ。

そこは特別なミサの時にしか使われず、普段は誰も入らない。

しかし、ソアレはそこになにかあると確信を抱いていた。


教会の裏手から伸びる回廊は大聖堂直通のものだ。

長い坂道を登り終え、清廉を表す銀の装飾が施された扉を開けた。


中はひどい有り様だった。

ステンドグラスはひび割れ、床に散らばっていて、中の調度品も傷だらけ。

まるでこの中で暴風が吹き荒れたかのような惨状である。


「やはり…」


惨状を物語る破片たちを検めながらの呟きに反応する声があった。


「何がやはりなの?」


「サクレ様…」


いつの間にか大聖堂にやって来ていたらしい。


「教会内を見て回るって言うから探したんだよ?なのにこんなとこにいるなんてねぇ。わかってると思うけど、ここは僕でも妄りに入っちゃいけない。何しに入った?」


サクレはにこやかに言うが目が笑っていない。

これは彼が本当に怒っているときの癖だ。


「少々気になることがありましたので。しかし、魂乖離の原因は分かりました。詳しい報告はレナトゥス様がいらっしゃってからいたします。()()()にも聞いていただきたいので」




今回も短めでスミマセン…

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