3,魔王様にご褒美を(2)
皆様、死ぬほどお久し振りです!!
なかなか(と言うには長すぎますが)更新できず誠に申し訳ありませんorz
やっとの思いで仕事を捌き切ったレナトゥスが執務室の扉に手をかけると同時に、外から声がかかった。
「レナトゥス様?お仕事終わってらっしゃいますか?」
「もちろんだ!」
「それはようございました。では食堂にいらしてくださいね」
それだけ言うとセフェレアの気配は遠のいていってしまう。
それを追いかけるようにしてレナトゥスは執務室を出た。
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相変わらずシンプルで清潔感に溢れた食堂のテーブルには、レナトゥスがリクエストした料理の他にも多くの料理が載っている。
「セフェレア、流石に俺だけじゃ全部は食いきれないぞ?」
「分かっております。今回は彼女の分も作ったのでこんな量になってしまっただけです。勇者一
行との交戦、魔界での一件、それに貴方の仕事まで手伝ってくれたそうではないですか」
「げッ、なんでそれを知って…」
「当たり前です。
あまりタダ働きさせると愛想をつかされますよ?」
「もともとアイツは俺に愛想なんて無いだろうが。でも、いなくなったら困るな。
顕現せよ、レヴォネ」
レナトゥスの足元から放射状に黒い光が放たれる。
光が晴れたとき、彼の前には一人の少女が立っていた。少女は身長145センチほど。
漆黒の髪をツインテールにして黒いレースのリボンで結んでいる。
服は膝上丈のゴシックドレス。
色はもちろん黒である。
瞳の色は赫。
その姿はさながらレナトゥスを幼女にしたかのようで、とても愛らしい。
「主様がなかなかご褒美をくれないから焦ってしまいましたわ」
少女はその容姿に似合わぬ口調で言う。
しかし、レナトゥスやセフェレアから見れば少しませた女の子が大人のマネをしているようでなんとも微笑ましい。
「色々とありがとうございました、レヴォネ様」
少女の名はレヴォネ。
そう、レナトゥスの魔導書、暗夜の魔典レヴォネが擬人化した姿である。
「いいえ。主様の命令に従ったまでですから」
レヴォネはブスくれたような、でも満更でもなさそうな顔で言う。
「そういえばお前もよくそう言うけど、お前の主は俺だよな?」
サクレの持つ魔導書が擬人化した姿であるソアレの言葉を思い出したのだろう。
「違うわ。私の主はアンタなんかじゃない。
私はずっと主様のお側で主様にお仕えしたいのに…。そもそもなんで主様がアンタのことを気にかけてるのかが分かんない!」
編み上げのショートブーツを履いた小さな足で地団駄を踏む様子でさえ愛らしい。
「まあまあレヴォネ様。気を落ち着けてください」
穏やかに微笑みながらお子様ランチのようなメニューが載った大皿を差し出すと、膨れた頬を嬉しそうに緩めて、いそいそと席について食べ始めた。
その様子を見てレナトゥスも椅子に座る。
するとすぐにセフェレアが彼の料理を取り分けて並べた。
「久しぶりに食べるなぁ」
レナトゥスが感慨深げにナイフを入れたのはルキャナールのソテー。
カヴィアールの塩漬けが乗っている。
「なかなかお目にかかれない食材ですから」
セフェレアはそう言いつつレヴォネに新たな料理を取り分けている。
レヴォネは幼女の姿をしているがとんでもない大食らいなのである。だからセフェレアは食堂のテーブルを埋め尽くすくらい大量の料理を作ったのだ。
「お前は食べないのか?」
「私は使用人ですし、食事は必要ないですから。レナトゥス様もご存知でしょう?」
「まあ、な」
そうして和やかに晩餐の時間は過ぎていった。
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多くの食事に満足したレヴォネは本になって眠り込んでしまったため、レナトゥスの空間の中に戻した。
食後の紅茶を飲む、なんとも穏やかな時間だろうか。
「そういえばセフェレア。いつ聖都に行く?」
「確かに、計画を立ててませんでしたねぇ。まあ、レナトゥス様のお仕事も一段落ついていますし、サクレ様に連絡を取って都合のいい日程を確認しておきますので計画を詰めるのは明日でも良いでしょう」
「分かった」
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レナトゥスが自室に引っ込み、セフェレアは厨房で晩餐の後片付けをしていた。
大量の食器やら調理器具やらを洗い、風の魔法で乾かして収納していく。
その間にも食堂の方では箒がせわしなく動き回り、掃除をしている。
そこに飛んできた一匹の紙の鳥。
先程、ソアレにサクレの予定を聞く手紙を送ったのでその返事だろう。
手紙にはソアレらしい流麗な字で"来る前に一報くれればいつでも良い”と書かれていた。
これを見ればレナトゥスはすぐにでも行こうとするだろうが、勿論そんなことはさせない。
片付けを進めながら明日のことを思う。
(とりあえず一週間後の出発って言っときますか。そうやって誤魔化しでもしないとすぐ仕事投げ出していこうとしますからね、あの人は)
忙しく動いている割にほとんど音を立てない掃除道具たちは役目を終えて自らの居場所へ戻っている。
セフェレアも掃除の後片付けまですべてを終えて自室へ引き上げた。




