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魔王様の万能メイド、実は正体は〇〇でした!  作者: 犬前 狼花
1章 魔城オリアスの日々
10/46

9,魔王の本気

第7部分を削除させていただきました。

一章の終わりに少し変えたものを投稿します。




ヴラカスはそのキラキラしい顔に苦悶の表情を浮かべていた。 

魔王へ攻撃するための陣を壊したトァブは魔王に跪くと、“勇者たちを抑えろ”という命令に従ってヴラカスにかなりの威力を込めた攻撃を始めたのだ。


「トァブ!目を覚ませ、なんで俺達を攻撃するんだよ?!」


トァブがヴラカスの声に応えることはなく、その瞳は濁り、ただ“主の命令に従う”という無味乾燥した意思が浮かんでいるだけだった。

 

武闘家(モンク)らしく重くて速い拳を打ち出してくるトァブに反撃をしたくてもできなかった。


(魔王め、トァブに何しやがったんだ?!

 トァブの動きがいつもよりキレる、殺すつもりで相手しなきゃ当たらない!)


仲間なのだ。殺すことなど出来はしない。

そんなことを考えていても、トァブの攻撃が止むことはない。

無駄と言える剣戟を繰り出し牽制しようとしても低い姿勢で躱され、カウンターをくらう。


一瞬、ヴラカスは魔王に視線を向けた。

たったその一瞬をついてトァブが懐に潜り込んできた。

ハッとしてトァブに意識を向け、避けようとするが時すでに遅し。

トァブはもう攻撃の姿勢に入っていて、ヴラカスは咄嗟に自身の剣をトァブに向かって突き出した。




 ―――――――――――――――――――――――――




(はぁ、俺は勇者()を抑えとけって言ったんだけどなぁ。あれじゃ勇者()()しか抑えられてない。まぁしょうがないか。)


仕方無しにレナトゥスは詠唱を始める。


「夜より暗く、陰より黒き深淵に座すもの。我が名のもとに此処に顕現するを赦そう」


詠唱が終わった途端、レナトゥスから魔力が放出され、黒い繭が出来上がる。

繭が解けて出てきたのは1羽の烏だった。


「幻獣アルパガス、お前らの召喚した幻獣ゲベートの対だ。アルパガス、久しぶりのゲベートとの逢瀬を楽しんでこい。」


レナトゥスがそう言えば、アルパガスとゲベートは絡み合うようにして謁見の間の壁をすり抜けて飛び出し、どこかへと行ってしまった。


その時、一本のナイフがレナトゥスに飛んできた。

レナトゥスはそれを避けようともしない。

突き刺さるかと思われたナイフは、2本の細い指に阻まれて彼の喉元で止まった。


「レナトゥス様?なんで避けないんです?」


そこにはセフェレアがいた。


「丁度いい。セフェレア、残りを抑えてろ。浄化式の準備をする時間を稼げ。」


「畏まりました」


レナトゥスはセフェレアにそう命じるとすぐさま術の構築を始めた。




 ―――――――――――――――――――――――――





“なんで?!”


ナルの頭の中はその一言で埋め尽くされていた。

なぜなら、先程ナイフを投げたのはナルだからだ。

投げる前にフォルに認識阻害を、速さと威力を出すためにアンベシルに聖光の魔法をかけてもらったのに、それを易易と認識し、しかも人差し指と中指で挟むだけでその威力を殺したのだ。


セフェレアが歩いてくる。とても優雅に。まるでこちらを敵とも思っていないような態度で。

ナルはセフェレアに疑問を投げつけた。


「なんでナイフを止められたの?!

 認識阻害とか速度上昇とかいろんな術がついてたのに!」


「それは……」


セフェレアはナルの疑問を受けて首元を飾る白地に暗赤色の刺繍の入ったリボンタイをシュルリと解き、黒い詰め襟のメイド服のボタンを外すと、首元を開けさせた。


そこには蔦模様のような何かの(しるし)があり、まるで首輪のようだった。

それを指してセフェレアは言う。


「コレは私とレナトゥス様との契約印です。コレのおかげで私も少しだけレナトゥス様の力を使えるのです。ですので、それで諸々の効果を打ち消して止めました。

 疑問にお答えできましたでしょうか?」


よくよく見てみれば蔦模様に見えるそれは、古代文字を崩したものだと判った。文字が崩され過ぎて残念ながらナルには読めなかったが。


「“再生の悪魔と契約せし者 汝の魂に安らぎのあらんことを”ですかぁ。」


アンベシルには古代文字の教養があるらしく、スラスラと崩された文字を読んでしまった。

ナルはもはや原型を留めないほどに崩された文字をいとも容易く読んだことに素直にすごいと感じた。


「どういたしますか?私は貴女方に攻撃をするつもりはないですが。」


セフェレアは服装を直すと、平然と聞いてくる。


「そうね。貴方と戦う気も、理由もないのにやり合うのはちょっと。ところでアンタホントに何者なの?」


そう言ってナルがセフェレアと話をしようとしたときだった。


「ぐぁアァーーーー!!!」


獣の咆哮のような声を聞いた。その方を見れば、ヴラカスの剣が腹に突き刺さり、周囲に血の海を作りかけているトァブがいた。



 ―――――――――――――――――――――――――


(マズい!!)


レナトゥスは久々に激しい焦りを感じた。

トァブがヴラカスの聖剣に刺されたのだ。

すぐにトァブから溢れ出た魔力の奔流が謁見の間を吹き荒れる。


「トァブ、止まれ!」


トァブに叫ぶも、もうレナトゥスの声も聞こえていないのか、命令に従う様子はない。


『トァブが魔種化する!

 魔力にあてられないよう勇者達を保護しろ!』


セフェレアに急いで念話を飛ばし、そう命令すれば、


『もう保護陣を敷いてあります。』


と頼もしい答えが返ってきた。

その言葉を聞いたからなのか、頭の中を締めていた焦りが嘘のように消える。


(セフェレアが保護陣を敷いたなら問題ないな。

 しかし、ちょっと調子に乗って遊ばせ過ぎたか。まぁいいや。とっととやろう。)


レナトゥスは足元に魔法陣を出現させる。

そこに自身の魔力を流していく。すると、淡く輝いた陣から20匹程の紫死蝶が現れ、トァブに向かって飛んでいった。



 ―――――――――――――――――――――――――




セフェレアが敷いた暖かな金色の光を孕んだ防御陣の内側でヴラカスは思考の渦に呑まれていた。


(刺してしまった……。咄嗟のこととはいえ、仲間を。魔王を倒すために与えられた聖剣で……。

 トァブは大丈夫なのだろうか?魔王がなにかしているようだが、彼らに群がる紫色の蝶が邪魔で見えない……。)


「ーーカー!ヴラーー!!ヴラカス!!」


「!」


思考を打ち破るかのように外から聞こえた声にハッとする。そこには心配そうに顔をのぞき込むアンベシル、フォル、ナルがいた。


「ヴラカス様、一体何があったんですか?トァブが急に魔王を助けて、しかも跪くなんて。それにあろうことか攻撃まで。」


「それについては私が答えさせていただきます。」


陣の中でヴラカスたちを見守っていたセフェレアが口を開いた。


「トァブ様は変魔、つまり存在が魔種化しつつある状態でした。今回はさるお方からトァブ様の浄化を依頼されておりましたので、レナトゥス様はもう少し変魔が進んだら浄化をする予定だったのですが……。」


そこで一度言葉を切り、セフェレアはヴラカスの方に視線を投げた。


「レナトゥス様が少々トァブ様の技量を見誤りまして、ヴラカス様にトァブ様が刺され、魔種化が促進されてしまった。そして今、トァブ様の浄化の儀式中という状況となっております。」


「じゃあトァブさんはぁ、は自分の意思でヴラカスさんをを攻撃したわけじゃなくてぇ、私達を裏切ったわけでもないってことですかぁ?」


「今回の過失はレナトゥス様にありますのでそういうことになりますね。」


「ならこの城での戦いが終わったら、また皆で旅が続けられるんですね!

 ところでセフェレアさん、“さるお方”って誰ですか?」


「それは私の口からはなんとも。

 そろそろ浄化が終わりますね。」


セフェレアはフォルの疑問には答えず防御陣を霧散させ、ヴラカス達に出るように促す。

謁見の間の黒い天井は紫死蝶と散開した金色の防御陣で輝いていた。




《レナトゥス》

·普段は15歳程の見た目をしているが、本来は5000年以上

の時を生きる魔界でも有数の大悪魔

·3000年前のフロルの聖魔対戦では魔種の軍を率いて魔界

との境界まで迫ってきた聖種を聖魔ともに一体の負傷者

も出すこと無く退けた

·本性は悪魔らしく残忍で冷酷無比であり、怒らせてはな

らないという聖種、魔種、両方の暗黙の了解となってい

るが、怒らせなければ温厚で意外と優しい


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