第九章 好きでもない女子とデ- トしたら好きになるってアレ、意味不明
絵那ちゃんは、俺に抱かれたまま硬直していたが、しばらくして
「…たっ、薫一くん?」
「ん?」
「たぶん、そろそろみんな捜しに来てくれると思う…」
「あぁ、そうだな。」
俺は絵那ちゃんを離した。
絵那ちゃんの予言通り、『絵那ちゃん目当てに』みんながやってきた。
北村がいった。
「絵那ちゃん!こんなところに…あと薫一も………。」
「で、なんで薫一はなかなか帰ってこなかったんだ?」
流時が続けた。
俺が白状しようとしたとき、絵那ちゃんが言った。
「あのね、トイレの位置を探して歩いてたら、行きすぎてさらに雪の穴にはまっちゃったんだって、一瞬死んじゃったかと思ったの。」
「そりゃ、あたしらだってそう思ってたよ。」
「無事でなによりだな、絵那ちゃん。……と薫一。」最後の北村の言葉はムカついたが、かばってくれた絵那ちゃんに感謝だ。
「俺も大変だったんだぜ。寒くて、どこにいるかすら分かんなかったからな。絵那ちゃんに感謝だよ。」
素直な気持ちで、嘘を生クリームのように添えて、俺は言った。
「とにかく、戻ろう。」
拒絶されなかった。
それが、山小屋に戻ってさらに正気に戻った俺が考えた唯一のことだった。
俺……いけるかも。
勝手に意味分からないことを考えてみたり。
好きでもない女子とデ-トしたら好きになるってアレ、意味不明だけど、この原理があるなら、絶対に絵那ちゃんは俺が好きになるはずだ!!とそれこそ意味不明なことを考えたり。
そっから先の俺の心は、雪山にはあり得ない暖色の花が咲き乱れていた。
薫一くんはホントに扱いやすいキャラで嬉しいです|・∀)/~~