第十章 楽しいのはその場だけであとは切ない
スキーは何事もなく、無事に終了した。
もちろん、死者はいない。
行方不明者もいない。
いるわけないのは当然だ。
みんなは、ここで死のう、迷子になろうなんて考えてるわけないんだから。
スキーの怪我人もいなかった。
ここにスキーのことをくわしく書いてもいいのだが、そっちに気をとられると困るので、あえて書かない。
実を言うと、全然覚えてない。
絵那ちゃんのことで、頭がいっぱいだったからだ。
ただ漠然と楽しかったのは覚えているけれど、それも絵那ちゃんを抱き締めた感覚が、まだ生々しく身体に残っていたからかもしれない。
俺って、昔、噂で言われていたように案外エロいのかもな。
てか、なんであんなに腰まわりが細いんだろう。
なんであんなに、柔らかい身体(特に上半身)があるんだろう。
なんであんなに、暖かい息を吐いているんだろう。
こういう疑問を続ければキリがない。
つまり、実に小学6年生らしい、エロくて素朴な疑問だったわけだ。
なんでこんな幼稚なんだろうな。
とにかく、俺はあの出来事、絵那ちゃんを抱いたことで、自分が絵那ちゃんを愛していたことを自覚してしまったわけである。
この自覚=エロい発想(というか妄想?)=愛
なのである。
そんな大袈裟に呼びまわるほどでもないのかもしれない。
でも、小学6年生の、さらに
年齢=彼女いない歴
の一般的な俺にとっては、好きな子を抱いただけで、勝手な妄想へと誘われてしまうのである。
薫一がおかしくなっちまいましたね(゜∀゜δ)
すいません。