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セフィロトの書〜賢者は賢者と知らない  作者: 華音 楓
プロローグ
14/103

第2話SS モンスター・パニック~勇者サイド②

 カランコロン。


 レイアスが、店のカウンター内の椅子に腰掛けながら本を読んでいた時、入り口から来店を知らせるベルの音が鳴った。


「いらっしゃい。レイアス雑貨店へようこそ。」

「ひさしぶり。レイアス、元気してた?」


 レイアスは客が来たかと思い、入り口に視線を向けた。その入り口には、一人の青年が立っていた。その青年を見たレイアスは、少し驚いた顔をしたのち、親し気に青年へ話しかけた。


「久しぶりだねアルフレッド。相も変わらず勇者様してるみたいだね。ここまで話が聞こえてくるよ。」


 青年の名はアルフレッド=アーサー。職業は勇者。先の魔王討伐部隊の主力メンバーで、現在も魔王の残党討伐の為、世界各地を転戦していた。そんなアルフレッドにからかうように、レイアスは答えた。


「やりたくてやってるわけじゃないんだけどね。」


 アルフレッドは、肩をすくめながら嫌そうな顔を浮かべていた。


「それでも、ちゃんと勇者様しているアルフレッドを、僕は尊敬しているよ。」

「やめてくれ、こそばゆい。」


 アルフレッドが、本当は勇者をやめたいと思っている事をレイアスは知っていた。それでも戦い続けるアルフレッドを、レイアスは本気で尊敬していた。自分には無い、強い信念がそこにうかがい知れるからである。

 しばし、店のテーブルで二人でお茶を楽しんだ。取り留めのない日常の会話。アルフレッドの愚痴。グチ。またまたぐち。とめどなくあふれる愚痴に付き合い、その時間を二人は楽しんでいた。


「なぁ、レイアス。まだ後悔しているのか?あいつのこと…」


 唐突にアルフレッドはレイアスに訪ねた。二人の間に、わずかな緊張感が走った。アルフレッドは、聞いておきながら若干の後悔をした。自分が触れていい話題ではなかったのかもしれないと。


「…まぁ…ね。してないっていえばウソになる。でも、心の整理はついているよ。もう、大丈夫だから…アルフレッドもあまり気にしないでもらえると嬉しいよ。」


 レイアスは、少し顔を伏せながら、絞り出すように語りだした。それは晴れやかな声ではなく、少しの後悔を感じさせる…そんな声だった。


「すまない。気を悪くしたんだったら謝るよ。」

「大丈夫。もう大丈夫だから。」


 アルフレッドはそんなレイアスに謝罪し、レイアスもその謝罪を受け入れた。


「それにしても、このためにわざわざここまで来たの?」


 話題を変えるためレイアスはアルフレッドの用事を確認した。


「ちがうちがう。あまりにも多忙すぎたから、少し休暇取ってきたんだ。」

「え?勇者様って休暇取れたんだ?」


 アルフレッドは若干怒気をはらみながら答えを返した。レイアスは、冗談のようにからかいだした。


「まじでいってる?そんなことしたら、俺死んじゃうよ?モンスターにじゃなくて忙しさに殺されちゃうって。」

「だよね。それを聞いて安心したよ。」


 冗談だとわかりつつもアルフレッドはレイアスの話に乗り、その場の空気が緩んでいくのを感じて、ほっと胸をなでおろした。


「で、いつまでこっちにいる予定なの?」


 レイアスは改めて、アルフレッドの予定の確認をした。


「数日はこっちにいるよ。その後、聖女様と大魔術師様に挨拶して本国へ帰還する予定委になってるよ。」


 アルフレッドは、めんどくさそうにそう答えた。表情は、とてもとてもめんどくさそうだった。


「ちゃんと二人の名前読んであげなよ。聖女様にはルインゼ。大魔術師様にはルーナって名前があるんだから。」

「ヤダよ。二人とも名前で呼ぶとニヤニヤしながら近寄ってくるんだよ?絶対俺が女性苦手なのわかっててわざとやってるよね?」


 レイアスはそんなアルフレッドに名前で呼ぶよう嗜めると、アルフレッドは本気で嫌そうに答えた。


「………。そのうち背中刺されるよ?まじで?」

「なんて物騒なこと言うんだよ。」


 レイアスはアルフレッドの答えに、「こいつ、まじ鈍感すぎないか?本気で言ってるの?まじで?」と心で思った。だが、言葉にするは違うと感じ、冗談で返した。しかし、アルフレッドは若干顔が青味掛かり、頬には一筋の汗が流れていた。


「レイアスの感はあたるからな…」


 アルフレッドは、そう呟いたのだった。


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