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異なるもの
買い物から帰ってくると、雨足はさらに強くなってきた。
午後の雑用を終え、俺は夕方に帰路に着く。
研究所を出ると、冷たい雨が土の地面をドロドロに溶かしていた。
俺は研究所に置かれた傘入れから、何年も使われていないようなものを引き抜き、さした。
埃っぽい臭いがするが、穴も空いていないさそうだなら大丈夫だ。
俺はぬかるむ地面を、水溜りを避けながらゆっくり歩く。
研究所の門扉を締めた時、ふと人影を感じて横を見た。
「………」
見間違いかと思った。例えば木や、電灯。
そういった背の高いもの。
だが土砂降りで煙る視界の中でも、見間違いではなかった。
人と形容するにはあまりに異質だった。
3メートルくらいある体は全身紫色に染まり、人の顔に当たる箇所には切り裂かれたような口と、赤い目が中心に添えられていた。
その赤い目が、
こちらを見ている。
灰色の空と雨の中、立ち尽くし、こちらを見下ろしている。




