砂はゆっくり落ちる。
オールの一件から5日経ったが、セラはそれから家へ帰っては来なかった。
どうやら一度衣服だけ取り替えに来た痕跡があったが、俺は学校にいて会ってはいない。
俺は窓越しにアミルとグランが魔法を練習しているのを眺める。あいつらに付き合うのはやめてしまった。
土台話が合わなかった。無論、それは俺のせいでしかないが、どうにも虫の居どころは悪かった。
オールもまだ目を覚まさない。怪我の具合も多少は回復に向かい、いつ目を覚ましても珍しくはないと医者は言っているが、当のオールが目を覚まさなければ状況は何一つ変わらない気がしていた。
頭をかいた。
「俺は無力だな。ごめん、オール」
また見ているだけだ。
自分とは関係のないところで、自分と関係する人が苦しんでいる。それをただ見ているだけ。俺は何も変わっていない。
金属球を力強く握った。思い切り投げつけたい衝動に駆られた。
だが、それは教室の至る所から向けられる視線に気づいて、ふと我に帰った。
天使が襲われた。
その知らせはもれなく新聞記者の餌食となった。
次の日には、クラス中のみんなが知ることになり、クラスから向けられる不愉快な視線はここ数日絶えなかった。
アミルは少しの間だけ我慢だと言った。不幸なことだにオールも目覚めず、病院の外には無数の記者が構えているせいで、俺とアミルも病院には容易に近づくことが出来なくなった。
膠着して、面白味が無い日々が続けば記者もすぐ飽きますよ。
そう言ったアミルは今では楽しそうに魔法の練習をしている。俺なんだか見ていられなくなった。
予鈴がなる5分前。
俺は好奇な視線をなんとか避けながら、一人静かに午後の授業をサボることにした。
また、行き場を失った。
次はどこで時間を潰そう。オールが目覚めるまで、時間なんて無くなってもいいのに。




