襲撃
片翼がちぎれている。
白い病室で紫の天使が包帯にまかれて横たわって・・・とても痛々しい。
「オールが、襲われた・・・?」
セラの一言に俺は愕然とした。
「い、いったい誰にですか!?無事なんですよね!?」
アミルは声を震わせ、焦るように問いただす。
「・・・死んではない。でも詳細はわからない。調べてる」
それが三分前。
俺はアミルにつかまって、セラとともに街の上空を飛んでスカイシティ第一病院に来た。そこにいたオールの姿を見て、俺は膝から崩れ落ちた。
アミルは手で口を覆ってセラにもたれながら嗚咽を漏らしていた。
「・・・なんで、オール・・・嘘だろ」
「意識はないけど、重傷じゃない。天使は回復力が強い。心配いらない」
「・・・けど、セラ!オールの翼が・・・ッ!」
「天使の翼は時間をかければ必ず治る。ちぎれた翼もあるし、くっつけられる」
セラはいたって冷静だ。スカイポリスの警察官だけあってトラブルに慣れているのだろうか。
「・・・でも、とても痛かったはずです。こんなに引き裂かれているなんて・・・私なら激痛でショック死してますよ・・・」
アミルは涙を拭きながら言った。
「私たちが駆け付けた時には、もうこの状態。周りには人もいなかった」
「オールは仕事中のはずだよな?ほかの職人たちはいなかったのか?」
「・・・オールは仕事場にいなかった」
「「・・・は?」」
俺とアミルが同時に声を上げる。
「・・・レバーレッジ橋があった場所の近くで倒れてた・・・オレガンス島につながっていたあの場所」
わずかな静寂。
「・・・なんで、そんなところにオールが・・・」
「今、それ調べてる」
「絶対おかしいです!オールは冗談ばっかり言うけど、仕事にはいつもまじめですし、さぼってることに対しては特に厳しいのに!」
「知ってる。警察で調べるから待ってて」
「私も手伝います!レバーレッジ橋跡で何か残ってるかも・・・!」
セラがアミルをきっと見た。
「ダメ。絶対。アミルとアランは家に帰る」
「なっ、どうしてですか・・・!私も・・・!」
「これ以上身内、危険にさらせない。何もわからないうちは大人しくして」
「ですけど、セラ・・・!」
セラブルがアミルの唇に指をあてる。
それ以上口を開くなと制したのだ。
「悔しいのも、怒っているのも・・・アランとアミルだけじゃない」
その眼には、今まで見たことない鋭い眼光が宿っていた。
その眼に圧されたのか、アミルは口を閉じて、俺の肩にもたれた。
「今日戻らない。アラン、ご飯作ってて。よろしく」
セラは俺に少し微笑んで、病室を出ていった。
「・・・ああ」
・・・・・・
セラが病室を出た時、壁に背を預けてロゼルルがいた。
「ロゼ」
「私は行くわよ。オールをあんな風にしたやつは・・・必ずぶっ殺す」
「なら私と一緒に来る。犯人探しが先」
そうして純白と紅血の天使は病院を後にする。




