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第17話 再びドナドナ

はい、こんにちは。

私は今とてもきらびやかな王城に居ます。


謁見の間でしょうか?

日持ちしないのに生花が飾られてとても高そうな壺とか調度品がありますねーーー(棒)


あ、私は年齢一桁の子供ということなので跪くのを免除されて椅子が用意されてました。

あと、VIP待遇なのか紅茶とチョコレートが用意されてますが、残念なことにどちらも前世から嫌いなので手をつけられません。


どうせならピル○ル用意しろや(傲慢)


以上、アリス=ウインターローズによる現場からの中継でした!!



と、また現実逃避してしまったが……


はい、今回私がドナドナされたのは今私の膝の上で呑気にすやすや寝ているスライム改めインペラートルシルバードラゴンことステラが原因です。


ただのメタルスライムだと思っていたのが

神話にも名を残す神の使いとも言うべき神獣だったのです!!


はい罰ゲームキターーー!!


普段診療の時しか【鑑定】を使わないので、うっかり冒険者ギルドの従魔登録をする前にステラの種族を見るのを忘れてました!!


いきなりギルドの係員さんが泡を吹いて倒れた瞬間「やってしまった!!」と思ったものの、既に後の血祭り


トントン拍子に話は上に逝ってしまい

功績を讃える為と次代のウインターローズ家当主としての謁見だとか色々こじつけられて私はここにいるのだぁ!


もうやだ、休日を返してぇぇ


くそぅ!いつか師匠みたいに出奔してやるぅぅぅ!!


非礼な事ばかり考えていると、国王陛下がようやくやってきたので


流石に余計な事を考えるのを私はやめた。


「お主が永らく現れなかったウインターローズの後継者か」


ちがいます

即答したかったがここは耐える


何故なら、目の前に居るのはこの精霊国の王

王権を精霊王から授けられた唯一の人物


建国当初から生きるとされるエウアンサス・ディ・パニイ国王陛下である。


流石の私も空気を読みます。


「ウインターローズが表舞台を去って50年……長かったぞ」


私に言うな


「だが先代には苦労をかけてしもうたから致し方あるまいて……お主に言うても詮なき事であるが……」


なら言うな


私の心の声がこの国王に辛辣なのには理由がある。

私の師匠は十分な実力を持つのに自己評価が低い、そして何かに怯えている気がする。

仮説であるが、50年前の出奔が原因であると考えている。

もちろんこの国王関連の事で


あと一目見て第六感でこの国王が『胡散臭い』と感じた。

……まあバイアスがかかっているのかも知れないが


(お姉さま?この人影武者ですよ、私の契約者たるお姉さまに対して失礼過ぎますの!)


おねがいだからエルよ、勝手に姿影透過(インビジブル)の魔法を覚えて顕現するのはまあ良い。

だけど知らなくても良い事実をポロっと漏らすのは勘弁してくれ。



「……という事で汝、アリス・ウインターローズに勲二等を授ける。」

それからは希少な守護龍を発見した功績と火の最上級精霊との契約による功績が発表され、勲位が私に授与された。


ここで言う勲位とは一等~五等まであり、基本的には武功によってのみ得られるものであるが、

インペラートル(略)ドラゴンは国一つに匹敵する戦力であるために例外的に武功とみなされたのである。


これで精霊王女との契約がバレたら勲一等だったのだろうか?


「何か望みはあるか?」


何かくれるみたいだったけどここで何か貰うとつけこまれる可能性があるので断っておくのが無難だろう。


………と思っていたのだが


(お姉さま!ここは何かしらお願いするべきです!)

エルによる助言が入った。

どうやら、勲位だけでは私の功績に対する褒美が少ないらしい……


変な特権を押し付けられるのが嫌なら自己主張した方がいい、との事


ならば


「先端魔術科への入場許可と造船の認可をいただければ」


前から船が欲しかったんです。

でもこの国の法律では500tを越える大型外洋航行用の帆船の建造は国もしくは国の認可を受けた者しかできない事になっている。


あと同じ精霊学園でも中等教育を優秀な成績で修了した者のみが進学できる先端魔術科は国の魔術研究における最高機関でもあるために、入場できる者が限定されている。


船の改造には必要な機関であるため、是非とも行けるようになりたかったのだ。


「わ………わかった……検討しよう」


凡そ齢8の少女が言うような願いではなかったので謁見の間には微妙な空気が流れる。


ごめんね、「ドレスが欲しい」とか「宝石ください」とかを期待してたんだよね。


その気まずい雰囲気の中、王(影武者)とお付きの人は退出し……


ぽつんと私一人と王宮警備の騎士が数人残された。


(あれ?なんで帰らせてくれないのかな)

と思っていると


ポーンポーンポーン


何かが跳ねるような間抜けな音と共に……


緑色のスライムが謁見の間に侵入して


(あれ?ペットかな?それとも……侵入してきたモンスター、倒すべきかな?)

などと考えているうちに……


ぴょーん


一際大きく跳ねたと思うと、堂々玉座に鎮座して………


「アリス=ウインターローズ、遠路はるばる大義であった!我こそが国王、エウアンサス・ディ・パニイである!」


とのたまわった。


エエエエエエエ!スライムがシャベッタァァァァァァ!


◆◇◆◇◆◇◆◇


「つまり……肉体が持たなかったと、」


いきなりのスライム国王登場にさしもの私だってビビったが、理由を聞けば納得だった。


この国の建国は500年前、当時人間による圧政に苦しんでいた亜人と呼ばれる魔術が使えない人々が、人間の大陸を逃げ出して新天地を求めたのが始まりだ。


その時のリーダーが今目の前にいる緑スライムこと元人間のエウアンサス・パニイだった。


そして彼は見事精霊の加護がある大陸へと到達して、そこに巣食う魔物を倒して生活圏を切り開き、精霊王のお墨付きと契約を得て精霊国を建国する。


そして彼は気づいた。


自分の死後に血縁のみの王族による統治では、建国当初の理念すら忘れて人間の国と同じ差別や暴力が新天地に蔓延ってしまうのではないか?


と、


ならば王族は自分一人で良い。

さすれば後継者争いも起こらない


という事で自ら不老不死になるべく研究を行った。

幸い近くに……グレイスリー・ウインターローズという3000年は生きる不老の見本が居たので研究は滞りなく進み


ついに研究は完成した。


それが【不完全なる転生魔術クオーター・リザレクション】と呼ばれる魔術であり、新たなる代わりの肉体が必要な点と記憶は引き継がれるが、長い寿命に精神が崩壊するのを防ぐ為に、精神的には一度リセットされてしまうという点が挙げられる。


そして、受肉する肉体は適合さえすれば魔物であっても良い

ただし肉体の寿命は吸血鬼真祖の協力があっても、100年持つか持たないかが限界であった。


今回はたまたまスライムだったらしく、前回はドラゴンだったらしい、


「悪気はなかったんだが……この姿だと子供には怖がられるかも知れんからな……」


まあ、私の中身が本物の8歳幼女なら恐怖で失禁したかもしれない。


前にも言ったと思うがこの世界のスライムは馬鹿にできないほど強い。

子供ですら知っているくらいだからだ。


「いえ………スライムで驚いていては義母に笑われてしまいます」


「ハハハ、流石グレイスリーの娘だ!気に入ったぞ、船の件と先端魔術科の件とは俺に任せろ!」


ガハハと笑いながら器用に触手を伸ばして公文書を書く姿は、先程のなんちゃって国王(影武者)より国王をしていると感じる。


(この人が師匠に何かしたとは思えないな……)


先程とはうってかわって私は国王への認識を改めた。


そして、最後に謁見の間から退出する時………


「ウインターローズ嬢」


私は呼び止められた。


「はい」


「国王としての礼はできないが、これは俺個人としての礼だ……友人の娘を救ってくれて感謝する。」


ちょうど、私の右にある誰も居ない筈の空間を一瞥した後……国王は私に礼を言った。


もちろんスライムなので頭は下げられなかったが


(やっぱり私の存在はバレてましたね……おねえさま)

謁見の間を出た後私の右に居たエルフィーが、彼女にしては珍しくため息をついた。


(エルは国王陛下に会った事があるの?)


(はい、私の父………精霊王オヴェロンと精霊王妃ルナリアとは友人でしたから)


精霊王&王妃と友人だったのかよ

マジ半端ねえなこの国の国王 規格外


などと一瞬だけ思ったが………


(いやまてよ、精霊王女と友人でグレイスリー・ウインターローズを義母に持って、守護龍をペットにしてる8歳幼女がここにいたわ……)


と生ける伝説と比較できるくらいの己の逸般具合に涙を流すしかなかった。


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