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小話:件の買い物デート(待ち合わせ)



『森出身で世間知らずな少年の世界革命』

(https://ncode.syosetu.com/n2134ep/)



『最強戦姫の幼馴染……の世話役』

(https://ncode.syosetu.com/n9747fw/)


『友達に誘われてナンパに参加したら校内一の美少女が捕まった件。~明日の俺は安全に生きているのだろうか?~』

(https://ncode.syosetu.com/n8151fi/)


これらが同時連載中です。

暇潰しに読んで頂けたら嬉しいです。



 日曜日。


 いつの間にか俺の連絡先を入手していた綾辻によって、休日出勤を強いられていた。内容は買い物の荷物持ちを依頼したいとの建前。

 本当は俺を弄びたい魂胆ではないのだろうか。

 些か疑問を抱きながら、見た目だけは美少女だから、この買い物デート(俺個人の主観)に応じるのも吝かではない。

 何なら張り切って少しオシャレしちゃった。


 しかし、ヤツは相変わらず最悪だ。

 まず一つ。

 学校に近いショッピングモールを選びやがった。これでもし同級生に発見されたら、それこそ噂になるだろう。なまじ見た目だけは、見た目だけは、見た目だけは良いんだぞ。

 校内でも度々噂を耳にする……クールで寡黙な美少女。どの口が言ってんねん。

 お喋りだし、何なら余計な事まで次々と出てくる災いの口だぞ。

 寡黙な美少女だったら、俺は惚れてたかもしれんが、あれは駄目だ。


「おや、磯谷くん。待たせたかな」

「ん?ああ、いや今来たところ」


 嘘、本当は一時間前から来てました。

 ともあれ、待ち合わせで待たされたことを女の子に言うのは不躾なので、紳士として堪えたこの待機時間を一言で匿す。

 すると、彼女は満面の笑み。

 おや、これは合格ってことで良いのかな?


「だよね、磯谷くんが少し早く来るなんて有り得ないよね」

「よし、判った。俺の一時間を返せ」


 駄目だな、気遣い不要だ。

 一時間も待機した俺の密かなウキウキが、一気に苛立ちへと反転する。


「あはは、じゃあお互い様だね」

「は?」


 綾辻が俺の背後にある喫茶店を指差した。

 何事かと振り向けば、おお質素だが雰囲気が落ち着いている良い喫茶店だ。その言葉の真意は兎も角、そこで一杯やろうとの示しかな?


「一時間前から私はあそこから君を見ていたんだよ」

「何してんだよ!?(はよ)う来いや!?」

「少し張り切ってる君の初々しい姿を楽しみたくてね」

「悪趣味な……写真とか撮ってないだろうな?」

「そんな、まさか!ちゃんとデータをパソコンに転送してからフォルダ削除したから、心配ないよ」

「何でちゃっかりプライベートの中枢に保存してんだよ」


 呆れる俺に対し、彼女はその場で回った。

 制服じゃない綾辻、なかなか貴重だな……見た目だけは。先刻のやり取りで、確り雰囲気は撃砕されたので最早感じることはない。

 ワンピースの上に軽い上着を着ただけの服装だが、悲しくも容姿がそれを最上の物へと引き立てている。

 ほんと、これで性格が良けりゃ……!


「それより、どうだい?私の服!」

「ん?ああ、制服じゃないな」

「ふふ、一点」

「低ッ!?」

「ほらほら、褒めそやしたまえ」

「……可愛い」

「んふふ、四〇点」

「あー、えー、美しい」

「ふむふむ、三九点」


 何で可愛いと美しいに一点差のギャップが生じるのか意味不明だった。

 いや、まあしかし……どうしたものか。

 合格基準点が不透明なので、努力する気概ないし、何なら無視したい。

 ていうか、普通にいってたけど何か恥ずかしくなってきた。


「えー……。……に、似合ってる、と思う」

「おお!九五点!!」

「は?」


 え、なにこいつ?

 俺が怪訝な眼差しで視ていると、俺の手を引いて歩き出した。


「あ、そうそう!」


 そして、なにかを思い出したように振り返る。


「磯谷くんも、かっこいいよ!」


 …………成る程な。

 やっぱりコイツ、卑怯だ。





読んで頂き、誠に有り難うございます。


次回も宜しくお願い致します。

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