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1-6 合同実習その2:生徒会長

 ナタクとフェオラはいつも通り樹の上でくつろぐ。


「今回は結構力を出したのでは?」

「動きはしたけどな。魔法は使ってねぇよ」

「あの2人を相手に?」

「あの教師はインファイト型だったしな。スカーミャに関しては乱入直後に利用させてもらったから戦ってすらねぇ」

「……だから、あの荒れようでしたのねぇ」

「それを煽ったな。フェオラは」

「……はぁ~」


 詳しい内容を聞いて、フェオラはため息を吐く。フェオラは飛んできた竜巻を処理しただけだが、経緯を含めるとナタクの言う通り、完全にスカーミャを馬鹿にして煽っている。これではフェオラもスカーミャにターゲットにされたことは間違いない。

 

「本当にナタクが絡むと面倒ですわ」

「俺に絡んでくる奴が粘着質なだけだろ。無視しとけば終わるだろうに」

「まぁ、それも正しくはありますが」


 だったら筆記試験ももう少し順位を落とすようにコントロールすればいいのでは?とフェオラは思うが、口にはしなかった。恐らくだがナタクは毎回そのつもりだったはずだ。しかし、それ以上に周りの点数が低いのだ。そのせいでここから点数を落とせば逆に目立つ。ナタクはそう考えているのだろうとフェオラは考える。

 しばらく、のんびりしていると周囲が騒がしくなってきた。


「終わったようですわね」

「ふわぁ~……あ、はぁ~。2時過ぎか。時間かかった方か?」

「どうでしょう?勝ち残られた顔ぶれによりますわね」

「それもそうか」


 そこに白い小鳥の使役獣が飛んでくる。フェオラが手を差し出すと、小鳥はフェオラの手の甲に止まる。


「……本日はこれにて終了。次は明朝7時に闘技場に集まること、だそうですわ」

「面倒だなぁ」

「コインを集めたのですから、少しは楽できるでしょう」

「あの学園長がそんなこと考えるかねぇ」

「……それもそうですわね」


 今回のナタクに対する工作を考えると期待は出来なさそうだった。それを思い出し、フェオラは再びため息を吐く。

 すると、


「見つけたぞ!!ナタク・ユーバッハ!」

「あぁ?」

「あら。あの方は」


 2人が樹の下を覗くと、3人ほどの男女の姿が見えた。先頭に立っているのが女性のようなので、アレンではない様だ。ナタクは顔に見覚えは無かったが、フェオラはあるようだった。


「誰?」

「生徒会長ですわ。3年生のブレア・フォーマルハウルさんというお名前だったかと」

「ふ~ん」

「いつまでそこにいるつもりだ!早く下りてこい!」


 ブレアは腰に手を当てて、ナタク達を睨んでいる。

 それにナタクは顔を顰める。


「また面倒なのが来たよ。なんで尋ねて来た側にわざわざ俺が下りなきゃいけねぇんだ?」

「先輩だからでしょう」

「別に俺はあいつに遜る必要はねぇ」


 ガシガシと頭を掻きながら愚痴るナタク。フェオラは他人事のように話し、ナタクは先輩だからなんだとばかりに動く気を見せなかった。

 それにブレアはさらに顔を顰めて、2人を睨みつける。


「噂通りの性格のようだな」


 ブレアはグッとしゃがみ込む。それをナタク達は眺めていると、ブレアはドン!と音を立てて、ナタク達の所までジャンプしてきた。そして、スカーミャと同じ枝に降り立つ。

 そして仁王立ちして腕を組み、寝転んだままのナタクと座ったままのフェオラを見下ろす。


「ナタク・ユーバッハだな!」

「それが?」

「貴様の性根を正しに来た!」

「断る。帰れ」

「それを断る!」


 ブレアは赤茶のショートパーマにやや目つきが鋭い美女だ。胸もそこそこあり、体も引き締まっている。全身から自信が満ち溢れており、少し暑苦しい。

 今日は実習だったためブレアは半袖のシャツの上に革鎧を身に着け、茶色のズボンを履いていた。


「貴様は授業をサボり続け、今回の実習でもエキシビジョンを断って教師達を困らせているようだな!」

「授業の出席は自由だって認められてるって言ってんだろ?それにエキシビジョン断って何が悪いんだよ。参加の義務なんてねぇだろ」

「我々のために時間を割いてくれ、少しでも生徒達に目指すべき目標を示そうとエキシビジョンを考えてくれている教員達に罪悪感はないのか!それに実力を持つ者は他の者達への模範として在らねばならない!」

「ねぇよ。別に授業は俺がいなくても受けてるやつはたくさんいるし、エキシビジョンだってさっきのバトルロワイヤルで代わりになっただろ。模範だってあんた1人で十分だろ。全員に強制すんなよ。生徒会長」


 アレンと何も変わらない。ナタクはそう思ってうんざりする。


「それでも英雄を目指す者か!?」

「だから、目指してねぇって」

「……本気で言っているのか?貴様は思った事は無いのか!?あの大英雄エーデルヴァルト夫婦のようになりたいと!」


 エーデルヴァルト夫婦。12年前にある大国で起こり、10年前に終結した【魔物大氾濫(スタンピード)】を利用した敵国の侵攻を防いだ英雄達のリーダーだった2人だ。


 アレックス・エーデルヴァルト。

 【光炎魔法】の使い手で、正義感に溢れた男。国で騎士団長をしていた。誰よりも傷ついて、しかし誰よりも戦い続け、そして誰よりも人を助けた。その結果、帰らぬ人になってしまったが、銅像も建てられて今や世界で知らぬ者はいないと言われるほどの伝説の英雄となった。

 

 マリアル・エーデルヴァルト。

 【光雷魔法】の使い手で、アレックスの妻であり絶対的な相棒。騎士団長補佐としてアレックスの公私を支えていた。侵攻の際は前線ではなく、後方で討ち漏らした魔物や敵を殲滅し、1体として防衛ラインを突破させなかった。その姿は美しく、聖母と呼ばれ、アレックスが死んだと知らされた時も決して涙を見せずに復興のために尽力を注いだ。今も変わらぬ美貌と実力で国を守る生きた大英雄として活躍している。


 他にも活躍した英雄はいたが、この2人の印象には遠く及ばず、多くの若者はこの2人を目標や夢として必ず上げる。またエーデルヴァルト夫婦の出会いなどは小説や劇などにもされて大人気になっている。


 ブレアも例に違わずエーデルヴァルト夫婦に憧れていた。


「思わねぇ」

「な!?」


 だからナタクの言葉は雷に撃たれたかのような衝撃だった。少なくともブレアが会った先輩・同期・後輩全員がブレアの言葉に同意を示してきたからだ。


「何故だ!?」

「大英雄ねぇ……全く憧れねぇなぁ」

「なら何故ここに居る!?」

「前にも誰かに言った気がするけどな。別にここは英雄になりたい奴が集まる場所じゃねぇだろが。俺は力の使い方が知りたかったのと、勧められたからここに来ただけだ」


 ナタクは小指で耳をほじりながら興味なさげに話す。


「馬鹿な……!こんな奴がいるなんて……!」

「……はぁ~」

「な、ならばお前は何を目的に生きている!?ここを卒業して何をする気だ!?」

「あぁ?そうだなぁ……英雄を殺しに行く」

「……は?」

「だからぁ」


 ナタクの言葉に完全に固まるブレア。口を開き、呆けた声が出る。

 それにナタクは体を起こして、ブレアを見る。


「英雄を殺しに行くって言ってんだよ。俺は、英雄に家族を殺されたからな」

「「!!」」


 ナタクの力強い言葉と力が宿った眼に本気の言葉だと悟り、息を飲むブレアとフェオラ。すぐにナタクはいつもの気だるそうな雰囲気に戻り、また横になる。


「……本気でするのか?」

「さぁ?まだ分かんねぇな」

「貴様は犯罪者になるためにここにいるのか!?」

「俺は家族を殺した犯罪者を殺したいって言ってるだけだ。それが周りから英雄って呼ばれててもな」


 英雄だろうと、ナタクにとってはただの殺人犯。ただそれだけのことだった。

 ブレアは目の前の存在が恐ろしく見え始めた。


「……危険だ。貴様は危険だ……!」

「だったらどうするんだよ?学園長に今の話をしてくれてもいいぜ?何もしないだろうけどな」

「くっ!」

 

 ナタクの言葉にブレアは歯軋りをする。確かに言っているだけのことで処罰は出来ない。学園長も問題視はするだろうが、明確な処罰をするとは思えない。それが分かってしまった。

 

「……貴様を英雄科になどさせるものか」

「ありがたいぜ。俺は英雄科になんてなりたくねぇ。あぁ、これは学園長や教師共も知ってるぜ」


 ブレアの決意のような言葉に、ナタクは逆に礼を言う。ブレアはそれにさらに厄介であることを理解した。【傑物科】に入りたいと言われれば止めようがない。【傑物科】より下はないのだから。退学にしたいが問題をでっちあげる事も出来ないし、それを学園長が見逃すとも思えない。だからナタクの思うがままになるだろう。ルールは破っていないのだから。


「ならば、この実習中に叩きのめすしかない」

「頑張ってくれ」

「……覚悟しておけ」

「頑張ってくれ」


 ナタクはもはやブレアに目も向けることなく適当な返事をする。それにまた歯軋りをして、ブレアは枝から飛び降りる。そして最後にチラッとナタクを見て、仲間を引き連れて去っていく。

 フェオラは特に話の割り込むことなく聞いていた。そして、今も特にナタクに話を振ることなくそっとすることにした。




 ブレアはその後すぐに学園長の元を訪れていた。


「ナタク・ユーバッハは危険です!このままにしておけば学園至上最悪の犯罪者になってしまいます!」


 バン!と学園長室の執務机に両手を叩きつけて、前のめりになって力説するブレア。それに学園長は顎髭を撫でながら、目を閉じて思案するようにそれを聞く。


「ふむ。しかしのぉ、言葉だけで決めつけるわけにはいかん。その危険性を裏付ける証拠がなければのぉ」

「それは……」

「それに卒業後にどう生きるかはその者の自由。学園の評判のために危険性があるからと排除すれば、それこそこの学園は在り方を失い、悪となってしまうの」

「しかし……!」

「ふむ。あまり知られておらんようじゃがの」

「……?」


 学園長は卒業後の未来を危険視して在学中に排除することは、教育機関の在り方としてはありえないと断言する。それにブレアは食い下がろうとする。

 それを見て、学園長はある事実を伝えることにする。


「エーデルヴァルト君達が英雄となった騒動。スタンピードを起こした者のことは知っておるかの?」

「……?確かエーデルヴァルト夫婦が住んでおられた国を昔から敵視していた隣国の者で、危険な人体実験を繰り返していた狂科学者と」

「そう言われておるのぅ。その者もこの学園の卒業生で、エーデルヴァルト君達の同級生であったことは知っとるかね?」

「なぁ!?」


 学園長の語った言葉にブレアは驚愕する。


「確かに今となっては彼は道を踏み外した者じゃ。しかし、彼はただ祖国のためにと死に物狂いで研究しただけじゃ。その結果が悲劇だったとしてもの。知っておるかね?彼は荒れた荒野でも育つ作物を生み出したり、魔物を手なずけて馬の代わりに馬車を曳かせて流通を活発にし、今まで不治の病とされた病気の治療法も魔物を調べる過程で発見した。それは狂科学者では出来んじゃろう?その志は誰にも貶めることは出来ん。狂科学者である彼は未だにその国では賢者と言われておる」

「………」


 その事実にブレアは唖然とする。物語でも、誰に聞いてもその科学者のそんな話は聞いたことが無かった。


「話せぬのじゃよ。そんな話をすれば忽ち狂科学者の仲間扱いじゃ。そうなるとの、殺しても咎められんのじゃよ。むしろ『悪を倒した』と褒め称えられるのじゃ」

「!!」

「恐ろしいじゃろ?しかし、それが世界で起こっておる真実の1つじゃ」


 学園長は目を閉じたまま語る。その内容をブレアは受け入れたくなかった。しかし、学園長が嘘を言う理由は無い。だからこそ真実だと理解出来てしまった。


「だからこそ、この学園では何もせぬ。君にとっては危険で悪党かもしれん者も、どこかでは英雄と言われてるかもしれんからじゃ。それは我が学園の在り方に反してもおらんし、汚点でもない」


 学園長は力強い言葉で結論を述べる。それにブレアは反論するだけの言葉はなく、顔を顰めて悩みながら部屋を後にする。


「世界は複雑じゃ。ただ1つの見え方が全てではない。英雄も必ずしも清廉潔白ではない。それを理解した上で、どう進むのかのぅ」


 学園長はブレアの行く末を楽しみにする。そして立ち上がり、隣の部屋に入る。


「待たせたの。どうだったかの?未来を担う若者達は」


 隣の部屋には2人の男がいた。


「そうですね。有望な者も多いようです。最後の方しか見れませんでしたが、残った10人は将来間違いなく世界に名を広めることが出来るでしょう」

「うむ。まぁ、その広がり方が良いか悪いかは分かりかねるが」

「それは仕方あるまい。お主らとて良くも悪くも名が広がっておるのじゃからのぅ」


 学園長の言葉に2人の男は苦笑する。


「明日は最初から見れますし、楽しみですね」

「それに関して1つ提案があるのじゃが」

「はい?」

「ふむ?」

「ほっほっほっ!」


 学園長の言葉に2人の男は首を傾げる。

 それに学園長は顎髭を撫でながら笑うのであった。



 翌日。

 ナタクとフェオラは闘技場に向かっていた。


「今日も制服ですの?」

「あ?俺、これ以外は寝間着と外出用の服しかねぇよ」

「……それはそれでどうかと思いますわよ?」

「別にいいだろ。いつも戦闘服で戦えるわけじゃねぇんだしよ」

「それはそうですがね」


 フェオラはナタクの言葉に苦笑する。

 そして闘技場に入ると、昨日同様に受付をする。今回渡されたのは40cm四方の大きめの真っ白な紙だった。

 それを受け取って、また壁際に座る2人。


「なんでしょうか?」

「さぁ?どうせ碌でもねぇだろうよ」


 ナタクは折りたたんで無造作にポケットに入れる。それを見たフェオラも綺麗に折りたたんで、腰にあるポーチに入れる。


「マジックポーチだっけか?」

「えぇ。入学祝でお爺様から貰ったものですわ」

「いいねぇ」

「あなたは必要ないでしょうに」


 フェオラはジト目でナタクを見る。それにナタクは肩を竦めて惚ける。

 そこに近づく気配を感じて、2人はそちらに目を向ける。

 現れたのはスカーミャだった。纏う雰囲気は昨日までとは異なり、刺々しく目つきも鋭かった。


「随分とピリピリしてんな」

「……今日こそは戦ってもらう」

「なんでそこまで拘るかねぇ。他の奴と戦えよ。生徒会長とか」

「昨日もう戦った」

「さよで」


 ナタクはスカーミャの執念に呆れていた。そこで生徒会長の事を思い出し、興味を移そうとしたが失敗した。

 スカーミャはフェオラにも鋭い目を向ける。


「あなたにも戦ってもらう」

「私と戦いたければ、まずはナタクを倒すことですわ」

「おい」

「先に挑戦されたのはナタクですもの。ならば順番ですわ」


 どこぞの物語のようなセリフを言うフェオラ。それにナタクは呆れるが、フェオラは先に勝負を仕掛けられたのはナタクだと言ってスカーミャの標的をナタクに集中させる。


 そこに学園長が昨日同様に現れた。


『おはよう諸君。本日も頑張ってくれぃ』


 笑みを浮かべて挨拶をする学園長。


『さて、さっそく説明に入ろうかの。今回の実習は【サバイバル】じゃ』


 学園長の言葉に生徒達はざわつく。


『これよりある島に転移する。そこで1泊2日過ごしてもらう。ただし、その間あるミッションを行ってもらう。それは島の中心にある山の頂上まで登ることじゃ』


 学園長の言葉に競争であることを理解する生徒達。それに頷きながら学園長は説明を続ける。


『貰った紙があるじゃろ?それは転移後に地図になる。その地図に山頂に記された合言葉を書き込むこと。それがミッションじゃ。これに関する注意点は2つ。合言葉は人によって異なる。なので他の者から聞いても意味は無い。もう1つは山頂付近には妨害魔法が張られているため、遠見の魔法などでは覗くことは出来ん』


 学園長の言葉に何人かが顔を顰める。


『到着した順位が評価対象じゃ。そして後2つ。今回の大事なルールじゃ。1つ目は【魔法の使用制限】じゃ』


 生徒達は驚愕して目を見開く。


『今回のミッション中は魔法の使用回数は【3回】までじゃ。それを超えると強制的に学園に戻され、失格となる』


 使用回数の制限に生徒達は頭を抱える。

 スカーミャもギリッと歯軋りをする。それでは思う存分ナタクと戦えない。


『魔法ばかりに頼っていては戦場では生き残れんぞ?使いどころを見極めるのも大事なことじゃ。島には魔物はおらん。そう簡単に命の危機に陥ることはないじゃろう』


 魔物はいないという言葉にホッとする生徒達。


『そして最後はこの者達じゃ』


 学園長の言葉に2人の人影が横に現れる。その姿に生徒達は目を見開く。


『うむ。もう分かったかの。かの大英雄エーデルヴァルト夫婦と共に戦った英雄。ユーロフ・レクバン殿とゼオフ・グレリナド殿じゃ。今回未来を担う君達の激励にやって来てくれた』


 ユーロフ・レクバン。

 金髪のショートストレートの男で、青い騎士服を着て腰には細剣を携えている。

 12年前の侵攻開始時は学園を卒業したばかりだったが、エーデルヴァルト夫婦のすぐ後ろで戦い抜いた。エーデルヴァルト夫婦に見初められて、弟子のように様々な指導を受けながら、アレックスが倒れる直前には1部隊を託されるまでになり、敵国の本陣に乗り込んで敵の大将軍を討った英雄である。


 ゼオフ・グレリナド。

 灰色の髪をややほつれたオールバックにして、無精髭を伸ばしている男。黒い服に茶色のマントを羽織っている。腰には刀を差している。

 12年前の侵攻開始時にはエーデルヴァルト夫婦の元で騎士団副団長をしており、アレックスの左腕と言われた男だった。アレックスが倒れる直前には部隊を率いて、ユーロフとは逆側から敵の本陣に乗り込んで大将軍討伐に貢献し、アレックスと戦っている敵の背後から攻めかかり敵の降伏を決定づけた英雄である。アレックス死亡後、騎士団を辞職して国専属の傭兵としてあちこち街を回っている。


 2人ともエーデルヴァルト夫婦を語るには欠かせない存在である。

 英雄の登場に生徒達は興奮する。


『今回、2人のどちらかに参戦してもらうことになった』


 英雄の参戦に驚愕する生徒達。


『もちろん2人にも魔法制限はあるが、君達に対する最後の門番として立ち塞がるじゃろう』


 その言葉に生徒達は興奮する者、顔を青くする者など様々な反応を示す。

 ナタクはそれを冷めた目で見ていた。しかしフェオラは英雄2人が現れた瞬間、ナタクの目に一瞬激しい怒りが現れたのを見逃さなかった。


(ということは……ナタクの御両親は敵国側にいた、ということでしょうか)


 フェオラはそれをナタクに確かめることはしない。確かめた所で自身がナタクに出来ることはない。

 しかし、この合宿中に何かが起きるかもしれない。そう思ったフェオラだった。


『最後に、昨日のバトルロワイヤルで見事に残った10人とコインを集めた者達に関することじゃ。この者達は他の者達より2時間先に島へと移動し、活動することが出来る』


 その内容にナタクとフェオラは微妙な顔をする。


「2時間程度と見るべきか、2時間もと見るべきか微妙ですわね」

「だな。まぁ、わざわざそれにしたんだ。ある程度ラッキーなんだろうよ」

『では、まずは先に行く生徒達からじゃ』


 学園長の言葉と同時にナタクとフェオラ、スカーミャの下の地面に魔法陣が浮かび上がる。


「では、ナタク。頑張ってくださいまし」

「そっちもな」


 そして2人はその場から姿を消した。


__________________________

〇ブレア・フォーマルハウル


 身長165cmのスタイルもよい軍人系美女。

 赤茶のショートパーマ。やや目つきが鋭い。 

 半袖のシャツの上に革鎧を身に着け、茶色のズボンを履いている。

 生徒会長であり、英雄に憧れており正義感が強い。

 信条は『輝く象徴であれ』



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