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5.美味しいものを食べると幸せになるよね作戦

クッキングは適当なので見逃してください

 さて、今日は自由の日です。

 オズに唐揚げを作って持って行こうと思います。

 この世界って醤油も片栗粉も油もあるのに、揚げ料理って存在しないんだよ。

 天ぷらとか好きだから、ないって知ったときは悲しかった。


 唐揚げ作り、頑張ります。


 まず鶏肉を一口サイズに切る。ちなみに私は皮は一緒に揚げるよりも別にカリッとあげるほうが好きなので、鶏肉の皮は別にします。

 で、すり潰した生姜を醤油と混ぜて、その中にどぼーん。味が染み込むまで待ちます。

 すりおろしにんにくも入れようか迷ったけど、にんにく臭くなるのはアレなので我慢です。


 その間に唐揚げと食べると美味しいタレを作る。

 まず玉ねぎをスライスして、辛味を取るために水にさらす。何度もさらす。水にちゃんとさらさないと、辛味が残ったままになるから私は苦手。

 そのあとに酢と砂糖とみりんを混ぜ混ぜして砂糖が溶けたら玉ねぎを入れてまぜる。

 すっぱ甘い玉ねぎのタレ〜。

 それに加えてマヨネーズをつけると本当美味しいんだけど、今日は保留。

 で、タレは冷蔵庫の中に入れておく。

 この世界にも冷蔵庫があってよかった。


 で、タレを作ってる間に染み込んだであろう唐揚げを片栗粉を入れた袋の中にボーン。

 もみもみ。もみもみ。

 あ、油を熱しとかねば。


「ラナ、この油をえーっとぷくっと少し大きめの泡が出るくらいまで熱するってできる?」

「え? ええ、できます」

「じゃあ、やってほしいです」

「かしこまりました」


 油問題はオッケー。もみもみ。

 鶏肉もそろそろ揉み終わるかな。片栗粉が結構余ったから、アレできそう。

 片栗粉あげるの! あれもすき。


「聖女様、このくらいでいいですか?」

「あ、うん。ありがとう、ラナ」

「いいえ。油は気をつけてお使いください」

「うん」


 さて、油もオッケー。では、行きます。

 とえぃ! ジュワワッパチッパチッ!

 油が跳ねた。

 とりあえず一個一個揚げていく。


 んん、いい匂い。これを食べたらオズも幸せになれるかも。この唐揚げの美味しさは幸せレベルだよ。きっと。

 どんどん揚げていって、すべて揚げ終わり。


「ラナ、ラナラナ」

「はい?」

「味見して。熱いから気をつけてね」

「いいのですか?」

「うん。秘密だよ。あーん」


 ふーふーっと揚げたての唐揚げを冷ましてあげて、ラナの口に運ぶ。ラナの口に入ったのを見て、私もぱくりと食べた。

 聖女の器に入って一番良かったのはあっつあつの食べ物も火傷しないで食べれることです。

 唐揚げはやっぱり揚げたてが一番美味しいと思う。


「美味しい?」

「……んっ、は、はい。こんなに美味しい食べ物があったなんて……」

「よかった」


 ラナのお墨付きが貰えたので、さっそくオズのところに行こう。

 タレもちゃんと持っていくよ。オズが苦手でも私が使うの。

 このタレすき。



 コンコンとオズの執務室をノックすると、オズの声が聞こえたので入る。


「どうしたんですか、聖女様」

「ふふふ。オズに差し入れ持ってきた。ちょっと休憩して。私の自信作!」


 ちょっとドヤッとするよね。

 オズの返事を待たずに、執務室にあるテーブルにラナと一緒にせっせと唐揚げを置く。タレも置く。あとフォークを何セットかと小さいお皿。

 だって、オズと私とラナが食べてるのに従者さんとオズの専属騎士が食べられないのは可哀想でしょ。


「……なんですか、それは」

「カラアゲ! 外カリッだよ。揚げたてなの。食べて食べて」


 とりあえず一個オズの口に向かってあーんとフォークを持っていく。

 オズは煩わしそうに私からフォークを奪い取ると、少し迷ったようにしてぱくりと食べた。


 あ。


「っ、」

「あ、ごめんね。あっつあつだった。火傷しなかった?」

「っ、大丈夫です」


 本当に? 涙目だよ?

 まあ、いいや。オズが大丈夫だと言うなら大丈夫でしょう。


「で、美味しい?」

「……はい。美味しいです」

「やった。じゃあ、幸せ?」

「それとこれとは別ですね」


 くそぅ。手強い。お気に召したのか、オズがひょいひょいと唐揚げを口の中に持っていく。

 ゴクリとオズの従者さんや専属騎士から唾を飲み込む音がした。


 やっぱ唐揚げって魅力的だよね。

 小皿に従者さんたちの分をよそって、ラナにそこの人たちにもあげるように頼む。

 それから私もタレをつけてぱくりと唐揚げを食べた。美味しい。


「そのタレは?」

「唐揚げにつけるやつ。玉ねぎが甘酸っぱくて美味しいんだよ。つける?」

「つけます」


 オズがとっても積極的だ。もっと食べて幸せになって。


「この甘酸っぱい玉ねぎ、合いますね。パンに挟んだら美味しそうです」

「あ、美味しそう。でも、そんなに食べたら夜食べれないよ」

「いえ、基本食べられるときに食べておくようにしているので食べられないことはありません」

「……それはそれでどうかと思う」


 どういう意味なんだろうと思うけど、あんまり突っ込まないことにする。

 ちらりと従者さんたちを見ると、美味しいらしい。幸せそうに笑ってる。


 幸せにしたいのはオズなんだけどなぁ。

 笑顔で食べるものの、全然幸せにはなってくれそうオズを見てため息をついた。

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