旅立ち...いや、逃げ出し
「じゃあ、姫様…」
「ちょっと待ってください。仲間どうしなのですから姫様はやめてください。」
「じゃあ、なんて呼べばいいんだ?」
「リリカでお願いします」
「じゃ、リリカね。俺のことも呼び捨てにしてくれていいから。」
「はい、類さま」
「いや、様付けはないでしょ」
「うっ…る…類恥ずかしいですわっ!」
えぇ…何故…
「ところで、リリカはなんか能力とか有るのか?」
「有りませんわ」
「ふーんそーかそーか…って無いのかよっ!!あんなに自信満々に城を飛び出してきといて?」
「えぇ、有りません。それどころか、フォークやスプーンより重いものは持ったことが有りませんの」
まじかぁぁぁ。theお荷物じゃん。どうするよ。まぁ、俺も何か言える立場でもないけどさここまでとは。
そんな俺の表情に気づいたようで
「でっ、でも家事全般はできますのよっ!」
と言った。ただ、冒険で家事って…俺もある程度は出来るし…
「まぁ、しょうがないか。まずはギルドカード貰いたいから冒険者の街だかに行くか」
「そうですわね」
とか、言いながら道を歩いていると
「おっ?なんだあれ?」
道になんか透明なぶよぶよしたものが転がっていた
「あぁ、あれは“スライムもどき”ですね。」
「“スライムもどき”?スライムじゃないの?」
「はい、スライムとは違います。一般的にスライムというのは茶色のもう少し弾力のあるゼリーのような物体です。しかし、スライムもどきは透明でスライムよりもジェル状の物体となります」
「へぇ、じゃあスライムよりも弱いのか」
「いえスライムもどきのほうが10倍ぐらい強いですよ」
「んん?」
「スライムの場合は初心者でも簡単に倒せます。しかし、スライムもどきの場合はジェル状なので打撃が効きません。また、スライムもどきは肉食で獲物を捕らえたあと体内に取込みゆっくりと消化していきます。さらに、取り込んだ相手の特性の1%ですが必ず奪います。」
「つまり、これって俺らピンチ何じゃない?」
「そうですね」
そうですねじゃないだろぉぉぉぉぉ!
何このお姫様のんき過ぎるだろおいっ!しかも、だらだら喋ってる間にスライムもどき近寄ってきてるししかもよく見たら数10匹!あっ、速いこのスライムもどき速いよっ!もっとヌルヌルゆっくり動けよ!スライムなんだから!
「やばいやばいやばいやばい!これ俺の能力既に発動してんじゃないの?ぎゃぁぁ飛びかかってきたぁ!」
スライムもどきがどういう理屈なのかはしらないがジャンプしてこちらに飛びかかってきた。
「うぎゃぁきもいぃぃぃ!」
俺はギリギリで避けるがどんどんとスライムもどきは飛びかかっており捕まるのも時間の問題だった
「リリカァァ逃げろぉぉぉぉぉお?」
よく見るとリリカは何故かスライムもどきに全く襲われていない。
「なんで、お前は襲われてないんだよっっ!!」
「城を出るときモンスター除けの香水をメイドに貰いましたから」
「俺にもかけとけこのバカッ!」
俺はピョンピョンと避けつづけている。これが、超幸運のなせるわざなのか。数10匹に襲われているはずだが、1発も攻撃を食らっていない。すると、俺のバカ発言に少し怒ったのかリリカが
「むぅ!何ですかバカって。そんなこと言う類さんには攻撃ですっ!“ファイヤーストーム”」
魔法を唱えた。スライムもどきは突然の魔法攻撃に驚いたようだが俺の方が驚いた。確実に俺の方が驚いた自信がある。
「おいっ!お前魔法使えるのかよっ!」
「?はい使えますけど?」
「じゃあなんでさっき教えてくれなかったんだよっ!」
「聞かれませんでしたから」
「聞いたっ!聞きました!もう、めっちゃ聞いたよっ!」
「いえ、これは能力ではないので。才能というのですよ。先天的なものを才能。後天的なものを能力と一般的に言います」
「分かった分かったから!何でもいいからこいつら倒してくれっ!」
「お安い御用ですよ」
そこからは、リリカの独壇場だった。俺がピョンピョン飛びまわって逃げている間リリカがファイヤーストームでスライムもどきを1体ずつ倒していった。
「ひゃぁぁ危ないっ!ファイヤーストームが当たりそうなんですけどぉぉ!」
「もう、我慢してくださいよ」
リリカは俺にまとわりついているスライムもどきを狙っているので当たり前だが、俺にも攻撃が当たりそうになる。俺はスライムもどきとリリカの両方からの攻撃をこの戦闘が終わるまで避けつづけるはめになったのだった。