プロローグ
「そんな、酷すぎますよっ!召喚して能力が微妙だから追放っていくら何でも可哀想ですっ!」
姫様が呆然としている俺に代わってなんだか弁護してくれているようだ。
いや、ちょっとディスってるけど。まぁ確かに微妙なんだけども。
大臣もこれは酷いと思っているようで少し俯いているが
「しかし、この者をここに置いておいたら他の勇者たちにも絶大な被害が及ぶ可能性があるんですよ」
大臣(女)が恐らくそこにいるほぼ全ての人の意見を言った。
「っ!皆さんはいいんですかっ!?友達じゃないんですかっ!?」
他のクラスメイトにも声を掛けるが、なまじ普段の俺を知っているからか誰も反対しない。姫様は絶望したように俯く。
俺はそんな姫様が可哀想に思ったので自ら出ていくことを大臣に告げようとすると
「そこまで言うならっっお前が付いていけば良かろうっっっ!!」
やたらと偉そうなオッサンが扉をバーンと開けて広間に入ってきた。
「お父様っ!」
お父様っ!?ゴリラに服きせたようなこのオッサンがお父様っ!?何があってこんな姫様がうまれたんだ…
「王様っ!いくらなんでも姫を確実に危険な目に遭う冒険に連れていくなんて有り得ませんっ!」
大臣が王様に叫んだ。
「はんっ!王女も王子もあと10人ほど居るわっ!それより、ここでシコリが残ったほうが問題だっ!」
冷酷すぎるだろこの王様。実の娘にこの言い草、他のクラスメイト…いや大臣もドン引きじゃねぇか!
その言葉を受けて姫様は俯いていた。当然だ。父親から言われる言葉としちゃあ最低にもほどがある。しかし、
「分かりましたお父様。この者を追放するのでしたら私も一緒に城を出ていきます」
「姫様っ!」
「んんん!?」
落ち込んでいたわけではないようだ。
「姫様考え直して下さいませっ!」
「いやよ。だいたいこんなこと言う父親と一緒に住みたいわけないでしょっ!」
「……」
いや、黙るなよ大臣…
「確かに」
納得するなよ大臣…
「じゃあ決定ね」
そこからはあれよあれよというまに、そこそこ立派な剣とそこそこの装備とある程度の金を渡され街の外に放り出されていた。
俺といえばもう軽く絶望して目が死んでいたが姫様は違ったようで
「じゃあ頑張りましょうか。勇者様」
いたずらっぽく微笑んで声を掛けてきた。
俺はそんな姫様を見て少し気が晴れ
「そうだな。お姫様」
と返事をした。まぁ、これから大変なことは沢山あるかもしれないがこの姫様と一緒なら何とかなるのではないかと思った。
「ところで執事はどこにいるのですか?」
「え゛っ?」
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これでプロローグは終わりです。ここからは姫様と類の冒険(珍道中)が始まります。
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