プロローグ
……うしゃ様っ!勇者様っ!起きてくださいっ!」
どこからか聞こえる声にうっすらと目を開けると目の前に俺の人生の中でもトップレベルの美少女が俺の方を覗き込んでいた。
「うわぁぁ!」
俺はといえば美少女耐性は高くないので何故か悲鳴をあげて後ずさってしまった。
「おーい、大丈夫か。類」
すると、近くにいる男に声を掛けられた。よく見るとそいつは俺の友達の宮本だった。
「おっ、おお宮本か。」
「なんだ、どうしたんだよ」
「いや、起きたら目の前に美少女って普通に驚くだろ」
「いや、失礼すぎるだろこの国の姫様に対して…」
姫様っ!?俺はとっさに先ほどの女性の方に顔を向けると姫様は呆然としていた。
「あっ、あのー姫様でしたか。いや、すみません。」
俺は一応謝っておくことにした。
「えっ、えぇまさか悲鳴を上げられるとは思わず驚いてしまっただけです」
姫様はショックから立ち直ったように、普通な顔をしていた。
「えぇ、これで全員ですね!」
ん?全員ってどういうことだ?すると、俺の表情に気づいたようで宮本が
「いや、俺らのクラスの生徒全員がこの異世界に召喚されたらしいんだ。他の奴らは広間にいるんだがお前だけ召喚されたとき広間にある石像に頭をぶつけて気絶しちまってしょうがないから姫様と俺でこの医務室に運んだってわけ」
ほーん、俺の運の悪さは異世界でも健在ってことですな。…ん?異世界?ん?
「えぇぇぇぇっ!異世界!?まじで?」
「いや、気づくの遅すぎるだろ」
確かに姫様とかいるし何事かとは思っていたけど!
「では、その説明は私がいたします。私は“アリューシャル・レノ・リリカ”です。皆様がた…まぁ、あなたしかいませんが、召喚の儀と言われる儀式によって召喚されました。目的は魔王討伐です。」
姫様はやけに事務的な解説をした。
「質問いいですか?」
「はい。いいですよ。」
「俺…私達は帰れるんでしょうか?」
俺は真っ先にその質問をした。
「はい、帰れます。ただ、送還の儀、送るための儀式のことですが、魔法陣が魔王城の一番奥にしかないのです。」
「なんで、そんなこと知ってるんですかね。魔王城の内部知り尽くしてるみたいじゃないですか。」
「はい、知ってますよ?魔王討伐はこれで34回目ですからね。」
さらっと、姫様は凄いことをいった。
「魔王ってそんなにいるんですか?」
「いえ、魔王というのは一定の期間が開くと自然発生的に誕生するものなのです。」
「まぁ、あれだ。俺らで言うところの突然変異みたいなものだ。魔族ってのがいてその中から異常に強い個体が突然誕生する、みたいな」
「そういうことね。」
「はい、ですので魔王城に送還の儀の魔法陣があることは確認済みです」
なんだか、こいつらにとって都合のいいことばかりなような気がするがまぁいい。
「では、そろそろ広間に移動しましょうか」
「なにかあるんですか?」
「えぇ、能力審査ですよ」
姫様楽しみなのか今までで一番の笑顔を浮かべてそう言った。