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不和世界 ―「埠」頭に繋ぐ、「わ」れらが世界の物語―  作者: ワタシイロReVo制作委員会
「異界の侍と死霊使い」世界
9/68

01

『「異界の侍と死霊使い」世界』

作者…風林火山信玄

原作…『友達はいないけどゾンビなら大勢いる』

原作者…たしぎはく


「おい!やかましいぞ!……って……」


 周りには見たことのないモンスター4匹が俺を取り囲んでいた。


「な……なんだこれ!?」


 寝起きの俺には即座の判断が不可能であった。


「ね、鼠?!」


 鼠だ。それも恐ろしくデカイ。

 そして何か不自然だ。ポリゴンのような質感。不思議に思い自分の身体をよく見ると、やはりポリゴン質で、寝転がっていた地面も良くみればポリゴンっぽい。

 ポリゴン質の世界……そしてRPGに出て来そうな敵……自分の格好……こ、これはまさか。


「まさか……これは……ゲームの中か!!」


 俺が声を張り上げるとモンスターが声をあげて襲ってくる。

 咄嗟に武器を探す。

 もしゲームの中ならブロンズソードやショートソードなどの初期武器がある筈だ。


「あった!」


 腰にかけてある。この形状……刀か。


「しっ!!」


 気合一閃。抜き様に一撃見舞う。

 何らかの技が発動したのか自分でもビックリの滑らかな動き、そして完璧な力の入れどころ……何かシステム上でのブーストらしきものが発動したようだ。

 それは的確に敵の弱点を斬り裂き、ポリゴンの破片に変える。


「うおぉ……って、後3体もいるじゃないか?!」


 感心してる場合ではない。

 この鼠を大きくし、凶暴化させたようなモンスターは対して強くは無い……感じがした。

 だが、数が増えると侮れないものがあるのだろう。


「くっそぉ……」


 どうすればいいのか。

 これが、俺の予想通りゲームの中ならば全方位攻撃的なスキルがある筈だが……敵を見る限り最初の方なのだろう、ある筈も無いと考えていると……


「キシャァァァ!!」


 いかにも獣らしい声をあげながら3匹同時にうちかかってくる。

 俺が再度、刀を抜き両手で顔の前に構えると俺を光が覆った。


「うおぉぉっ!!」


 気合の声なのか驚きの声なのか自分でも判断出来ない声をあげ、そのシステム的なアシストに身体を預ける。

 顔の前に構えた刀は、そのまま俺の腰に運ばれ腰の高さから回転斬り。


「うおぉ……すげぇ……!!」


 と、感心したのも束の間、うち漏らした1匹が牙を剥き出しに後方から接近して来たのだ。


「やべっ!!」


 刀は納めている。

 今、抜いても間に合わないだろうという思考をコンマ1秒の速さで判断し1発喰らうと覚悟した時、鼠の横から拳が入った。


「……え……?」


 唖然。


「ふぅ……」


 突然の乱入者は一息つくと、不気味な呪文を唱え始め、先程倒した鼠の所に黒い光が集まり、あっという間に鼠が復活した。


「な、何者だ!」


 乱入者に対する第一声。


「…………」


 俺の言葉に対して何も言わず口をパクパクさせている。

 まさか、此奴……俗に言うコミュ障というやつではないのか?!

 さらに、今更だが乱入者は3人いる。


「あ……あ〜、と、取り敢えず名前だけでも教えて貰える?」


 その不思議な3人組に訊いた。


「……クロウ…………」


「サーラだよ〜!」


「……聖夜だ。以後、お見知り置きを。」


 赤い眼の少年、


「クロウに、サーラに、聖夜か。」


 クロウと名乗る青年はコミュ障か寡黙か、恐らく前者だろう。

 サーラは猫耳を装備している少女だ。可愛い。

 彼だけは割と、紳士的な青年のようだ。


「あ、あの〜……この世界の事について教えてもらいたいんだけど……」


 すると彼はビックリしたように目をまん丸にした。まるで知らない方がおかしいみたいな目だ。


「わかった。俺たちに着いて来てくれ。」


 聖夜は言った。


「お、おう。」


 不思議な三人組に出会い、これからどうなるのやらという感じなのだが……

 とにかく、俺はこの世界についてRPGっぽいことしかわからないから彼らに着いて行くのが吉だろう。

 森の中を歩く。


「そう言えば君の名前を聞いてなかった。」


「プレイヤーカード、交換しよ!」


「ぷ、プレイヤーカード!?」


 そんなものがあるのか!!

 どうやら本当にゲームの世界のようだ。

 しかも……俗に言われるMMORPGらしい。


「なんだ、その驚き方は。」


「MMORPGだからあって当然でしょ!」


 確かにそうだ。

 それにしてもクロウは全く喋らない。


「クロウ!早く彼と交換するんだ。」


「あぁ……はい。」


 どうやらコミュ障だ。

 俺とは上手く話せないが親しいであろう彼とは上手く話せている。

 そもそも、交換の話が出たが俺は交換の仕方を知らない。


「職業紋様をタッチしながらメニュー、オープンて言えば出て来るぜ。」


 なるほど。

 それらしきものを探すと……あった。

 刀が一本、その周りを龍と炎があしらえてある。それを触りながら先程、言われた言葉を唱える。


「メニュー、オープン。」


 出て来た。

 このステータス的なものがバッと書いてあるのがプレイヤーカードなのだろう。

 なんだかんだで交換を済ませた。


「へぇ……流ねぇ。よろしく。流君。」


「……よろしく、です。」


「よろしくね!」


 自分のプレイヤーカードをまじまじ見ると、職業からステータスなど諸々が書かれていた。なるほど……侍か。

 それにしてもステータスは最初から100近くあるものなのか?


「それにしても侍とは……ステータスもおかしいな……」


「確かに高いですね。」


 自分は目を見開いた。

 あのクロウが聖夜とは普通に話せていることに驚いた為だ。


「次の街に着いたら少しログアウトさせてもらうよ。少しひっかかる。」


「ええ。わかりました。」


「サーラもこの後、用事があるからログアウトするね!」


「お前もか!」


「じゃ、取り敢えず行こうか。」


 俺は少し首を傾げると、その仲良し三人組を追いかけた。



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