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#999 あるいはという可能性を提示しただけであって、本当にこうなったかどうかは誰も知らないし、そもそも答えなんてどこにも存在しないという話
青年は目を覚ました。
もう、彼を起こすものはいない。
自由に、自分の好きなだけ、大好きな睡眠をとることができた。
絶対神としての力を継いだ青年は、バックアップのために母が己に微量ずつ蓄えさせていた光珠を使って、崩れかけていた世界をすべて、元の通りになおした。
確かに、世界のどこかでは、誰かが誰かに虐げられたりもしているのだろう。
だが、虐げられたらそれと同じかそれ以上の分、その誰かは笑顔になれる。
世界はそういう風になっている。なっているのだ。青年が信じる限り、世界はそうであり続けるのであった。
今日も平和だ――そのことを確認した青年は、再び眠りの世界へと旅立った。
――――おい、起きろ、一体何時間眠るつもりだ、そこな青年よ
〈fin〉




