final
まぁ何はともあれ、今現在カエルと帰還を待ち、待機していたアスラのおっさんが運んで来たお宝を船に積み込み。
その宝の入った箱を中央船室に設置された長机に乗せ。
これまた満足そうにエヘラ顔を向けるサクラちゃんに煽られながら封印を解く魔術で構築した鍵で物色中だ。
しかもまぁベタというべきか。宝箱を囲み、俺の脇腹に機嫌良く肘でつつくカエル。そのカエルを押しのける形でいち早く覗こうとするサクラちゃん。サクラちゃんの膝元でこじ開け中のリナちゃんを含むお宝組。
そのお宝組とは無関心な素振りでカウンターに腰を下ろしアスラさんに出された紅茶を含み落ち着くケイジくんはあの遺跡での報告を告げているようだ。
そして、お宝に無関心所組。いや、さりげなく隣に腰を下ろすケイジくんと同じく紅茶を一口含み。
何故かその彼に撃退され、懐くように付いて来た可愛らしい姿の青いチビドラゴンと、大人しく留守番中だった本来のフェリアちゃんの幻獣パートナー。
可愛らしい狼ことフィルが仲良くじゃれ合う様子を今度は二人して眺めているようだ。
しかし。やはりと言うか、一体誰が何処で倒した青翼竜ブルードラゴンと契約を結んだのか定かではないのだが。
「えええ!?な、なにこれ」
「ま、まぁそんなパターンだとわぶし!?っ痛てえ、なにすんだこのチンチクリン!」
うわわ。もうこんなオチだとは予想はついていたが。どうやらあの残念すぎるサクラちゃんの一声で結果は見え見えのようだ。
ま、今回の一番のお宝は、この夏休み一番の冒険をした経験とでも。
「あちゃー。ほら、カエルもサクラも喧嘩しない!もうこればかりは。結局は苦労して手に入れたのがあの薄汚いただの石ころだしね、ねえ流」
「えええ!?…リナちゃん?」
「へ?なぁぁにこんな石ころに驚いてんのよ!みんなして私をバカにして!」
いや、まさか。今現在石ころ呼ばわりでカエルをどつき仲良く取っ組み合いを始めるサクラちゃんの脇から覗くあの眩しいのが見えないのか?
とても長い合忘れかけていた記憶が脳裏に浮かぶ。
そうだ。これが本当の俺が探している目的だ。
「――見つけたよ、『世界の欠片』」
瞬間みんなの賑やかな声が耳元から遠ざかる。この世界にて過ごした記憶。多分それもきっと俺自身も消されるだろう。
当然。この何十年と過ごした俺と言う人物と関わるこの世界の記憶からも。
でも、きっと。俺は忘れないよ。
「なんだ流。目尻に涙なんかためて、そうかさてはたい焼きをクーに食われたんか」
――ああ。なあケイジ。サクラちゃんをこれからも大切にしてやれよ?彼女ならきっとお前の大切な――
「大切なってなによ?ねえ!な…流?わ、私ね?本当は流やカエル。それにケイジやみんなにわがまま言ってつきあわせてあ、あやまりた…」
――ははは、今回図書室でさあ、たまたまエルス島にあるお宝教えてくれた時からアンタの本当は優しいやつなのは知ってるぜ。素直に上手く言えないこともさ。気にしてないよ俺もみんなもさ。うん。来年こそはケイジや学園の仲間でとびっきりなお宝探し。リベンジ作戦おねがいしますぜサクラ姫さま――
「全く、ほら、湿ったのは無しにして今回はまぁ残念だったけど…でも流もカエルも良く頑張ったと思うよ。そうだ?ねえ流。学園で新学期始まったらあの学園長に相談してさぁ」
――そうだね。リナ。そのクールな探究心で来年こそはとびっきりなお宝のありか調べてリベンジだぜ!―――
「ねえ!流。私さ。アンタのそのええっと、と、トレジャーハントだっけ?そん時にはさ。私も加えてくれないかな。す、少しは」
――はいはい。フェリア。そん時は是非とも腕試しにトレジャーハントでもモ⚫︎スターハントでもその戦闘センスを発揮してくれよ!ぶっちゃけあの狙撃の腕ならきっと大物狙いが可能だと、俺は思うしさ――
「しっかしこのお宝探しの冒険を夏休みにやっていたとは、流。来年は」
――そうっすねアスラ船長こそ、この某ヤバイ船を見つけてくれなければこの冒険も上の空で終わっていたし。
来年はもっとましな船ぶっちゃけお願いしますよ!――
「ったくさぁ。俺様とお前だけのトレジャーハントがまさかな。なあ流。学園でさぁ、今年からはかなり賑やかに仲間も増えた事だしさ。うん。俺様が言うのはなんだけど…」
――そうだな。カエル。俺自体あの学園に入学式でのカリオスさんの演説ん時。あん時に誘った時からの仲だもんな。でもさ。今年からは新たに加わった大切なケイジくんや仲間ともっとでっかいお宝。狙ってくれよ?――あれ?――どうし――たんだろ。なあカエル?俺。もうそろそろ行かな――
―――――――――
「そうだな、流。俺はアンタの事をを。最高の相棒を忘れないぜ。絶対にな。そして世界の欠片ってお宝を全部集めて使命を果たして来いよ!」
END
名前:黒
作品提供:KON ~桜の夢と白狐~りめいくっ!
不和世界に参加して、その他感想や一言:
『どうも、作品提供で参加させていただきました。黒です。まずは企画を作って頂いた仮面さんたちに謝意を示させてもらいます。本当にありがとうございます。
そしてこんな微妙なストーリーを改善して書いて下さったアークさんにも感謝です。
もちろん、これを読んで下さった読者の方々にも。『アークさんが書くって聞いたから見にきたのにこんな駄作が元ネタかよ』、なんてことになっていなければいいのですが(笑)
ともあれ、この文を読んで頂いて、元の僕の文章にも興味を持って下さったならば幸いです。
最後に、もう一度この企画に関わって頂いた人たちに感謝を。黒でした。』




